- TOEICスコアは高いけど、ビジネス英会話に苦手意識があり、尻込みしてしまう
- 英語の会議で、相手の言うことは分かるが、自分の意見を言えなくて悔しい思いをした......
- 自分の専門領域の会話は何とかなるけど、懇親会などカジュアルな場の英会話が憂鬱(ゆううつ)......
この記事は、このような悩みを持つ方に役立つ内容です。
今回、筆者は仕事で結果を出せるビジネス英会話を身につける方法について、ENGLISH COMPANYのトレーナーからお話を伺いました。
ENGLISH COMPANYは、「時短で受講生の英語力を伸ばす」英語パーソナルジム。2015年の創業以来、3ヵ月でTOEICスコアを300点伸ばすなど、受講生が驚異的な成果を出しています。
今回の取材では、ENGLISH COMPANYが2021年7月に「ビジネス英会話コース」としてリニューアルした上級グループコースの内容について詳しく教えていただきました。
タップできる目次
お話を伺ったENGLISH COMPANYトレーナーのプロフィール
幼少期よりハリウッド映画に憧れ、カリフォルニア州立大学でコミュニケーション学を専攻。
課外活動では米国人に混じって、演技やアクションスタントを行った経験もある。
ENGLISH COMPANYは、短期で英語力を伸ばすパーソナルジム
-最初に、ENGLISH COMPANYについて簡単に教えていただけますか?
(清水さん)ENGLISH COMPANYは90日の短期集中トレーニングで受講生様の英語力を飛躍的に高める、英語パーソナルジムです。
2015年の創業以来、パーソナルトレーニングを通じ、3ヵ月でTOEICスコアを300点伸ばすなど、受講生様は大きな成果を挙げています。
もちろん、TOEICスコアアップを目的としているのではなく、英語力全体を底上げしており、TOEICは英語力の指標として使っています。
-なぜ、このような成果が出るのでしょうか?
(清水さん)それは、第二言語習得研究と呼ばれる学問の知見を活かしているからです。第二言語習得研究は、人が外国語を習得するメカニズムを研究する学問領域です。
第二言語習得研究で得られた知見をもとにしたトレーニングを行っているので、無駄を省くことができます。だから、短期間のトレーニングで飛躍的に英語力を伸ばせるわけです。
最近では「第二言語習得研究」をベースにした英語指導を売りにするスクールも増えてきましたが、多くのトレーナーが大学や大学院で第二言語習得研究や言語学などを専門的に学んできた、という点が他社サービスとの違いです。
ビジネス英会話のゴール=ビジネスの場で、英語で相手を説得できるようになる
会議、商談、プレゼンができるようになるのが目標
-早速ですが、ビジネス英会話ができるようになるには、どのようにしたらよいのでしょうか?
(清水さん)まず、「ビジネス英語」や「ビジネス英会話」が何を指すのか考えてみましょう。どんなシーンでビジネス英会話を使いますか?
オフィスでの同僚との会話、上司への報告など色々な場面が思い浮かぶかもしれません。しかし、究極には「会議、商談、プレゼン」を英語でこなすことが、ビジネス英会話を身につける目標であるはずです。なぜなら、ビジネスシーンで行われる会話の大半は、「会議、商談、プレゼン」だからです。
会議、商談、プレゼンを成功させる4つのスキル
-なるほど。確かに言われてみるとそうですね。では、英語で会議、商談、プレゼンを成功させるには、どんなことが必要なのでしょうか?
(清水さん) 4つのスキルが必要になります。
- 物事を説明するスキル
- 要約スキル
- 意見と理由を言うスキル
- 会話をスムーズに進められるスキル
-ひとつずつ説明していただけますか?
