英語コーチングスクールの「TORAIZ(トライズ)」。
1年間に1000時間の学習をして英語をマスターすることを目指すスクールで、卒業生はビジネスの実践で使える英語力を身につけています。
今回、筆者はトライズ運営 トライオン代表の三木雄信社長にインタビューする機会をいただきました。三木社長が英語で苦労された経験、日本人が英語を話せない真の構造的な理由と、ビジネス英語習得で一番大切なこと、などを教えていただき三木社長の英語教育へのアツい想いを肌で感じました。
ソフトバンク時代に孫正義社長(当時)の元で多くのプロジェクトを経験され、独立後に英語のeラーニング事業を運営してきた三木社長ならではの視点は新鮮で、日本人が英語を苦手とする構造がよく理解できます。
- 英会話スクールに通ったが英語が身につかず、「自分には英語を話すのは無理かもしれない」と感じたことがある人
- 独学で英語学習に取り組んだが挫折してしまい、自分が嫌になったことがある人
- 今度こそ、仕事で使える英語を身につけたい人
- 英語コーチングスクール選びに悩んでいる人
は必見です。
1972年、福岡県生まれ。東京大学経済学部卒業。三菱地所株式会社を経て、ソフトバンク株式会社に入社。27歳で同社社長室長に就任。孫正義氏の下でマイクロソフトなどアメリカのIT企業とのJV(ジョイント・ベンチャー)の設立、ナスダック・ジャパン市場創設・日本債券信用銀行買収、ブロードバンド事業「Yahoo!BB」など数多くのプロジェクトを担当する。
2006年には、ジャパン・フラッグシップ・プロジェクト㈱を設立。
ベンチャーから東証一部企業の社外取締役を多数務める。同時に厚生労働省で年金記録問題、内閣府で福島第一原発の廃炉汚染水問題のプロジェクト支援を行う。
また、ジャパン・フラッグシップ・プロジェクト株式会社傘下のオンライン教育企業トライオン㈱で、2015年には、「1年1000時間で本当にビジネスで使える英語力」が身につくコーチング英会話『TORAIZ(トライズ)』を開始。日本の英語学習を抜本的に変えていくことを目指している。
メディア掲載情報
タップできる目次
トライズは誕生のキッカケ~ソフトバンク時代に英語で恥をかいた~
-最初に、トライズについて教えていただけますか?
トライズは、1年間に1000時間の学習を通じて、受講生様が英語をマスターするのをサポートするプログラムです。
多くの英語スクールで、生徒は「インプット学習だけ」、「英会話レッスンだけ」と偏った学習をしていますが、トライズでは「インプット学習」と「ネイティブコーチの英会話レッスン」の両方をバランス良く行っています。
実はトライズのプログラムは、私自身が実践してきた英語勉強法を体系化したものです。
ソフトバンク時代に英語で恥をかいた
-トライズのプログラムは三木社長が実践してきた英語学習法が元になっているのですね。 もともと英語が好きだったのですか?
いえ、むしろ英語は苦手でコンプレックスを持っていて、20代半ばまで英語とは無縁の生活を送っていました。
私は以前ソフトバンクに勤め、孫社長(当時)の秘書をやっていました。その時に、英語が話せなくて痛い失敗をしたんですよね。
「日常会話ならできます!」その一言が……
孫社長との入社面接のとき、こう聞かれました。
「そういえば三木君、英語はできるかな?」
そのとき、私は深く考えずに、こう答えました。
「はい。日常会話程度なら。」
実際のところ、「それほど英語は得意ではないけれど、まったく話せないわけではない」、「挨拶程度はできるが、仕事で英語を要求されると困る」といったニュアンスです。
そのときは、まさかこの一言が痛い失敗を招くとは想像もしていませんでした。
孫社長との初海外出張で、英語の交渉の場に
入社して早々、孫社長のカバン持ちとして、いきなりシリコンバレーへの出張を命じられました。現地での商談に同席することが求められたのです。
私が同席したのはヤフーとの商談でした。先方は、創業者のジェリー・ヤン、初代CEOのティム・クーグルといった大物達です。
入社したばかりの私は、世界を代表するIT企業の大物たちに囲まれただけで心臓がドキドキしました。さらに、彼らと「英語を使って商談する」ことが求められ、緊張感が高まり冷や汗が止まりませんでした。
ヤフーの初代CEOから笑われた
孫社長が主導権を取る形でミーティングが始まりました。私には相手が話す内容も、孫社長の話す内容もまったく聞き取れません。ミーティングの内容はさっぱり分からず、まさに置物状態のまま、黙って時が過ぎるのを待つしかありませんでした。
しかし、ただ黙っているだけで何とかなるほど、シリコンバレーの会議は甘くありません。同席している私が一言も発しない様子が、不気味に映ったのでしょう。ついに相手方から意見を求められ、いよいよ私も何か話をしなければならなくなりました。
しかし、何を聞かれているかもわからないので、しどろもどろになってしまいます。頭の中が真っ白になり、言葉にならない声を発しながら呆然と立ち尽くしました。
すると、ティム・クーグルにあきれたような顔で“You are a scary man!”(こいつは恐ろしいやつだ!)と言われてしまったのでした。
このときは、放心状態だったので何が起きたのかよくわかりませんでしたが、後になり悔しさがこみあげてきました。20年以上たった今でもそのシーンを夢に見て、うなされることがあります。
一念発起して、一年で英語を身につけた
-三木社長にも、そのような失敗経験があったのですね。その後、どのように克服されたのですか?
日本に帰ってから、「このままではクビになる!」と思い、1年間で仕事で使える英語を身につけることを目標にしました。当時の私の状況では、1年しか猶予がないと思ったからですね。
そのとき私は「交渉で負けない英語力を1年で絶対に身につける」というゴールを設定し、1年で1000時間、つまり1日3時間を英語学習に費やすことにしました。
そして、世の中で提唱されている英語学習法を片っ端から調べ、学習内容に落とし込みました。
-たとえば、どんな勉強をされたのでしょうか?
