第二言語習得論をわかりやすく解説|英語学習者が知るべき理由とは

B!

「どうしたら、効率的に英語力を伸ばせるのだろう……。」

あなたは、こう思ったことはありませんか?

 

このような悩みを持つ人に、第二言語習得論の研究結果が役に立つかもしれません。

第二言語習得論(Second Language Acquisition: SLA)とは、人が外国語を身につけるプロセスを研究した学問分野です。言語学、音声学、脳科学など多くの領域にまたがる学問です。

 

第二言語習得論の研究結果を活かすと、科学的に効果が証明された効率的な学習法がわかります。ぜひ、あなたの英語学習に取り入れてみてください。

 

私がビジネス英語コーチとしてサポートする内容も、第二言語習得論のエッセンスを取り入れています。なぜなら、誰もが最も効率よく英語力を伸ばせる学習法だからです。

第二言語習得論とは?

外国語を習得するプロセスの研究

第二言語習得論とは、外国語を習得するプロセスの研究です。子供が母語を身につけるプロセスと、大人が外国語を習得するプロセスには違いがあります。第二言語習得論は、主に大人が外国語を身につけるプロセスを研究します。

 

外国語を身につけるプロセスを理解するには、さまざまな分野の知見が必要です。たとえば、言語学、音声学、脳科学、文化人類学などです。そのため、第二言語習得論は「学際的」な学問分野と言われます。つまり、複数の研究領域にまたがるということです。

外国語を身につけるプロセスとは?

これまでに、外国語習得のプロセスはある程度、体系化されてきました。たとえば、R.Ellisによれば、第二言語習得の枠組みは下の図のようになります。

図のように、「インプット→インテイク→アウトプット→インプット・・・」というサイクルで外国語習得が進みます。

インプット

リスニングやリーディングを通じ、外国語に触れることを指します。当たり前ですが、インプットがなければ外国語を身につけることはできません。また、これまでの第二言語習得論の研究結果から、インプットの重要性が強調されています。

 

インテイク

インプットした外国語を知識として蓄えるプロセスです。外国語のインプットは重要ですが、単に聞き流せばよいわけではありません。なぜなら、「わからないことを、いくら聞いてもわからない」からです。「理解可能なインプット」を通じ、知識として蓄えることが必要です。

 

アウトプット

スピーキングやライティングを通じ、外国語を使うプロセスです。先ほど、外国語習得には「インプットが重要」とお伝えしましたが、インプットのみでは第二言語を習得できないこともわかってきています。なぜなら、「アウトプットも重要」だからです。

 

アウトプットが重要な理由は、「良質なインプットをするため」です。つまり、実際に自分で話したり書いたりすると、「あれ、ここはこの表現でよかったのかな?」、「こういうとき、どのような単語を使えばよいのだろう?」と気づきが生まれます。

この気づきが、質の高いインプットにつながります。

 

第二言語習得論で得られた知見をわかりやすく解説

インプットの重要性

第二言語習得論の研究者で、インプットの重要性を否定する人はいないと言われています。それほど、外国語習得にインプットが重要ということです。

有名なのは、1970~1980年代に南カリフォルニア大学の名誉教授スティーブン・クラッシェンが提唱した「インプット仮説」です。

 

インプット仮説とは、「外国語はインプットのみで習得できる」と主張する理論です。つまり、読んだり聞いたりするだけで第二言語が身につくということです。

 

この後、さまざまなエビデンスから「外国語習得にはアウトプット“も”重要」とわかり、現在ではインプット仮説は否定されていますが、インプットが重要だという事実は変わりません。

 

また、クラッシェンによると「理解可能なインプット」をすることが重要です。つまり、読んでわかり、聞いてわかるものをインプットすることが大切です。

 

具体的には、”i+1(アイ・プラス・ワン)”の概念を提唱しています。現在の言語レベルを「i」としたとき、最適な学習教材は「i+1」ということです。つまり、現状より少しだけレベルが高い教材のインプットが重要ということです。

 

クラッシェンのインプット仮説について、以下の記事で詳細に解説しました。興味のある方は参考にしてみてください。

 

➡第二言語習得におけるインプット仮説とは? クラッシェンの理論と問題点を解説

 

若い頃から学習を始めた方が有利?