物事を説明するスキル
ビジネスにおいて、物事を説明するスキルは欠かせません。たとえば、商談の際に自社の商品を紹介するときにも説明スキルが必要です。
他にも、会議で報告をするときにも、わかりやすく説明するスキルが求められます。
要約スキル
ビジネスシーンでは、さまざまな情報をまとめることが必要になります。たとえば、上司に報告するとき。あなたが知っている情報をすべて伝えようとすると、話がまとまらなくなり上司に伝わらなくなってしまいます。
なので、複雑な情報をコンパクトに要約するスキルが必要になるわけです。
意見と理由を言うスキル
ビジネスにおいて重要なのは、会議、商談、プレゼンなどを通じて相手に行動を起こしてもらうことです。行動してもらわないと、ビジネスが前に進まないからですね。
相手に行動してもらうためには、あなたの意見とセットで説得力のある理由を示す必要があります。日本人同士の場合は、「あうんの呼吸」で意見が通ってしまうことがありますが、英語の場合はそうはいきません。意見とセットで論理的に理由を説明するスキルが求められます。
会話をスムーズに進められるスキル
ここまで説明してきたスキルは会議、商談、プレゼンの最中に必要となるものですが、これだけでは不十分です。
「スモールトーク」と呼ばれる、ちょっとした雑談も、相手との距離感を近づけて信頼関係を築く上では意外と大事なのですが、ここで困ってしまうというお声も多いです。どのようなトピックがふさわしいのかなどもお伝えしていきますし、実際にトレーニングでもスモールトークを行っていきます。
さらに大事なのがコミュニケーションストラテジーと言われる会話のスキルです。例えば、相手の気分を損なわずに反対意見を述べたり、相手の意見を尊重しつつ自分の考えを伝えたりするにはどのようにすればよいのか、といったスキルまで鍛えていきます。
-なるほど。ビジネス英会話に必要な4つのスキルが理解できました。
ビジネス英会話の目標=英語で相手を説得できるようになること
(清水さん)これら4つのスキルをまとめると、ビジネス英会話の目標は、「英語で相手を説得できるようになること」です。
ここまで説明してきたように、ビジネスで成果を出すには、相手を説得して行動を起こしてもらうことが欠かせないからですね。
ビジネス英会話を身につけるには?~概念化と言語化の重要性~
アウトプットができるようになるために必要なこと
-先ほど教えていただいた4つのスキルをマスターするには、英語をアウトプットできるようになる必要がありますよね。ですが、私を含めてアウトプットに苦手意識を持つ人も多いと思います。英語のアウトプットができるようになるには、どうしたらよいのでしょうか?
(清水さん)まず、前提としてアウトプットができるようになるためには、アウトプットの学習をするだけでは不十分で、以下の学習をすべて進めることが必要です。
- 語彙学習
- 文法学習
- 受容スキル
① 読む、②聞く - 産出スキル
① 話す、②書く
語彙や文法を知らないと、文章を作れません。読むスキルがないと、書けないし話せません。また、聞き取れないと会話にならないですよね。
なので、相手を説得できるレベルでアウトプットをするには、これらすべてが必要なんです。
上級者でもアウトプットができない理由
-アウトプットできるようになるには、すべてのスキルが必要なのですね。しかし、TOEICがハイスコアな上級者は、語彙文法や、読む、聞くスキルはすでに持っているはずです。それでも、ビジネス英会話などのアウトプットに苦手意識を持つ人が多いのはなぜなのでしょうか?
(清水さん)この理由をお伝えするために、まず英語をアウトプットするプロセスについて説明します。
アウトプットは以下の3つのステップで行われます。
- 概念化
- 言語化
- 調音・文字化
-ひとつずつ説明していただけますか?
概念化
概念化とは、何を話すか考えをまとめるプロセスです。話のネタを考えたり、話す順番を考えたりすることを概念化と呼びます。
そもそも話すネタがまとまっていなかったり、どこから話せばいいかが定まっていなかったりすると、話すことはできませんよね?
たとえば、「駅からオフィスまでの行き方を教えてほしい」と聞かれた場面を想像してみてください。話を始める前に、「どういう順番で相手に伝えたら分かりやすいかな?」と考えますよね?