毎日朝7時半~8時半、英会話スクールに通いました。
また、シャドーイング(英語の音声に続いて発声するトレーニング)を朝晩の通勤時間に実践しました。当時は東京の西馬込の丘の上に住んでいました。冬場は朝6時過ぎに家を出て、真っ暗の中、二宮金次郎のように歩きながらシャドーイングをしていましたね。
-仕事が忙しい中でも時間を作って英語学習をされたのですね。どんな成果が得られたのでしょうか?
1年間の学習の成果があり、当初目標としていた「交渉で負けない英語力」を身につけることができました。
海外ファンドと一緒に銀行買収を行ったり、アメリカの証券会社(ナスダック)と証券市場を作ったりしました。もちろん、すべて私が英語で交渉をしました。
eラーニング事業を運営して学んだこと
2006年にソフトバンクから独立|プロジェクトマネジメントで世の中に貢献したい
-なるほど。三木社長も苦労され、模索しながら英語を身につけられたのですね。ソフトバンクから独立され、トライズを開始されたのでしょうか?
いえ、ソフトバンクから独立したのが2006年で、最初はeラーニング事業を運営していました。
私はソフトバンク式、孫正義式の仕事の進め方を使って世の中に貢献したいと思い独立をしたのですよね。その一貫として、教育事業に取り組みたいと考え、eラーニング事業に取り組みました。
トライズの創業は2015年ですので、8年間はeラーニング事業を続けていたことになりますね。
eラーニングの2つの問題点
-最初はeラーニングをやっていたのですね。なぜ、トライズのようなパーソナルコーチングを始められたのでしょうか?
実は、eラーニング事業をやっているうちに、eラーニングの2つの本質的な問題点に気づきました。
- 飽きる、続かない
- 標準化せざるを得ない
飽きる、続かない
当初は、eラーニングは安価に良質なプログラムを提供できるのが、とても良いと考えていました。しかし、実際にはなかなか続けられる人が少ない。一人で学習に取り組んでいると飽きてしまうのですね。
-それ、すごく分かります。私も過去にeラーニングで勉強したことがありますが、一人で黙々と学習するのに飽きてしまいました。
標準化せざるを得ない
もう一つの問題点は、eラーニングは学習内容を標準化せざるを得ないということです。
本当は、受講生の英語力を伸ばすにはカリキュラムを個別最適化する必要があります。なぜかと言うと、一人ひとりで目指すゴールが違うからです。
たとえば、あなたがお医者さんだったとして、
- 英語で学会発表したいのか
- 英語で診察をしたいのか
で必要となる英語力がまったく違います。
あるいは、同じ医者でも獣医には、また別の英語力が求められます。
このように、それぞれのゴールを実現するためには、一人ひとりに合わせた教材を準備することが重要となります。しかし、eラーニングで個別最適化した教材を準備するのは非現実的です。コストが無限に膨らんでしまうためですね。
このように、eラーニングには本質的な問題点があり、一人ひとりの生徒の英語力を伸ばすには限界があると感じました。
eラーニングで学んだ、インストラクショナル・デザインの考え方
-なるほど。eラーニングでは、三木社長のやりたいことができないと気づかれたわけですね。eラーニング事業を通じて、気づかれたこと、学ばれたことは他にもありますか?
eラーニング業界では、「インストラクショナル・デザイン」と呼ばれる教育メソッドが一般的です。アメリカで研究されてきた教育に対する考え方です。
インストラクショナル・デザインの重要な考え方として、次の2つが挙げられます。
- ゴールを明確にして、生徒の学習目的を達成させるよう設計する
- 生徒がゴールを達成できないのは、設計する人の責任
-もう少し、具体的に教えていただけますか?
ゴールを明確にして、生徒の学習目的を達成させるよう設計する
何かを学習するときには、必ずゴール・目標があるはずです。英語学習で言えば、「学会発表の質疑応答をこなせるようになりたい」などですね。
そして明確にしたゴールを達成するために、ステップを踏んで学習を設計します。言い換えると、「このステップに沿って学習を進めれば、ゴールを達成できる」となるように、学習を設計します。
生徒がゴールを達成できないのは、設計する人の責任
日本の学校教育や職場教育では、「教えたのに身につかないのは本人のやる気がないからだ」と考えがちです。しかし、インストラクショナル・デザインでは生徒が思ったよう伸びないのは設計する側の責任と考えます。
たとえば、ゴールを達成するための一つひとつのステップは、普通にやれば普通にわかるように設計すべきです。そして、各ステップのチェックテストも、普通にやれば普通に解けるように設計する。そのために試行錯誤してプログラムを設計するのが重要です。
このインストラクショナル・デザインの考え方はトライズのプログラムに活かされています。
英語学習はプロジェクトマネジメント
-日本の教育とかなり違いますね、興味深いです。
eラーニング事業を通じてインストラクショナル・デザインを学ぶうちに気づいたことがあります。それは、インストラクショナル・デザインはプロジェクトマネジメントだ、ということです。
私はソフトバンク時代、社長室長として多くのプロジェクトを運営してきました。孫社長の無茶振りを実現するためにプロジェクトを運営し、実現に向けて奔走していました。
プロジェクトマネジメントで何より大事なのはゴール設定。ゴールがあいまいなプロジェクトは失敗します。そして納期、品質、コストを最適設計します。もちろん実際の実行段階では計画通りにいかないことも多くあります。そんなときは、PDCA(※)を回して随時調整をしていきます。
⇒ご参考:PDCA
インストラクショナル・デザインも同様です。学習者のゴールを設定し、ゴールを実現するためのステップを明確にします。そして、実践しながらうまくいかないときはPDCAを回して最適化をします。
インストラクショナル・デザインとプロジェクトマネジメントは本質的に同じです。
つまり、英語学習は一人ひとりにパーソナライズされたプロジェクトマネジメントと言えます。ソフトバンクで孫社長からプロジェクトマネジメントを叩き込まれた私だからこそ、できることがあるのではないか、と思ったのですよね。
トライズ誕生|英語学習の本を出版⇒お客さんからやってきた
-なるほど。ご自身の英語学習の経験、ソフトバンク時代の経験、eラーニング事業の経験が重なったのですね。
はい。その後、これまでの経験を踏まえて『海外経験ゼロでも仕事が忙しくても「英語は1年」でマスターできる』という書籍を出版しました。私が体系化した英語学習法をカタチに残したかったからです。そして、この学習法を実践するスクールとしてトライズを立ち上げました。
実は、当初は法人向けに英語研修をやっていこうかと考えていたんですよね。ところが、ある日のこと、本を読んだ読者が私のところにやってきて、「この本に書いてある通りに英語を教えてください!」とお願いをされました。この方がトライズの最初のお客様となりました。
-トライズの最初のお客様は、出版された本を読まれて来たのですね。
日本人が英語を話せない真の理由|ゴール設定の重要性
何のために英語学習をするのか?が明確でない人が多い
-三木社長は、ご自身でも英語習得に努力をされていますし、多くの受講生様を見られてきていると思います。三木社長から見て、英語を話せない日本人が多いのはなぜだと思いますか?