一般に、若い頃から英語学習を始めた方が、英語を身につけやすいと考えられています。たしかに、アメリカなど英語圏に移住した人を調査した結果では、若い頃に移住した人の方が高い英語力を身につけやすいとの結果が得られています。特に、発音スキルは5歳までに移住した人のレベルが高くなります。

 

ご参考:Age Constraints on Second-Language Acquisition (Flege et.al., 1999)

 

一方、英語圏以外の国(たとえば、日本)に住み英語を勉強する場合、早期教育の効果は小さいとの結果も得られています。以下の図のイメージです。

 

 

これらの違いは何か? とういと、英語に触れる時間の違いです。

日本人大学生を調査した研究では、早期に英語学習をしたメリットを得るには1500~2000時間の英語学習が必要と言われています。

 

ご参考:What does more time buy you? Another look at the effects of long-term residence on production accuracy of English /inverted r/ and /l/ by Japanese speakers(Larson-Hall. J, 2006)

 

ちなみに日本の中学、高校の学習時間を合わせても790時間程度ですので、早期教育のメリットを得るには学習時間が足りません。中学、高校で英語を習う時間の2倍程度は英語学習に費やす必要があります。

 

「英語は若いうちから学び始めるべきか?」について、第二言語習得論の「臨界期仮説」をまとめ、考察した記事を書きました。興味がある方は読んでみて下さい。

 

➡大人は英語習得には手遅れ? 言語習得の臨界期仮説への批判と真実

 

外国語(英語)習得における母語(日本語)の影響

言語転移

子供が母語を身につけるときは、まっさらな状態で言語習得が進みますが、第二言語を身につけるときは母語の影響を受けます。

たとえば、日本人が"L"と"R"の発音が苦手なのは、言語転移の影響です。

 

日本語では”L””R”の音を区別しません。たとえば日本人にとって”right(右)””light(信号機、明かり)”はどちらも「ライト」です。そのため、”right”と”light”区別することが困難です。これは日本語による「言語転移」の一種です。

 

以下の記事で、言語転移について詳しく解説をしました。興味がある方は読んでみて下さい。

→ご参考:第二言語習得における言語転移とは?日本人が”l”と”r”を聞き取れない理由

 

言語間の距離

言語転移で重要なのが、母語と外国語が構造的に似ているか? です。母語と似ている外国語は習得が速く進み、似ていない外国語は習得の進みが遅くなります。

言語が似ているか? 似ていないか? を表す概念を「言語間の距離」と呼びます。では、言語間の距離を測る方法があるのでしょうか?

 

参考になるデータとして、アメリカの外交官を育成するFSI(Foreign Service Institute)という機関が発表したデータがあります。過去70年間の教育経験を元に、アメリカ人が外国語を習得する難易度と必要となる学習時間をまとめた結果です。

 

この研究結果によると、アメリカ人にとって日本語は最も習得が難しい言語です。つまり、英語と日本語は「言語間の距離が遠い」と推定できます。

 

言い換えると、日本人にとって英語は習得が難しい言語です。ですので、英語を身につけるには、どうしても時間がかかります。諸説ありますが、大人が英語を使えるようになるまでに、1000時間の学習が必要と言われています。

 

→ご参考:第二言語習得における言語転移とは?日本人が”l”と”r”を聞き取れない理由

 

外国語習得の適性とは?

言語適性とは外国語習得のしやすさを表します。言い換えると外国語習得の才能です。

第二言語習得論の研究から、外国語を習得しやすい人の特徴がわかってきています。

具体的には、言語適性の高い人は以下の5つの特徴があります。

 

言語適性がある人の5つの特徴
1. 年齢が若い
2. 言語間の距離が近い
3. 外国語適性が高い
4. 動機付けが強い
5. 学習法が効率的

 

詳しくは、以下の記事に解説をしました。

 

→ご参考:第二言語習得論に学ぶ「言語適性」とは?英語習得に成功する人の5つの特徴

 

1、2は自分ではコントロールできないものです。3に関しては、約50%が遺伝の影響であることがわかっています。

 