一例ですが、次のように説明したりするのではないでしょうか。
「駅からオフィスまでは、歩いて5分くらいです。駅の北口に出ると大きなデパートがあります。そこを右に曲がってまっすぐ歩いていき、右手に見えるコンビニの手前の建物の2階がオフィスです。」
ところが、この説明を英語でしようとすると、例えば「北口に出ると、大きなデパートがあります」というのは、一体どの位置にデパートがあるのか、ということがわからないので、気持ちが悪いのです。通りの向こう側なのか、北口のすぐ脇(右?左?)になるのか、といったことがわからないと、大人がきちんとしゃべる英文としては何か物足りないんです。
あとで詳しく説明しますが、英語には特有のロジックの「型」があります。アウトプットする前に、話す内容や順番を「英語話者に通じやすいロジック」でまとめられるようになることが重要です。
トレーニングを通じて、型を身につけることでこのような概念化の力を鍛えられます。
言語化
-たしかに、話す内容が決まっていないと、何と言っていいかわからなくなってしまいますよね。次に、2つ目の「言語化」について教えていただけますか?
(清水さん)言語化とは、「どの構文を使うのか」「どんな単語や表現を使うか?」といったことを表します。
日本語の会話でも、単語が思い出せなくて、「あれ、これって何と言うんだっけ......?」と言い淀んでしまうことがありますよね? これは、言語化のプロセスで詰まってしまっている状態です。
英語で話す場合は、日本語以上に単語、表現、文構造がパッと出てこなくて話せないケースがあります。トレーニングを通じて、実践で使える英語表現を増やすことが大切です。
調音・文字化
-最後は調音・文字化ですね?
(清水さん)話をする順番が決まり、使う単語や表現が決まったら、次は声に出して発音したり、文字として書いたりします。せっかく概念化と言語化で適切な文章を作れたとしても、ここで間違えたり、発音が明瞭でなかったりすると相手に伝わらなくなってしまいます。また意外と重要なのが、リズムやイントネーションです。
ネイティブレベルの発音を身につける必要はありませんが、相手が理解できる程度の発音を身につけることをおすすめします。
そのためには、例えばシャドーイング(※)などを通じて、英語特有のリズムやイントネーション、発音を身につけることも必要です。
(※)シャドーイングとは、英語の音声の後に続いて発声するトレーニング。
ビジネス英会話の上達には、概念化スキルを鍛えることが重要
-ありがとうございます。ビジネスで使うフレーズを覚えれば、英会話ができるようになるかと思っていましたが、実際には色々なスキルを鍛える必要があるのですね。
(清水さん) 一般的にビジネス英会話を学ぶときに、ビジネスで使われる単語を覚えたり、フレーズを暗記したりすることが多いですよね。
これは「言語化」に集中している状態です。「どうやって話すか?」にフォーカスするわけです。たとえば「この価格だと手が出ないので、もう少し値下げしていただけませんか?」をどうやって英語で表現するか、など。
たしかにフレーズ暗記は重要で意味があります。しかし、すべてのビジネスシーンを想定して、フレーズを暗記することはできませんよね?
単語やフレーズ暗記に加えて、英語で話す「型」を身につけることが大事なんです。なぜなら、型を身につければ、多くの場面に応用できるからです。
たとえば、何かを説明するときに、「一般的な情報を最初に伝え、その後に具体的な情報を伝える」というのは英語で話す「型」の一つです。このように話すと相手に伝わりやすくなります。
この話の「型」は汎用的なので、一回身につけてしまえば、会議、交渉、プレゼンなどあらゆる場面で使うことができるわけです。
なので、「言語化」に加えて「概念化」のトレーニングを通じて、英語の型を身につけることをオススメします。
体験①|説明するスキルを鍛えるトレーニング
-なるほど。概念化と言語化の両方に取り組むことが重要なんですね。具体的にどのようなトレーニングをすれば良いのでしょうか?
(清水さん)いろいろなトレーニングがありますが、今日は2つのトレーニングを体験していただきます。最初は、「説明するスキル」を鍛えるトレーニングです。
説明の仕方で、伝わりやすさが変わる
(清水さん)なぜ、説明するスキルが重要なのかと言うと、説明の仕方で伝わりやすさが変わるからです。
たとえば、次の説明を聞いて、何を表しているか分かりますか?