いくつか理由はありますが、一番大きな問題は、英語を学習する明確なゴールがないことです。漠然と「英語ができるようになったらよいな」と思うだけでは、なかなか英語は身につきません。
山登りにたとえると、山頂という目指すべき目標をはっきりさせることが、山登りに成功するために必須です。反対に、目標を定めずにウロウロとふもとを歩き回っていても、永遠に山頂にはたどり着きません。
英語学習も同様で、英語を学ぶ目的を明確にしない限り英語は身につきません。
たとえば、「海外旅行で英語を使いたい」という目標はあいまい過ぎます。現地ツアーの観光案内を聞き取れるようになりたいのか、自分でチケットや宿泊の手配ができるようになりたいのかで、必要な英語は異なります。
また、「仕事で英語を使えるようになりたい」というのも同様にあいまいな目標です。英語でプレゼンする力を身につけたいのか、英語で交渉する力を身につけたいのか、海外顧客とメールでやり取りできるようになりたいのか、により求められる英語は別物です。
英語はコミュニケーションの道具~「英語道」に陥るな~
-たしかに、「なんとなく英語ができるようになりたい」というフワっとした思いで、学習を始めてしまう人も多い気がします。
くり返しますが、英語学習を始めるにあたり最も重要なのは、「何のために学ぶのか」という目的を明らかにすることです。
英語が身につかない人の中には、英語を勉強することが目的になってしまっている人もいます。
日本の学校教育における英語も、目標が明確ではないと感じます。難しい英文法の解釈をしたり、英文学の読解のやり方を教えたり。「関係代名詞が、この単語にかかって......」などということを習いましたよね。で、英語で話す方法を教えてくれるかというと、「それは読解が完璧にできるようになってから」となってしまう。
英語は言葉なので、あくまでコミュニケーションのための道具です。道具なので、「何のために使うのか?」を一人ひとり考える必要があります。
それにも関わらず、英語を学ぶ目的を明確にせず、ひたすら英語を勉強するのは、おかしなことだと私は思います。ゴールや目的なく英語を学ぶのは、書道や華道のように「英語道」を究めるのと同じことです。一部の学者以外には、「英語道」は不要です。
TOEICスコアをひたすら上げるのはムダ
-なるほど......。一方で英語力を伸ばすために、TOEICスコアアップを目指す勉強熱心な日本人も多くいますよね。TOEICスコアアップを目標にするのは意味があることなのでしょうか?
たしかに、TOEICは英語力を客観的な数値で測ることができる便利な試験だと思います。しかし、TOEICスコアは700点くらいあれば十分で、ひたすらTOEICのスコアを伸ばし続けるのは投資対効果が悪いと言わざるをえません。
先日、口頭でのコミュニケーションを英語メインで業務をしている外資系企業に勤めるビジネスパーソン823人を対象に、TOEICのスコア別に「自分の英語力に対する満足度」に関するアンケートを取ったのですよね。
すると、700点~800点で英語力に満足している人は55%、800~900点でも変わらず約57%、900~950点でも約64%程度でした。ようやく950点以上で84%の人が満足だと回答していました。
「TOEICスコアが950点以上あれば、そりゃ満足だよね 笑」と感じました。このスコア950点以上の方々、かつ両親のどちらか、もしくは両方がネイティブの英語話者ではない人に、何時間くらい英語学習をしてきたか聞いたところ、なんと2000時間以上も英語勉強に費やしている方が60%いることがわかりました。
一般にTOEICは1000語覚えると100点スコアが伸びると言われています。ですが、スコアが上がるほど実際には使わない単語を覚えることになります。それよりも、あなたが会計士なら会計に関する英語表現を覚えた方がよっぽど役に立ちます。
TOEICのスコア≠英会話ができる
-そうは言っても、TOEICスコアを上げれば結果として仕事で使える英語力が身につくのではありませんか?