→ご参考:語学は才能や遺伝が5割! 英語学習業界の不都合な真実
 

 

ですので、外国語を習得しようと思うならば、自分でコントロールできる4と5に着目することをオススメします。以下では、特に5の「効率的な学習法」について、第二言語習得論で得られた知見を解説します。

第二言語習得論から見た効果的な英語学習法

大量のインプットと少量のアウトプット

「大量のインプットと少量のアウトプット」で学習するのが、もっとも効果的な英語学習法と言われています。インプットとはリーディングやリスニング、アウトプットとはライティングやスピーキングを指します。

イメージとしては、インプットの質を高めるためにアウトプットするという感覚です。では、インプットとアウトプットの比率はどの程度がよいのでしょうか?

 

ケース・ウェスタン・リザーブ大学の白井恭弘教授によると、インプット:アウトプット=7:3~8:2が最適な比率です。つまり、1時間の英会話レッスンをしたら、インプット学習に2.5~4時間程度をあてるということです。

 

日本人の大人が英語力に伸び悩む主な原因は、「インプット学習不足」であるケースが多いと言われています。

 

最強の学習法シャドーイング

特に英語中級者以上(TOEIC500点以上)の方にオススメなのが、シャドーイングと呼ばれるトレーニングです。

シャドーイングとは英語の音声を聞きながら、後に続いて発声するトレーニングです。影(シャドー)のように、音声を追いかけるのでシャドーイングと呼ばれます。

シャドーイングは、もともと同時通訳者のためのトレーニングでしたが、英語力アップの効果が明らかになってきっため、多くの英語学習者に知られるようになりました。

 

シャドーイングによる効果は主に4つあります。

シャドーイングの4つの効果
1. リスニングスキルの向上~音声知覚の自動化~
2. 文法や定型表現が定着~無意識に使えるように~
3. 発音が改善する
4. 英語のリズムやイントネーションが身につく

 

リスニングスキルの向上

シャドーイングは実際に英語の音声を自分で発声するため、英語の音に敏感になります。このプロセスを繰り返すことで、次第にネイティブの英語の音声を聞き取れるようになります。

人によりますが、2ヵ月くらい続けると効果が目に見えるようになります。

文法や定型表現が定着

何度も繰り返し口にするため、文法や表現が自然と身につきます。スポーツの練習をイメージしてみてください。繰り返しバットを素振りするうちに、自然とフォームが身につくのと似ています。

ですので、シャドーイングの教材には、あなたが英語を必要とするシーンの教材を使うのが効果的です。たとえば、ビジネス英語を身につけたいのであれば、ビジネスシーンを想定した教材を使う、ということです。

 

発音の改善

正しい英語の発音の音声をモノマネするため、シャドーイングによりに発音が改善されます。

シャドーイングをするときのポイントは、「教材の話し手になり切って、モノマネをする」という点です。

 

さらに効果的なのは、シャドーイングをする際に、自分の声を録音して、教材の音声と聞き比べることです。どこを正しく発音できていないか自覚すると、発音の改善効果が高まります。

 

英語のリズムやイントネーションが身につく

英語は、発音よりもリズムやイントネーションが重要です。なぜなら、日本語と違い英語は音の強さ・弱さ、速さ・遅さ、高さ・低さなどを調整して話し手の意図を伝えるからです。

日本人にとって、英語のリズムやイントネーションを習得するのは簡単ではありません。しかし、シャドーイングを繰り返すことで、リズムやイントネーションが身につきます。

このように、シャドーイングには多くの効果があり、英語習得の最強の学習法とも呼ばれます。

 

 

一人ひとりの英語学習者にあった勉強法

短期間で外国語を習得する能力を「外国語適性」と呼びます。第二言語習得論の研究により、外国語適性には3つの要素があることがわかってきました。

外国語適性3つの要素
① 音声に対する敏感さ(音声認識力)
② 文法に対する敏感さ(言語分析力)
③ 記憶力

これら3つのスキルが高いほど、外国語適性が高いと言えます。

 

音声認識力

音声認識力とは、言語を聞き取る能力と、聞いた音を頭に保持する能力を指します。

リスニング能力と言い換えることもできます。

 