- それは、赤いです
- それは、丸いです
- それは、世界中で好かれています
- それは、果物です
最後まで聞けば、リンゴを表していることがわかるかもしれません。しかし、赤い、丸いと聞いただけでは何を表しているか分からなかったはずです。なぜなら、一番重要な「果物」という情報が最後に説明されているからです。
-たしかに、途中まで何の話をしているか分かりづらかったですね。
これを、次のような順で説明するとどうでしょうか。
- それは、果物です
- それは赤いです
- それは丸いです
- それは世界中で好かれています。
こちらの説明の方がリンゴだと分かりやすくなったと思います。最初に「果物」であることを示し、対象物を絞っているからですね。このように、説明する順番を変えるだけで、伝わりやすくなります。
他にも、「重要な情報⇒枝葉の情報」という順番もよく使われます。言い換えると「大きなところから、小さなところへ」という感じですね。
グラフを説明してみよう
(清水さん)では、早速ですが次のグラフを説明するトレーニングをやってみましょう。次のグラフを見てください。
ビジネスシーンではグラフを説明する機会が多くありますよね。ですが、いざ英語でグラフを説明しようとすると、「うっ」と詰まってしまう人が多いです。なぜかというと、どこから説明するか、どんな表現を使うかがパッと分からないからですね。
ここの部分がまさに「概念化」の部分になります。どこから説明をすれば良いかわからなければ話し始められませんが、ここに重点をおいてトレーニングを行うことが重要だとENGLISH COMPANYでは考えております。
まずは日本語で練習する
先ほどのグラフを説明するために、まずは日本語で考えてみましょう。考えやすいようにヒントを出してみます。
- 何のグラフ?
- 横軸は何を表している?
- 縦軸は何を表している?
- どんな特徴がある?(3つ)
-一般的な情報から、詳細な情報の順番ですね。
(清水さん)そうなんです。では、これらのヒントを元に、日本語でグラフを説明してみましょう。
たとえば、次のような流れですね。
- このグラフは各国のキャッシュレス化の割合を表しています。
- 横軸には国の名前が見えます
- 縦軸にはキャッシュレスの割合が見えます。
- 3つの特徴があります。
1つ目は、韓国が一番キャッシュレスの割合が多いです。
2つ目は、ドイツが一番キャッシュレスの割合が低いです。
3つ目は、日本は下から二番目です。
-日本語だと、比較的説明が浮かびやすいですね。
ビジネスで使える! 英語でグラフを説明する方法
(清水さん)では、先ほど考えた日本語の説明を元にして、英語でグラフを説明してみましょう。説明の順番は先ほどと同じです。
次の表現をヒントにして英文を考えてみてください。
- This bar graph shows [グラフのタイトル]
- You can see [横軸の要素] on the horizontal axis.
- You can see [縦軸の要素] on the vertical axis.
- We find ~. First, ~. Second, ~. Third, ~.
-先ほどの日本語で練習した説明の順番と同じですね。
そうですね。ヒントを参考にすると、たとえば以下のように説明することができます。
- This bar graph shows cashless rates in different countries.
- You can see country names on the horizontal axis.
- You can see cashless rates on the vertical axis.
- We find three interesting points.
First, South Korea has the highest cashless rate.
Second, Germany has the lowest cashless rate.
Third, Japan is the second lowest cashless rate country.
表現を学び言語化スキルも鍛えられる
-言われてみると、「なるほどな~」と思うのですが、なかなかパッと英語が出てきませんね。
(清水さん)先ほどの例文には、ビジネスシーンで使える英語表現が含まれています。これらを覚えておくと、実践の場で使えるようになります。
たとえば以下の表現です。
- This graph shows~ (このグラフは~を表します。)
- You can see ~ on the horizontal axis. (縦軸には~が見えます。)
- You can see ~ on the vertical axis. (横軸には~が見えます。)
これらの表現は、他のさまざまなグラフを説明するときにも使えます。なので、いったん覚えてしまえば応用がきくわけです。
-たしかに、これらの表現を覚えれば、円グラフとか線グラフを説明するときにも使えますね。
(清水さん)その通りです。これらの説明の仕方は汎用的なものなので、違うグラフに出会ったときでも迷わず説明できるようになるんですよね。
たとえば、次に示すようなグラフにも応用できます。
ENGLISH COMPANYのビジネス英会話コースでは、様々なグラフを使って説明する練習もしていただいています。
様々な文法表現を使ったトレーニングで言語化力を鍛える
(清水さん)このコースでは、少し複雑な文法表現を実際に使えるようになるためのトレーニングにも取り組んでいただきます。
たとえば、「名詞句・名詞節」を使って表現してみる、などですね。「句」とは主語や述語を持たない複数の単語のことを指します。「節」は主語と述語を持つ単語の集まりを表します。
具体的には次のような感じですね。
-This bar graph shows cashless rates in different countries in 2015.