残念ながらTOEICスコアを上げても英語は話せるようになりません。
これはトライズが取ったデータなのですが、TOEICスコアとスピーキング力を測るVERSANT(※)スコアの相関関係を調べてみました。
(※) ※VERSANT(ヴァーサント)とは、ロンドンに本部を置く世界最大規模の教育サービス会社Pearson社が開発した英語リスニング&スピーキングテストです。大手のグローバル企業やアメリカ国防総省、オランダ移民局などの政府機関・団体が、英語力の測定に採用しており、ビジネス英語を測る指標として信頼度の高いテストです。
その結果、TOEICスコアとスピーキング力を測るVersantのスコアには、ほとんど相関がないことがわかりました。
2つの相関の度合いを表すR2乗値は0.38、一般的に0.5以上ないと相関があるとは言えないので非常に低い値です。
つまり、TOEICスコアを上げても英語は話せるようにならない、ということです。
だから「英語でプレゼンができるようになりたい」とか、「英語で交渉したい」という人が、ひたすらTOEICスコアを上げるのはムダなんですよね。
TOEICスコアをひたすら上げようと努力している人は、「英語を使って何をするか?」というビジョンがなく、「TOEICスコアを上げること」が目的になっているのではないでしょうか。
ゴールを明確に定義することが、すべての始まり
-なるほど。たしかに学校教育の延長で、テストの点数を上げることにフォーカスしていると、「TOEICスコアを上げること」を目標に英語学習に取り組んでしまいそうです。
そうなんです。英語学習を始めるときに最も大事なのは、ゴールを明確に定義することです。具体的な目標設定をすることがすべての始まりです。逆に言うと、明確な目標設定をせずに英語学習を始めると、いつまで経っても得たい結果を得ることができません。
だからこそ、トライズでは受講前の初回コンサルティングで、受講生様とコンサルタントが一緒になって一年間の目標を設定します。そして、「誓約書」に目標を書きこみ、2人で共有します。これは、本当に大事なプロセスです。
英会話スクールを買収してわかった!スクールで英語を話せない4つの理由
-三木社長も英語をマスターする過程で、英会話スクールに通われたのですよね。英会話スクールに通えば、英語を話せるようになるのでしょうか?
残念ながら、そう簡単にはいきません。
実は、私たちはトライズを始める前に英会話スクールを買収したのですよね。このスクールの講師はTESOL(英語を教える学問)を学んでいたので、さぞかし生徒は成果を出しているのだろうと思っていたのですよね。
買収してから、「このスクールの勉強方法で、受講生様日本人は英語を話せるようになりますか?」と聞いてみました。すると「話せるようにはならない」と......。
中には20年も通い続けている受講生様もいらっしゃいました。普通なら、20年も一つのことを続けていたら達人レベルになりますよね 笑。
このスクールの実情を調べ、私自身の経験を振り返った結果をまとめると、英会話スクールに通っても英語を話せないのには4つの理由があります。
- 絶対的な学習時間が足りない
- 練習せずに、いきなりゴルフコースに出るのと同じ
- ネイティブは日本人が聞きやすいように話をする
- 文法をネイティブから習ってもわからない
-一つずつ詳しく教えていただけますか?
絶対的な学習時間が足りない
まず、英会話スクールでは絶対的な学習時間が足りません。
大人がビジネス英語を習得するには、最低1000時間が必要だと言われています。
アメリカの外交官を育成する機関FSI(Foreign Service Institute)の調査によると、アメリカ人が日本語を習得するのに2200時間かかります。同様に、日本人が英語をマスターするには2200時間が必要だと考えられます。
日本人は中学、高校時代を通じて既に英語勉強に約1200時間を費やしてきています。したがって、社会人が英語をマスターするには、2200-1200=1000時間が必要というわけです。
1日3時間学習するとして1年で1000時間となります。
また、先ほどの外資系企業に勤めるビジネスパーソンに対するアンケートでも、約6割の方が集中的に英語を学習した期間は6カ月以上と回答しています。
これらのデータから、英語でビジネスができるようになるには、相当の学習時間が必要になることがわかります。
週1回1時間のレッスンだと、1000時間の学習に19年かかる
仮に英会話レッスンを週1回1時間受けたとしましょう。この場合、1年間でたったの52時間です。
1000時間のレッスンを受けるのに、どのくらい必要かを計算すると、なんと19年以上です。下手をすると、英語を身につける前にキャリアが終わってしまいますよね。
レッスンをたくさん受けるとコストがかかりすぎる
では、レッスンをまとめてたくさん受ければよいかというと、今度はコストがかかりすぎてしまいます。仮にレッスン1時間5000円とすると、1000時間のレッスンを受けるのに500万円かかります。これは、あまりにコストがかかりすぎです。
練習せずに、いきなりゴルフコースに出るのと同じ
-なるほど。英会話スクールでは、低コストで十分な学習時間を確保するのが難しいのですね。次に2つ目の理由を教えていただけますか?
基礎力が足りていないのに英会話の練習ばかりやっても効果は薄いです。英会話レッスンで効果を出すには、中学レベルの文法と日常会話で頻繁に使われる3000語を身につけておく必要があります。なぜなら、「話す」ことは既に自分が持っている知識をアウトプットする行為だからです。そもそも知識が足りないと、話すスキルは伸びません。
ゴルフにたとえると、スイングなどの練習をせずに、いきなりゴルフコースに出て、ぜーはー言いながらボールを追いかけているのと同じです。
ゴルフを上達しようと思ったら、まずはルールを覚えたり、素振りをしたり、ゴルフ練習場でボールの打ち方を練習したりしますよね?
英会話も同じです。英会話を上達しようと思ったら、まずは基礎力を身につける必要があります。
文法をネイティブから習ってもわかるようにならない
-ゴルフのたとえはイメージしやすいです。中には、英会話スクールで文法を教えてくれるところもあるようです。このような学び方はどうでしょうか?
ネイティブ講師から文法を習う場面を想像してみてほしいのですが、関係代名詞や時制について英語で説明されても、よく理解できないはずです。
ただでさえ難しい文法を、英語で習うのは頭に負荷をかけすぎで、思考が追い付かなくなります。
そもそも、「ネイティブから文法を習うと良い」とする教授法は、19世紀に提唱された「ネイティブの子供に対するのと同じように教えれば良いのではないか」という手法で、科学的根拠はまったくありません。
ネイティブ講師の話し方≠英語ネイティブの話し方
-私も以前、ネイティブから文法を習ったことがありますが、残念ながら身につきませんでした......。他にも、英会話スクールに通っても英語が身につかない理由はありますか?
