第二言語習得論に学ぶ「言語適性」とは?英語習得に成功する人の5つの特徴

「もっと英語の才能があればよいのに......。」

こう感じたことがありませんか?

 

言語適性とは外国語の習得のしやすさを表します。

 

いわば外国語習得の才能ですが、言語適性が「ある/ない」と0-100で考えるのではなく、細分化して捉えることで、自分の現状を正確に把握できるようになります。

そして、正しい学習戦略を立てられるようになり、結果として英語力を伸ばしやすくなります。

 

私は今では英語コーチをしていますが、以前は英語力を伸ばせなくて苦労しました。いくら英会話スクールに通っても英語を話せるようにならず、「英語の才能がないのではないか......」と思い、英語習得をあきらめかけていました。

以前の私のように、「自分には英語の才能がないのでは?」と思っている方に向けて、この記事を書きました。

 

この記事でわかること
  • 英語習得に成功する人の5つの特徴
  • 外国語適性の3つの要素
  • 言語適性、外国語適性との向き合い方

     

    第二言語習得論に学ぶ言語適性とは?|英語習得に成功する人の5つの特徴

    言語適性とは外国語習得のしやすさを表します。つまり、言語適性が高いと英語を身につけやすく、言語適性が低いと英語が身につきづらいということです。

     

    第二言語習得論と呼ばれる学問領域があります。人が第二言語(外国語)を習得するプロセスやメカニズムを研究する分野です。言語学、脳科学、文化人類学など様々な分野の知見を集めた学際的な研究領域です。

     

    第二言語習得論の研究の結果、言語適性が高い人の5つの特徴がわかってきました。

    英語習得に成功する人の5つの特徴
    1. 年齢が若い
    2. 言語間の距離が近い
    3. 外国語適性が高い
    4. 動機付けが強い
    5. 学習法が効率的

     

    年齢が若い

    1つ目の特徴は年齢です。年齢が若いほど、外国語を習得しやすいと言われています。

     

    第二言語習得論に「臨界期仮説」と呼ばれるものがあります。

    臨界期仮説とは、ある年齢までに外国語の勉強を始めないと、ネイティブレベルになれないとする理論です。臨界期を何歳までとするのかには諸説ありますが、幼少期から学習を開始した方が、外国語を身につけやすくなります。

     

    →大人は英語習得には手遅れ? 言語習得の臨界期仮説への批判と真実

     

    言語間の距離が近い

    言語間の距離が近いほど、外国語を習得しやすくなります。言語間の距離とは、二つの言語がどれくらい似ているかを表します。文法や単語の構造、音の類似性などにより決まります。

     

    英語と日本語の言語間の距離はどの程度でしょうか?

    アメリカの外交官を育成するFSI(Foreign Service Institute)という機関が過去70年間の教育経験を元に、アメリカ人が外国語を習得する難易度と必要となる学習時間をまとめた結果が参考になります。

     

    カテゴリー言語習得にかかる時間
    カテゴリーⅠイタリア語、デンマーク語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語、など600~700時間
    カテゴリーⅡドイツ語、インドネシア語、スワヒリ語、マレーシア語、など900時間
    カテゴリーⅢクロアチア語、チェコ語、フィンランド語*、ロシア語、ベトナム語* など1100時間
    カテゴリーⅣアラビア語、中国語、韓国語、日本語*2200時間

    *マークは同じカテゴリーの中で、他の言語より習得が難しい。

     

    上の表からわかるように、英語ネイティブにとって日本語は最も習得しづらい言語です。反対に、日本人にとって英語は習得しづらい言語といえます。つまり、日本語と英語は言語間の距離が遠いということです。

     

    外国語適性が高い

    外国語適性が高いほど、外国語を習得しやすいといえます。遺伝により生まれ持った言語の才能です。

    第二次世界大戦中(1940年代)から外国語適性について研究がされてきました。敵軍の情報を収集するための人(要はスパイ)を選別する目的です。

     