言語分析力

言語分析能力とは、文法に対する敏感さのことです。

たとえば、SVOなどの文法構造を見抜く力などです。

 

記憶力

丸暗記の能力で、主に短期的な記憶力(短期記憶)の良さを表します。

たとえば、40秒で提示された単語を覚えて、その後で正しい単語を選ぶ、などのテストで測定されます。

 

近年は、「記憶力」を拡張させた概念である「ワーキングメモリ」が注目されています。ワーキングメモリとは、情報を数10秒間、短期記憶に保持し、同時に情報を操作する能力です。脳の容量と呼ばれることもあります。

 

3つのスキルの高低は人により様々

以下のイメージのように、人により3つのスキルの高低は様々です。

Aさん Bさん Cさん
音声認識力 90点 50点 30点
言語分析力 30点 40点 90点
記憶力 20点 90点 40点

 

 

そして、得意なスキルと学習法をマッチさせると、外国語習得の効率が高まります。

 

たとえば、音声認識力が高い人は、リスニング学習により英語力が伸びやすく、記憶力が高い人は丸暗記学習で結果を出しやすい、という感じです。

 

ただし、いくら音声認識力が高いからといって、リスニング学習のみでは英語力は伸び悩みます。なぜなら、文法や単語の暗記は避けて通れないからです。

 

学習内容のバランスを取るのは大事ですが、自分の言語適性の強みを理解して、英語学習法を設計するのは効果的です。

 

まとめ|第二言語習得論をもとに効率的な英語学習法を実践しよう

第二言語習得論は、外国語を身につけるプロセスを研究する学問分野です。これまでの研究結果から、英語学習者に役立つ多くの知見が得られています。

 

ぜひ、この記事で紹介した内容を、あなたの英語学習法に取り入れて、効率的に英語を身につけるのに役立ててください。

 

以下の記事には、第二言語習得論から得られる効率的な英語学習法に加え、「限界的学習」と呼ばれる科学的に効果のある学習法をまとめました。どうしても、効率よく英語を身につけたい人は読んでみてください。

 

→ご参考:【知らないと損!】科学的な英語勉強法5つのポイント|効率が変わる学習法

 

参考文献

第二言語習得と英語科教育法

英語教師のための第二言語習得論入門

はじめての第二言語習得論講義: 英語学習への複眼的アプローチ

外国語を話せるようになるしくみ シャドーイングが言語習得を促進するメカニズム

英語学習のメカニズム: 第二言語習得研究にもとづく効果的な勉強法

第二言語習得研究から見た効果的な英語学習法・指導法

シャドーイングと音読の科学

ビジネスで成果を出せる英語力とは?

あなたは、こんな悩みを抱えていませんか?

  • TOEICの勉強をしても、ミーティングで外国人の発言を聞き取れず悔しい思いをした......
  • 英会話スクールに通っても、ディスカッションで発言が出せず情けなくなった.....

     

    あなたも薄々気づいているのではないでしょうか。いくら英語ができても、仕事で成果を出したり収入をあげたりできない真実に。

     

    いくらTOEICでハイスコアを取ったり英語が流暢になっても、”ビジネスで成果を出せる”英語力を身につけなければ、あなたの仕事での評価は下がってしまいますし、収入も上がりません

    反対にTOEICの点数が低かったり、英語が流暢でなくても”ビジネスで結果を出せる”英語力があれば、あなたの評価は高りますし、収入も上がります。

     

    もし、あなたが”ビジネスで結果を出せる”英語力を身につけたいと少しでも思うのであれば、「実践で使える英語」に絞って学習するのが近道です。この方法で学ぶと以下のようなメリットが得られます。

     

    メリット
    • 無駄な学習をしないので、最短で”ビジネスで結果を出せる”英語力が身につく。
    • 仕事相手の外国人の考えがわかり、コミュニケーションがスムーズになってストレスが減る。
    • 英語力アップが仕事の成果につながる。

       

      現在7通の無料メール講座を実施中です。今すぐ登録して、無料メール講座で”ビジネスで結果を出せる”英語力を身につけてください。

       

      \仕事で成果が出る英語力を最短で身につける/

      7通の無料メール講座
      最新の記事はこちらから