英会話スクールのネイティブ講師は、日本人に向けてゆっくり、単語と単語を切ってハッキリと発音しています。言い換えると、レッスンで話す英語は普段のネイティブの話し方と異なります。
『アナと雪の女王』の主題歌“Let it go.”は「レット・イット・ゴー」ではなく「レリゴー」と発音しますよね? これは、単語と単語の音が連結しているからです。ネイティブは普段の会話では「レリゴー」と発音しますが、英会話レッスンでは「レット・イット・ゴー」と発音しているイメージです。
なぜこんなことが起こるのかというと、ゆっくり、はっきり話さないと、そもそも生徒が聞き取れず会話が成立しないからです。
つまり、英会話スクールでネイティブから習っても、普段のネイティブの話しを聞き取れるようになりませんし、ネイティブらしい話し方も身につきません。
だから、シャドーイングなどでネイティブが話す英語の音に慣れてから英会話レッスンを受けるのが重要なのです。
独学ではビジネス英会話力が身につかない3つの理由
-英会話スクールに通っても英語が話せない理由がよくわかりました。勉強熱心な方の中には、独学で英語を身につけようとする人もいます。独学については、どのようにお考えですか?
現実的に、独学のみでビジネス英語を身につけるのは簡単ではありません。理由は大きく分けて3つあります。
- 現状把握ができず、自分に合った教材を選べない
- 一人だと、英語学習が順調なのかわからない
- オンライン英会話だと、ビジネス英語習得には限界がある
-一つずつ教えていただけますか?
現状把握ができず、自分に合った教材を選べない
英語学習のゴールを定めた後、次のステップとして自分の現状レベルを正確に捉え、ゴールとのギャップを把握します。
トライズでは、受講開始前にVERSANTを験してもらい、英会話力を定量的に測定します。さらに、ネイティブコーチとの模擬レッスンを通じ、コンサルタントとコーチが受講生様のレベルを把握します。
このように、現状レベルを正確に把握するには大きな労力がかかるので、独学で実践するのは簡単ではありません。
さらに、ゴールと現状のギャップを埋める学習計画を立て、適切な教材を選ぶことが重要です。もちろん、一冊の教材を選べばよいのではなく、小さなステップに分けて、どの段階でどの教材に取り組めばよいかを設計します。
トライズでは、専門知識を持ったコンサルタントが学習設計と教材の選定を行いますが、このプロセスを独力でやるのは至難の業です。
一人だと、英語学習が順調なのかわからない
-私もトライズのコンサルティングを受けましたが、独力で現状把握をして、学習設計をするのは難しいと感じました。次に、2つ目の理由を教えていただけますか?
一人で学習していると、英語学習が順調に進んでいるのか評価することができません。あなたも経験があるかもしれませんが、最初はモチベーション高く勉強を始めても、一週間くらいすると「このまま勉強を続けて、本当に英語が伸びるのだろうか」と不安になる人が大半です。
成長実感が持てないと、学習を続けられなくなったり、せっかく始めた教材をやめて別の教材を始めてしまったりします。こうなると、英語力を伸ばすのは困難です。
トライズでは、成長を実感できるよう、2週間に1回プログレスチェックをしたり、月に1回VERSANTを受験いただいたりしています。それでも、「本当に英語学習が順調か心配です」と言う受講生が多いですね。
なぜかと言うと、英語力の日々の変化はとても小さいからです。だから、「毎日3時間も勉強しているのに、全然英語力が伸びない」と不安になってしまうのです。
トライズではコンサルタントが「順調に進んでいますよ」と伝え続けています。
英語はあるとき一気に伸びる
また、英語力は一定のペースで伸びるわけではありません。しばらくは、ほとんど伸びを実感できない時期が続き、あるとき一気に伸びることがあります。
スポーツをやったことがある人は同様の経験があるはずです。しばらく練習しても上達しませんが、あるタイミングで一気に上達しますよね?
英語も同様で、あるポイントを超えると一気に伸びます。しかし、独学だとその手前で挫折してしまう人が多いです。
オンライン英会話だと、ビジネス英語習得には限界がある
-アウトプットの場を作るため、オンライン英会話で学習する人もいます。独学にオンライン英会話を取り入れるのは良いアイディアなのでしょうか?
たしかにアウトプットの場を作るのは重要なのですが、オンライン英会話でビジネス英語力を身につけるのは難しいと思います。
その理由は、大半のオンライン英会話は講師が固定ではなく、好きな講師をランダムに取る方式だからです。
本来はゴールに向けたロードマップを描き、それに合ったレッスンを設計するべきです。しかし、毎回講師が違うとロードマップに沿ったレッスンを設計することができません。
また、ビジネス経験がない講師の場合には、ビジネスの現場で使われる英語のコミュニケーションの実態を知りません。そのため、ビジネスシーンに即した英語表現を教えることができません。トライズは、ネイティブコーチの採用に力を入れています。単に英語が話せるだけではなく、自分でビジネスをしていたり、大手グローバル企業に勤めたりしていたネイティブを採用しています。
他の英語コーチングスクールとトライズの違い~軽トラとブルドーザー~
-ありがとうございます。ここまでのお話で、英語を身につけるべき理由と、英会話スクールや独学ではビジネスで使える英語を身につけるのは困難なことがわかりました。最近、トライズの他にも英語コーチングスクールが出てきています。他のスクールと比べたとき、トライズはどんな特徴があるのでしょうか?
そうですね。軽トラとブルドーザーくらいの違いがあります。3つの観点で説明します。
- ネイティブレッスンの有無と学習量の違い
- 3ヵ月ではゴールまでのロードマップを作れない
- 本当に生徒に寄り添う必要があるのは、3ヵ月以降~死の谷、苦の谷~
-一つずつ教えていただけますか?