-You can see the top 11 countries on the horizontal axis.
-You can see on the vertical axis what percentage of the payments were cashless.
例えば、you can see countries、だけでも通じますが、より具体的に伝えるためにthe top 11という形容詞を加えてthe top 11 countries という名詞句を作るようにすることで、より洗練された英語を使うことができます。こんな感じで、トレーニングを通じて使える英語表現を増やしていきます。
体験②|意見を言うスキルを鍛えるトレーニング
日本語は、「同調」ベースで会話が進む
-先ほどのトレーニングをすれば、分かりやすい説明ができるようになる気がします。他にも、ビジネス英会話ができるようになるトレーニングはあるのですか?
(清水さん)では、次に「意見を言うスキル」を鍛えるトレーニングをやってみましょう。
英語では、はっきり言うことが好まれます。ただし、ただ意見を言えば良いのではなく、「意見+理由」をセットで伝えることが求められます。
ですが、日本人は「意見+理由」を言うのに慣れていません。なぜなら、意見+理由を話す機会が少ないから。日本人同士のコミュニケーションは「同調」がベースになっているからです。
たとえば、以下の会話。
Aさん:「好きな食べ物はなに?」
Bさん:「焼肉。」
Aさん:「あ~焼肉いいよね。私も焼肉好き。カルビがめっちゃ美味しいよね。どの部位が好き?」
こんな感じで、会話が進むことが多いと思います。Bさんが好きな食べ物は「焼肉」と答えた後で、Aさんが同調して話が進んでいますよね。
英語のコミュニケーションは「意見+理由」がセット
ですが、英語の場合、このように話が進むことはありません。
Aさん:「好きな食べ物はなに?」
Bさん:「焼肉」
Aさん:「なんで?」
このように、理由を聞かれます。
英語のコミュニケーションは、日常会話においても、意見と理由がセットです。
日本人は同調ベースのコミュニケーションに慣れているため、意見と理由をセットで言うのが苦手です。だから、いきなり英語でコミュニケーションをしようとすると戸惑ってしまうわけですね。
一番まずいのは、黙ってしまうこと
-たしかに......。そもそも、会議で「あなたの意見は何ですか?」と英語で聞かれたらフリーズしてしまいそうです。
(清水さん)そうですよね。しかし、英語のコミュニケーションで一番まずいのは、黙ってしまうことです。
その理由は2つあります。
黙ってしまうと議論が止まる
1つ目の理由は、黙ってしまうと会話が止まってしまうことです。議論が前に進まなくなってしまうので、会議が進められなくなります。
また、交渉の場では、本当は主張したいことがあっても黙ってしまうと相手に伝わりません。その結果、自分たちに不利な状態になってしまう恐れもあります。
文化的な面からいうと、「沈黙は金」という日本の文化が通用する国はあまりないと言われています。特に、アメリカ人などは沈黙が非常に苦手と言われています。
間違ってもいいので、口から理由を出していく
-英語がパッと出てこないとフリーズしてしまいそうですが、黙ってしまうのは良くないんですね......。どうすれば、沈黙せずに意見+理由を話せるようになるのでしょうか?