    その後、研究が進み外国語適性には3つの能力が関係していることがわかってきました。

     

    外国語適性3つの要素

    ① 言語分析能力(文法能力)
    ② 音声認識能力
    ③ 記憶力

    の3つです。詳しくは後ほど解説します。

     

    また双生児(双子)の研究により、外国語習得能力の約50%は遺伝で説明できることがわかってきています。

    さらに、2016年のワシントン大学の研究により、COMTと呼ばれる遺伝子変異を見ると、外国語習得能力の46%が説明できることがわかりました。

     

    つまり、外国語適性の約50%は遺伝で説明ができるということです。ちなみに、残りの50%は「環境」で決まります。

     

    50%が遺伝と聞くと、「英語を勉強しても無駄だ」と思う人もいるかもしれません。しかし、音楽(90%)、スポーツや数学(80%)、IQや学業成績(60~70%)と比べて外国語適性が遺伝で決まる割合は低めです。スキルを身につける立場からすると、英語学習は「コスパの良い投資」と言えます。

    遺伝が外国語適性に与える影響の詳細は、以下の記事にまとめたので読んでみてください。

    →英語習得は才能や遺伝が5割! 英語学習業界の不都合な真実

     

    動機付けが強い

    外国語習得に対する動機付けが強いほど、外国語を身につけやすくなります。

    「英語を話せるようになって、海外と仕事をしたい」、「海外文化に触れて、外国人と仲良くなりたい」などの内発的動機でも構いませんし、「TOEICスコアを伸ばして、昇進したい」などのように打算的な動機でも構いません。

     

    英語習得に対する動機付けが強いことが重要です。

     

    注意が必要なのは、いくら動機付けが強くても、実際に英語学習をしないと英語力は伸びないということです。日本人の多くは「英語を身につけたい!」と思っていますが、現実には日本人の英語レベルは国際的に見ても低いレベルです(※)。

     

    ※2019年:TOEICスコアの国際比較

     

    その理由の一つに、「英語を身につけたい!」と思っていても、実際の英語学習時間が短い、つまり英語学習という行動に移せていないことが挙げられます。

    つまり、強い動機+実際の行動のセットが重要ということです。

     

    学習法が効率的

    第二言語習得論の研究から、効率的な学習法と、効率的でない学習法の違いがわかってきています。

     

    重要なポイントは、「大量のインプットと少量のアウトプット」で学習を進めることです。インプットとは、リーディングやリスニングなどを指し、アウトプットとは、ライティングやスピーキングを表します。

    ース・ウェスタン・リザーブ大学の白井恭弘教授によると、インプット:アウトプットの比率は7:3~8:2が適切と言われています。つまり、1時間の英会話レッスンをやったら、4時間インプット学習をするのがよい、ということです。

     

    科学的に効果のある学習法については、以下の記事を参考にしてください。第二言語習得論に加え、短期間で成果を出す「限界的学習」についてもまとめました。

    →英語勉強法の効率が変わる5つのポイント|科学的な英語上達法

     

    外国語適性とは何か?

    ここから、外国語適性について解説します。

    優秀な外交官を選別するための外国語適性テスト~MLAT~

    もともと、スパイや、外交官を選別するために研究が始められました。短期間で外国語を習得できる能力がある人を選んで教育すれば、時間やお金のコストを抑えられるからです。

    1950年代にジョン・キャロルがMLAT(Modern Language Aptitude Test)と呼ばれる外国語適性を診断するテストを開発しました。このテストは半年~1年程度の短期間で外国語を習得する能力を測る目的で作られました。

    →ご参考:MLAT

     