ネイティブレッスンの有無と学習量の違い
英語コーチングスクールの中には、インプットがメインでアウトプットの場がないスクールがあります。トライズは、アウトプットの場として週3回のネイティブレッスンを設けています。
さらに、多くのスクールは学習期間が3ヵ月ですが、トライズでは1年間学んでいただきます。学習量が圧倒的に違いますよね。
この違いをマップに表すと次のようなカタチになります。一目瞭然で、トライズの学習内容は他社と比べて圧倒的に多いことがわかります。
本当のことを言うと、自社で英会話レッスンを提供すると私たちの利益は減ってしまいます。英会話レッスンを提供するためにコストをかけているからです。トライズの利益だけを考えたら、英会話レッスンを提供せず受講生に自習していただくだけのプログラムにした方が良いのですよね。
しかし、私たちは受講生に真の英語力を身につけてゴールを達成し、活躍してほしいと心から思っています。利益を増やすためにウソをついたりごまかしたりするのは私たちの信念に反します。
だから、アウトプットの場を提供したり、12ヵ月のサポートを提供しています。
3ヵ月ではゴールまでのロードマップを作れない
-なるほど。受講生の英語力を伸ばすために、アウトプットの場を設けたり12ヵ月のプログラムにしているわけですね。2つ目の理由を教えていただけますか?
トライズがこれまで受講生をサポートしてきた経験から言いますと、3ヵ月では短すぎてゴールまでのロードマップを作れないんですよね。
最初の3ヵ月くらいは、基礎力を身につけていただくため『瞬間英作文』などの教材を使うことがあります。たしかに良い教材ですが、生徒一人ひとりにカスタマイズしたものではなく、あくまで基礎力をつける目的です。
⇒ご参考:英語学習アプリ「瞬間英作文」を使って感じた3つの長所~TOEIC900が解説~
多くの受講生様の場合、3~4冊目に、本人のゴールに合わせカスタマイズした教材に取り組んでいます。たとえば、会計士の場合は“English for accounting”などの教材ですね。この、生徒にカスタマイズした教材に取り組むことで、はじめて本人のゴールにたどり着けるわけです。
3ヵ月のプログラムの場合だと、基礎力をつけるための『瞬間英作文』だけで終わってしまいます。言い換えると、3ヵ月では受講生様がゴールにたどり着くまでのロードマップを作れないということです。
トライズは、受講生がゴールを達成することを重視しているので、1年間のプログラムとしています。
本当に生徒に寄り添う必要があるのは、3ヵ月目以降~死の谷、苦の谷~
-なるほど。受講生様にカスタマイズするためには、1年間のプログラムが必要なのですね。もう一つの理由を教えてください。
これもトライズで受講生様をサポートしてきた経験から言えることですが、最初の3ヵ月くらいは順調に英語力が伸びる方が多いです。しかし、真の壁にぶち当たるのはその後です。
私たちは「死の谷」、「苦の谷」と呼んでいますが、4ヵ月目、9ヵ月目あたりに伸び悩む人が多いです。そして、この苦しい時期にこそ、私たちは受講生様に寄り添う必要があります。そうしないと、ゴールを達成できず、せっかく伸ばしてきた英語力が無駄になってしまうからです。この時期にサポートするからこそ、コンサルタントの価値があるわけです。
しかし、3ヵ月のプログラムの場合、この伸び悩みの時期を迎える前に卒業してしまいます。卒業後に英語学習を継続するかは、受講生様次第なので学習を継続できなくなり、結果として真の目標を達成できない人もいるのではないか、と思います。
「科学的な英語学習法」とは?
-なるほど。トライズがなぜ1年のプログラムなのかが、よくわかりました。最近、「科学的な英語学習法」、「科学的トレーニング」という話をよく耳にします。このことについて、三木社長はどのようにお考えですか?
第二言語習得論は科学として未成熟
「第二言語習得論に基づいた科学的学習法」というキーワードが広まっていますよね。たしかに第二言語習得論は研究者たちが何十年もかけて研究してきた成果なので、参考にすべき点もあります。しかし、誤解を恐れずに言えば第二言語習得論は、まだ科学としては未成熟です。
たとえば、第二言語習得論に「インプットが大事」と主張する「インプット仮説」がありますが、根拠が十分にあるわけではありません。
医学、薬学、心理学などの分野では、多くの試験をして「この仮説は、ほぼ確実に間違いがないだろう」というところまで妥当性を検証して、人の治療をしています。
ですが、第二言語習得論には医学、薬学、心理学の研究のような根拠となるデータが多くありません。「ある集団に、ある教え方を試して効果があったか?」を観察する、などのデータしかありません。
それはなぜかと言うと、医学と違って言語習得の場合は、同じ条件の人を集めて学習法を試し、データを取るのが困難だからです。今ではVERSANTのようにスピーキング力を測定するテストがありますが、以前は正しく英会話力を測定する方法もありませんでした。第二言語習得論の根拠が弱いのは、ある意味、仕方のないことなんです。
理論を提唱する研究者自身もそのことをわかっていて、インプット「仮説」と呼んでいます。つまり、「検証されていない単なる仮説だよ」と認識しています。
このような背景があるので、第二言語習得論の一部を切り取って、あたかも「科学的に正しい学習法」と主張することに、私は違和感を覚えます。
第二言語習得論を真の科学にするために~トライズ語学研究所の役割~
-「科学的な英語学習法」と言われるものにも注意が必要なのですね。
そうなんです。私は第二言語習得論を真の科学にしたいと思い、トライズ語学研究所を設立しました。
たとえば、トライズでは多くの受講生にVERSANTを定期的に受験してもらっています。成長度合いを見える化して、成長実感を持ってもらうためです。そして、このVERSANTのデータを分析して「英語力を上げるのに有効な教え方は何か?」を研究しています。
初めてデータ化したTOEICとスピーキング力の相関
-データを分析して、どんなことがわかったか教えていただけますか?