(清水さん) まずは間違ってもいいので、口から理由をポンポン出す練習をするのがオススメです。意見や理由を瞬時に思いつけるようになることが大事だからです。
「正解を言わないといけない」と思うと、間違えるのが怖くなり何も言えなくなってしまいます。「間違ってもOK」という前提で、話す練習をすることで意見と理由をセットで言う習慣が身につけやすくなります。
まずは日本語で意見と理由をたくさん出す
では、実際に試してみましょう。お題はこちら。「在宅勤務とオフィス勤務、どちらがよいか?」。
このワークは2人のペアでやります。「在宅勤務が良い」という人と、「オフィス勤務が良い」という人に分かれ、お互いにその理由をどんどん出していきます。最初は日本語でやってみましょう。
たとえば、以下の感じですね。
- 在宅勤務の方がいいです。なぜなら、通勤時間がないからです。
- オフィス勤務の方がダメです。なぜなら、通勤しないといけないからです。
このトレーニングは瞬発力が大事です。私が発言した後に続いて、意見と理由を話してみてください。
今回は、私が「オフィス勤務が良い」という立場にするので、「在宅勤務が良い」という立場で理由を考えてみてください。
意見と理由をどんどん出していく
清水さん:オフィス勤務の方がいいです。なぜなら、光熱費がかからないからです。
筆者:在宅勤務の方がいいです。なぜなら、通勤時間がかからないからです。清水さん:オフィス勤務の方がいいです。なぜなら、顔を合わせて議論ができるからです。
筆者:在宅勤務の方がいいです。なぜなら、リラックスして仕事ができるからです。清水さん:在宅勤務の方がダメです。なぜなら、怠けてしまうからです。
筆者;オフィス勤務の方がダメです。なぜなら、ストレスが多いからです。・・・・・・
(清水さん) お疲れ様でした。実際にやってみて、どうでしたか?
-日本語でも、理由をパッと口から出すのは意外と難しいなって思いました。
(清水さん)では、次は英語でやってみましょう。
清水さん:Working at the office is better, because you don’t have to pay for utilities.
筆者:Working from home is better, because you don’t have to spend time commuting.清水さん:Working from home is worse, because you will get lazy.
筆者:Working at the office is worse, because it is more stressful.・・・・・・
(清水さん) どうですか?
-どんどん話すのは難しいですが、間違ってもいいと思うと、英語を口から出しやすくなる気がします。
相手の意見を思いつくと、説得しやすくなる
(清水さん)そうですよね。慣れていないと、意見と理由を瞬時に口から出すのは簡単ではありません。何度も練習することで、瞬発力が上がっていきます。
このトレーニングのもう1つのメリットは、相手の意見と理由を想像できるようになることです。議論では、賛成と反対の両方の意見を理解した上で、自分の意見を述べられると効果的なんです。つまり、相手を説得しやすくなります。
まずは、今回のトレーニングのように真面目に考えず口からでまかせでよいので、賛成・反対両方の意見を瞬時に思いつけるようにします。
論理的で説得力のある文章の型=垂直にスジの通った文章
-繰り返しトレーニングをすることで、瞬発力を鍛えるのですね。このトレーニングを続ければ、英語で意見と理由を言えるようになるのでしょうか?
(清水さん)先ほどのトレーニングを繰り返すと、無意識に意見+理由をセットで話せるようになります。
瞬発的に意見+理由を言うのに慣れてきたら、より説得力のある文章の型を身につけることをオススメします。なぜならビジネスで相手を説得できるようになるには、より論理的で説得力のある話し方が求められるからです。
論理的で説得力がある文章とは、垂直にスジが通った文章です。
具体例を挙げて説明しますね。
次の文章を見てください。あまり、説得力があるとは感じられないはずです。
好ましくない文章の例
オフィス勤務よりリモート勤務の方が良いです。なぜなら通勤しなくて良いからです。それからリラックスできます。また、家でしか働けない人も雇用できます。
-たしかに、あまり説得力がある感じがしませんね。
(清水さん)そうですよね。因果関係のない3つの理由が、ただ並列に並べられているだけだからです。
では、次の文章はどうでしょうか? こちらの方が、説得力があると感じられるはずです。
好ましい文章の例
オフィス勤務より在宅勤務の方が良いです。なぜなら、企業が場所に縛られず人を雇えるからです。たとえば、スキルを持った女性が、子育て中に在宅でしか働けないことはよくあります。このような人たちが在宅で働くことができれば、会社の労働生産性は向上し、社員のキャリア形成にも役立ちます。
-先ほどの文章と比べると、説得力があるように感じられますね。
(清水さん)こちらの文章は、ただ理由を述べるだけでなく、話を垂直に深堀していますよね。直前の文を原因として受け、次の文章で結果を示しています。
このように、垂直にスジが通った文章は説得力があります。
助動詞と動詞が文章化のポイント
先ほどの文章を英語にしてみましょう。
意見と理由|Working from home is better than working at the office because companies can hire people regardless of where they work.