    MLATは大きく3つの要素から適性を測定します。

    ① 音声に対する敏感さ(音声認識力)
    ② 文法に対する敏感さ(言語分析力)
    ③ 記憶力

    これら3つの要素のスキルが高いほど、外国語適性が高いといえます。

    音声認識力

    音声認識力とは、言語を聞き取る能力と、聞いた音を頭に保持する能力を指します。

    リスニング能力と言い換えることもできます。

    言語分析力

    言語分析能力とは、文法に対する敏感さのことです。

    たとえば、SVOなどの文法構造を見抜く力などです。

    記憶力

    丸暗記の能力で、主に短期的な記憶力(短期記憶)の良さを表します。

    たとえば、40秒で提示された単語を覚えて、その後で正しい単語を選ぶ、などのテストで測定されます。

     

    MLATテストからわかってきたこと

    MLATテストを用いた調査から以下のことがわかってきました。

     

    MLATの調査でわかったこと
    1. 適性と外国語学習の成果には強い相関がある。
    2. 外国語適性は「あり/なし」ではなく、程度の問題。
    3. 3つの要素の組み合わせは人それぞれ。

       

      つまり、以下のイメージです。

      AさんBさんCさん
      音声認識力90点50点30点
      言語分析力(文法力)30点40点90点
      記憶力20点90点40点

       

      このように、人により得意な能力が違うということです。

       

      また、3要素の重要性は学習段階によって変わってきます。

      学習の初期段階(子供)は、音声認識力が重要です。一方、学習が進んだ段階(大人)にとっては、記憶力が大事です。

       

      外国語適性研究から得られた知見

      外国語適性とIQは必ずしも一致しない

      「英語(外国語)ができる人=頭が良い人=IQが高い人」となるのではないか? と考えられていたこともありますが、外国語適性とIQは必ずしも一致しません。

      実際、数学や物理が得意でも英語が苦手な人もいますし、反対に数学が苦手でも英語が得意な人もいます。

      適性と学習法をマッチさせると、学習効果が高くなる

      音声認識力が高い人は、リスニング学習により英語力が伸びやすく、記憶力が高い人は丸暗記学習で結果を出しやすい、という感じです。

      このように、言語適性の3要素の長所と学習法をマッチさせると学習効果が高まります。

       

      ただし、いくら音声認識力が高いからといって、リスニング学習のみでは英語力は伸び悩みます。なぜなら、文法や単語の暗記は避けて通れないからです。

      学習内容のバランスを取るのは大事ですが、自分の言語適性の強みを理解して、英語学習法を設計するのは効果的です。

       

      注目されるワーキングメモリ

      最近の研究により、ワーキングメモリの言語適性への影響が注目されています。ワーキングメモリとは、情報を数10秒間、短期記憶に保持し、同時に情報を操作する能力です。脳の容量と呼ばれることもあります。

      ワーキングメモリは、認知心理学の分野で1970年代頃から注目されています。言語適性の「記憶力」の拡張版といったところです。

      →ご参考:ワーキングメモリ

      まとめ|自分の言語適性を知り、学習戦略に活かそう

      この記事では言語適性、外国語適性について紹介してきました。

      第二言語習得論の研究によると、言語適性が高い人の特徴は以下の5つです。

      1. 年齢が若い
      2. 言語間の距離が近い
      3. 外国語適性が高い
      4. 動機付けが強い
      5. 学習法が効率的

       

      年齢、言語間の距離、コントロールできませんが、外国語適性の一部(約50%)、動機付け、学習法は自分でコントロールができます。

       

      自分がコントロールできることを知り、英語学習戦略に活かすと効果的に英語力を伸ばせるようになります。

       

      英語の動機付けや目標設定に関する詳細は以下の記事を参考にしてください。通常の目標設定法と比べて2倍の達成率が得られる、WOOP(ウープ)の法則を紹介します。

      →WOOP(ウープ)の法則を使った英語勉強の目標設定の例【達成率2倍!】

       

      科学的な英語学習法の詳細はこちら

      →英語勉強法の効率が変わる5つのポイント|科学的な英語上達法

       

      参考文献

      英語教師のための第二言語習得論入門

      第二言語習得と英語科教育法

      はじめての第二言語習得論講義: 英語学習への複眼的アプローチ

      A. Baddeley (2000), The episodic buffer: a new component of working memory? 

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