先ほど、「TOEICのスコアと、VERSANTのスコアはあまり相関しない」ことを示すデータをお見せしましたよね? これはトライズが取ったデータを基にしています。
これまで、
- TOEICを伸ばせば、英語を話せるようになる
- いやいや、TOEICの点を伸ばしても、英語を話せるようにならない
と主張している人は多くいました。
しかし根拠となるデータを取り、分析した人はいませんでした。
今回、はじめてTOEICスコアとスピーキング力にあまり相関がないことを示すデータを取りました。これは多くの受講生の英語力をトラッキングしているトライズだからこそ、できることです。
このように地道なデータの蓄積をして、第二言語習得論を真の科学にしていきたいと考えています。
シャドーイングは万人に効果があるわけではない
-他にも研究してわかったことはありますか?
そうですね......。
一般に、シャドーイングは英語リスニング力アップに効果的だと言われています。英語らしい音を聞き取れるようになるからですね。なので、シャドーイングをカリキュラムに入れているスクールが多い。もちろん、トライズの受講生にもシャドーイングを実践してもらっています。
ですが、データを蓄積する中で、シャドーイングにも注意が必要なことがわかりました。
受講生の中には耳が非常に良い人がいるんですよね。過去に音楽をやっていた人などで、全体の2~3割が当てはまります。このような人は、英語の音の聞き取りはスムーズにでき、シャドーイングも早くできるようになったりします。この姿を見ると、「この人は順調に進んでいるな」と思ってしまいがちです。
しかし、実際には音と文字が結びついておらず、シャドーイングができても意味が理解できていなかったり、英語の文字とリンクしていなかったりというケースがあります。この場合、ただシャドーイングに取り組むだけでなく、音読やディクテーションなどのトレーニングを取り入れる必要があります。
こういったことが、データを分析するうちにわかるようになってきました。
インストラクショナル・デザイン×第二言語習得論が必要
-なるほど。そんな事例もあるのですね。
実は、先ほどの事例に気づいたのは私がインストラクショナル・デザインを研究した経験があったからです。
インストラクショナル・デザインでは、生徒一人ひとりにパーソナライズするため、人間の特性を類型化しています。たとえば、「目で見て覚えるのが得意」、「耳で聞いて覚えるのが得意」、「身体を動かして覚えるのが得意」などです。先ほどの事例は、「耳」が得意な人のケースに当たります。
インストラクショナル・デザインは、英語に限らず、効率的な学習法を研究してきた「科学」です。なので、真の「科学的な英語学習法」には、インストラクショナル・デザインと第二言語習得論の両方が必要です。もちろんトライズでは、両方の知見を活かしてプログラムを設計しています。
科学は大事だが、ゴール設定を忘れてはいけない
-なるほど。真の科学的な英語学習法を目指されているのですね。
そうです。ただ、「科学的な学習法」にも注意が必要です。
科学が教えてくれるのは、「どのように学習すればよいか?」です。あなたが、「何のために英語を学習するのか?」、「英語を使ってどうなりたいか?」は科学ではわかりません。科学的な学習法を実践するのは重要ですが、最初にゴール設定をすることがもっと大事です。
ゴール設定を怠ると、「効率的な山登りの方法を知り、意気揚々と山登りをして頂上にたどり着いてみたら、自分が登りたかった山と違っていた......」なんてことに陥りかねません。
くり返しになりますが、学習を始める前に「何のために英語を身につけたいのか?」、「英語を使って何をしたいのか?」を明確にしてくださいね。
日本人は英語を身につけると、もっと活躍して良い暮らしができる
-ありがとうございます。日本人が英語を話せない構造的な理由がよくわかりました。そもそもですが、日本人が英語を身につけると、どんな良いことがあるのでしょうか?
ここ20年、日本だけ給料が増えていない
過去20年を振り返ると、日本人の給料は増えていないどころか減少傾向にあります。一方で、海外の先進国はどの国も給料が増えています。アメリカは15%、スウェーデンに至っては38%も伸びています。日本だけが、給料が増えていないのです。
同じスキルでも、英語ができるだけで収入が2倍、3倍にもなる
-そうだったのですね。実際に、海外に行くと収入が上がるものなのでしょうか?
はい。業界によっては、同じスキルセットでも海外に行くだけで収入が2倍、3倍になることもあります。トライズの受講生様でグローバルなIT企業の日本支社に勤めていた方がいます。この方はトライズで英語を身につけ、海外の本社に移籍しました。その結果、収入が大幅に増えたと聞いています。
言い換えると、ITスキルは変わっていないにも関わらず、英語ができるようになっただけで収入を増やすことができるということです。
だから、技術がある人、スキルがある人は英語を身につけた方が良いですね。英語を身につければ、どこでも仕事ができますし海外で働くチャンスも得られます。たしかに日本は良い国だと思いますが、個人として考えるとリスクを減らせますし自由に生きられます。
日本代表のサッカー選手がトライズを受講する理由
-なるほど。たしかに外資系企業で働く人は収入が高いと聞きます。専門分野のスキルは変わらなくても、英語を身につけるだけで収入を上げられるわけですね。
そうなんです。スポーツ選手も英語を身につけると活躍の場が広がります。トライズの受講生様に、日本代表のサッカー選手がいます。中山選手、菅原選手、守田選手です。
サッカー選手であっても、海外で活躍するには英語が欠かせません。サッカー選手が海外で活躍するために重要なのは、フル出場することです。フル出場すると、活躍するチャンスが増え、結果が出るわけです。
ところが、体調不調に陥ったりケガをしたりすることがあります。そんなとき、監督やコーチと英語でコミュニケーションをして、「大丈夫、問題なく出場できる」と伝えなくてはいけません。そうしないと、出場できなくなり活躍のチャンスがなくなってしまうからです。
菅原選手は「英語で自分の体調を監督に細かく伝える」ことをゴールに据えて、英語学習を進めています。そして、実際に菅原選手はMOM(マン・オブ・ザ・マッチ)に選ばれるほど活躍しています。
「軸」を持っている人は、英語を身につけるべき
-サッカー選手にも英語が必要なのですね。
はい。サッカー選手に限らず何らかの「軸」、つまりスキルや技術を持っている人は、英語を身につけるべきだと思います。
英語を身につけるだけで、見えてくる世界が変わります。活躍の場が広がり、より良い暮らしができるようになります。私は、「英語を身につけると、日本人は大きく変わる!」と思っています。
実際、日本人は優秀な人が多いのですよね。ミーティングの場で、外国人は本当によく喋るのですが、実は全然大したことを言っていない。アメリカ人もブラジル人もインド人も、自信満々に話ますが、大した内容でなかったりします。「おっ」と思うようなことを言う人は100人に1人くらいです。
それなのに、英語ができないために日本人は言い負かされてします。せっかく技術があったり、仕事があったりしても、外国人との交渉で負けてしまう。
それどころか、会議で発言ができずに存在すら認識してもらえないことさえある。特にオンラインの会議で4人以上の出席者がいると、積極的に発言しないと、そもそも物の数にすら入らない。
これは、本当にもったいないことです。私は教育者として、日本人のこの現状を変えたい。一人でも多くの日本人が英語を身につけて、世界で活躍してほしいと思いますね。
「軸」が分からない人は、まず行動する
-英語を身につけるだけで、日本人は大きくブレイクスルーできるわけですね。中には、「自分の軸が分からない」という人もいるかと思います。そのような人は、どうしたらよいのでしょう? それでも、英語を身につけた方が良いのでしょうか?