具体例|For example, there are skilled and experienced women but can only work from home while raising children.
得られるメリット|If they can work from home, it will improve a company’s work productivity, and also they can continue building their career.
意見を再度|Since companies can hire people regardless of where they work, working from home is better.
「意見と理由⇒具体例⇒得られるメリット⇒意見を再度」という型で説明すると、垂直にスジが通った文章になり説得力が増します。
最終的には、3ヶ月のトレーニングを終えたときには「この意見を言いたい」と思った瞬間に、それをどのような順番で伝えるかを瞬時に思い浮かべることができるようになります。そうすると、アウトプットがものすごく楽になります。
-ここまで、できるとビジネスの会議、交渉、プレゼンで相手を説得して行動に移してもらうことができそうですね。
ENGLISH COMPANYビジネス英会話コース(上級グループコース)の内容
-ここまで、ビジネス英会話で成果を出すために必要なスキルやトレーニング法について教えていただきました。ENGLISH COMPANYのビジネス英会話コースでは、どんなことが身につくのでしょうか?
ビジネス英会話コースで、英語のロジックの型が身につく
3ヵ月のグループトレーニングで、会議、商談、プレゼンができる実践的なビジネス英会話力を身につけていただきます。
より具体的には、先ほど説明した4つのスキルですね。
- ものごとを説明するスキル
- 要約するスキル
- 意見と理由を言うスキル
- 会話をスムーズに進めるスキル
-それぞれのスキルを身につけるための、トレーニングがあるのでしょうか?
はい、そうです。
ものごとを説明するスキルを鍛えるトレーニング
- Define the meaning
- Describe the Situation
- Presentation
本日体験していただいたような、グラフを説明するトレーニングをはじめ、説明スキルを鍛えるトレーニングを行います。
要約するスキル
- Summarize the Information
- Report Writing
要約スキルを鍛えるために、「レポート・ライティング」のトレーニングも行っていただきます。スピーキングだけでなく、ライティングのトレーニングをすることで、正確な文章を作れるようになるからです。
意見と理由を言うスキル
- Express the Reason
- Propose a Solution
- Essay Writing
アウトプットスキルを鍛えるために、ライティングのメニューも行います。エッセイの一般的な型も学びます。
実は、毎回出されるホームプログラム(自宅学習)には、その週のトレーニングに関連したライティングの課題も出されます。書いていただいた文章は、ネイティブ講師がプロセスライティングという方法で添削をします。
プロセスライティングでは、講師がいきなり正解を与えるのではなく、「間違っている箇所」「意味が通じにくい箇所」などをまず指摘し、それを受講生が自分で修正、再度講師にチェックしてもらうという方法をとります。実は、いきなり正解を与えないこの方法は、より深い学びを促し、学習内容の定着に効果を発揮すると言われているんです。
-スピーキングとライティングをバランスよくトレーニングして、正確性と瞬発力の両方を身につけるわけですね。
会話をスムーズに進めるスキル
- Small Talk
- Communication Strategy
会議の冒頭に交わされる雑談の“Small Talk"のこなしかたや、会話でピンチの状況に陥ったときに切り抜ける方法の“Communication Strategy"を学びます。
たとえば、相手の発言を聞き取れなかったとき、相手の気持を損なわないように反論したいときなどに、どのような方法で対応すればよいのかということを、場面にあったフレーズとともに学びます。
ビジネス英会話コースのカリキュラム
(清水さん)実際のカリキュラムは次のようになっています。
上級者でも、インプット学習は大事
-一番下に、「インプット」のトレーニングメニューが入っていますね。
(清水さん)ここまでアウトプットの話をしてきましたが、実はアウトプットスキルを伸ばすにはインプットが欠かせないんです。
なぜなら、「知らない言葉は使えない」からです。
上級者であっても、英語力を洗練させるには、大量のインプットの確保が必須です。
たとえば、「これにより、国の労働生産性が高まります」を英語で説明する場面を想像してみてください。
「労働生産性」が”work productivity”だと知っていれば、簡単に英語で言うことができますよね?