まずは行動してみることですね。
英語を身につけるのでも良いですし、英語以外のことでもOKです。
「自分は何に興味があるか分からない」という人は、憧れの人を真似てみるのも一つの手です。あるいは、人に会いに行ってアドバイスをもらうのも良いです。
孫社長は、学生時代に日本マクドナルド社長の藤田田さんのところに行き、「これから私は何を学べばよいでしょうか?」と聞いたそうです。そして、「コンピューターを学びなさい」とアドバイスをもらい、ITを学ぶことを決意しました。
このように、まずは何か行動することで、道が拓けます。
一番ダメなのは、何も行動しないことです。
自動翻訳やAIが発展しても英語学習は必要?
-日本人が英語を身につけるメリットがよく分かりました。世の中には、「自動翻訳やAIの精度があがるから英語は不要」という人もいます。三木社長は、どのようにお考えですか?
文字ベースの情報は自動翻訳に置き換わる
文字ベースの情報は自動翻訳で十分になります。すでに現在でも、文字ベースの自動翻訳の精度は高く仕事でも使えるレベルになってきています。
英語を日常的に使うビジネスパーソンでも、読み書きに自動翻訳ツールを使っている人は多いはずです。
この意味でも、TOEIC対策の重要性はますます低くなっていくでしょう。
英語でディスカッション、質疑応答ができるか?
-なるほど。では、今後は英語力の重要性は下がるということでしょうか?
いえ、そうではありません。
文字ベースの情報はどんどん英語化されています。論文はその代表例で、日本国内での学会でも、英語で論文を執筆することもあります。そして、論文が英語になるということは、それにまつわる学会発表も英語で行われます。すると、当然ディスカッションや質疑応答も英語で行うことになります。
つまり、文字ベースの英語情報が増えれば増えるほど、英語でディスカッションをする機会が増えるということです。
そして、ディスカッションや交渉、プレゼンの質疑応答などは人間がする必要があります。だから、ビジネスで使える英会話は身につけるべきです。
なぜかと言うと、ディスカッションや交渉では瞬発力が重要だからです。何か言いたいことがあっても、瞬時に言葉が出てこないと他の人が発言をしてしまい、結局言いたいことが言えなくなってしまう。結局、相手の主張が通ってしまい言い負かされてしまいます。
また議論をするとき、内容だけでなく話すテンポやリズムなどを通じ、行間を読んで相手の意図を理解します。そのとき、英語力の問題で一拍遅れてしまうと、ミスコミュニケーションの原因になりかねません。
「通訳を使えばいい」と言う人もいますが、他の外国人は英語で問題なくコミュニケーションできるのに、日本人だけのために通訳を挟むのは相手にとって相当面倒です。ビジネスの付き合い自体を敬遠されてしまいかねません。「英会話」は日本人以外にとって解決済みの問題です。
仮にドラえもんの道具「翻訳コンニャク」のような、リアルタイムで完璧な同時翻訳ツールが普及すれば、英会話力は不要になるでしょう。しかし、少なくとも30年くらいはこのような自動翻訳ツールは普及しないと考えています。
-ありがとうございます。ビジネス英会話力は今後ますます重要性が増していくのですね。
英語を話せる人を増やし、その人の活躍を応援したい
-次に、トライズの今後の展開について教えていただけますか?
英語学習業界にビッグバンが起こる
私は、これから英語学習業界にビッグバンが起きると感じています。どういうことかというと、これまで主流だった英会話スクールなどに代わって、英語コーチングが主流になると予測しています。なぜなら、英語コーチングで結果を出す人が増えているからです。
トライズだけでなく、他にも英語コーチングスクールが増え始めていますし、英会話スクールもコーチングを取り入れようとしています。この意味では、最初にパーソナル形式の英語コーチングを始めたトライズは、チャレンジを受けていると言えます。
トライズには、2015年から蓄積してきた経験と実績があります。これからも本質を外さず、多くの人の目標達成をサポートしていきます。
英語を話せる人を増やし、活躍を応援したい
私は英語を本当の意味で話せる人を増やし、その人の活躍を応援する仕組みを作りたいと思っています。たとえば、トライズの卒業生の佐々木さんはVRを活用したドライバーの安全教育をするサービスをはじめました。このように、世の中に役立つことにチャレンジする人の活躍を応援していきたいです。
もともと私は、「プロジェクトマネジメントを使って、社会に貢献したい」、「孫正義流で世の中を良くしたい」との想いでソフトバンクから独立しました。これまで、トライズのプログラムを通じて多くの受講生の目標達成に貢献してきました。これから、より多くの方の未来を拓くサポートをしていきたいと思っています。
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