“This will improve a country’s work productivity.”
しかし、”work productivity”という単語を知らないと、説明が難しくなります。「単位時間あたりのアウトプット」などと言い換えて説明する必要がでてくるからですね。
もちろん不可能ではありませんが、“work productivity”と言った方がエレガントです。
だから、アウトプットと並行して文法やリーディング、リスニングなどのインプット学習を行っていただきます。
スマホでできるENGLISH COMPANY MOBILEを利用できる
-たしかに。上級者でもビジネス英語で使われる表現を知らなかったりすることがありそうですね。
(清水さん)インプット学習には、スマホで取り組める“ENGLISH COMPANY MOBILE”を使っていただいています。
ENGLISH COMPANY MOBILEで、ビジネスに必要な英語表現を学ぶことができます。
“Nikkei Asia”やアルクの教材を使って、以下のトレーニングをオールインワンで行うことができます。
- 語彙学習
- 音読
- 暗唱
- チャンクリーディング
- サイトトランスレーション
- シャドーイング
スマホ一台でできるので、いつでもどこでも本格的なトレーニングを行うことができます。
調音の強化|シャドーイングの添削が受けられる
さらに、ビジネス英会話コースに申し込まれた受講生様は、無料でENGLISH COMPANY MOBILEのフィードバックプランがついてきます。
-フィードバックプランでは、何ができるんでしょうか?
(清水さん)シャドーイングのフィードバックを毎日受けられます。シャドーイングとは、英語の音声の後に続いて発声するトレーニングで、リスニング力アップや発音の向上に有効です。
シャドーイングは1人でもできますが、誰かにフィードバックをもらいながら行った方が圧倒的に効率がよいのです。自分の発音が合っているのか間違えているのかわからないまま練習を重ねるよりも、改善点を意識した上で練習に取り組んだ方がずっと効果的だからです。
なので、プロからのフィードバックを受けることが重要なんです。
-具体的には、どのようなフィードバックを受けられるのでしょうか?
(清水さん)かなり細かく添削をしています。次の図は、シャドーイングのフィードバックの一例です。
たとえば”billionaire”の発音。
シャドーイングでは、「びり・おねぁー」という風に、「お」の前に間があいて「お」の前に間があいて「お」の音が高くあげられていました。アクセントは冒頭の「び」、または最後の「ねぁー」に置きますので、前半の「りぉ」部分はなるべく滑らかに、音をつなげるイメージで間をあけずに読んでみて下さいね。
こんな感じで、細かくフィードバックをしています。フィードバックを元にして、トレーニングをすることで、正しい発音が身につきます。
-これは分かりやすいですね。
はい。シャドーイングのフィードバックを通じて「調音」のプロセス、つまり発音を鍛えることができます。
このように、ビジネス英会話コースでは、英語で会議、商談、プレゼンができるようになるために必要なスキルをすべて鍛えることができます。3ヵ月間で、見違えるはずです。
ENGLISH COMPANYビジネス英会話コースの概要
ビジネス英会話コースの対象者
- TOEIC730点以上
- TOEICスコアは高いが、ビジネス英会話に苦手意識がある
- 会議に参加して、相手の言っていることは分かるが、自分の意見を言えなくて悔しい思いをした
- 自分の専門分野の英会話は何とかなるが、懇親会などカジュアルな場の英会話が憂鬱
コース内容
- 週1回(120分)×12週間(全12回)
※欠席した場合は、レッスンの録画動画を視聴可能 - 学習進捗サポート(週1回)
- 専門チームによるシャドーイング音声のフィードバック(毎日)
- ネイティブ講師によるライティング添削
料金
入会金 | 22,000円 (ENGLISH COMPANY在籍、卒業生は無料) |
トレーニング費用 | 240,990円 |
教材費 | 書籍3,080円 ※書籍:TOEIC Speaking & Writing公式テストの解説と練習問題 |
※ENGLISH COMPANYオリジナル教材はトレーニング費用に含まれます