2019年11月に発売された「英文法の鬼100則」。わずか2ヵ月で5万部という驚異の売れ行きを示しています。語学書では異例のこと。
怖そうなタイトルの本書が、なぜこんなに売れているのでしょうか?
それは、本書が普通の参考書とは異なり、圧倒的にわかりやすく、かつ実践的だから。
「英語脳」という言葉を聞くことがありますよね。英語ネイティブが持っている感覚のことです。通常は、留学など長期間海外に滞在しないと英語脳は身につきません。
しかし、本書は「英語脳」をわかりやすく解説。ロジカルな説明と、かわいらしいイラストで読み進めるうちに自然と「英語脳」のイメージが身につきます。
「英語脳」は、ビジネス英語を身につけたい人にとって重要です。なぜかと言うと、ネイティブの感覚がわかっていないと、正しい表現が使えず、お互いに意図を理解しあえないからです。
- 実践的なビジネス英語を身につけたい人
- 「英語脳」とは何か? を知りたい人
- 英文法に苦手意識がある人
は必見です。
- なぜ『英文法の鬼100則』は読み進めたくなるのか?
- ロジカルに「英語脳」を解説|英語と日本語の感覚の違い
- 実践的な使える英語を身につけたい人におすすめ
↓↓↓てっとり早く概要を知りたいという人は、時吉先生のセミナーのレポートを参考にしてみて下さい
タップできる目次
『英文法の鬼100則』の著者プロフィール|時吉秀也氏
時吉 秀弥(ときよし ひでや)
(株)スタディーハッカーコンテンツ開発室シニアリサーチャー。
神戸市外国語大学英米語学科卒。米国チューレン大学で国際政治を学んだ後、帰国。ラジオパーソナリティという特殊な経歴を経つつ、20年以上にわたって予備校で英語も教えてきた。
英語を教える中で独自の英文法観を築きつつあった頃、それが認知言語学に通じるものだと知り、東京言語研究所に入所、池上嘉彦東京大学名誉教授、西村義樹東京大学准教授(当時。現教授)、尾上圭介東京大学教授(当時。現名誉教授)、上野善道東京大学名誉教授らのもとで認知言語学、日本語文法、音声学などを学ぶ。
2010年同所で理論言語学賞を受賞。
“英語職人”とも呼ばれ、「時吉秀弥の英文法最終回答」というブログも執筆されています。
『英文法の鬼100則』の特徴
「英語脳」とは? 英語ネイティブの頭の中をイメージで捉える
著者の時吉先生が考える「英語脳」とは、“英語の世界観“を無意識に使えるようになること。
つまり、英語ネイティブの感覚で世の中を見て、言葉で表現できるようになることです。
通常、日本人が英語ネイティブの感覚を身につけるのは簡単ではありません。なぜなら、そもそも英語ネイティブの感覚や価値観に触れる機会がないからです。そのため留学経験のある人、日常的に英語ネイティブと関わる人以外は、「英語脳」を体得できません。
しかし、「英文法の鬼100則」は、文法を通して英語ネイティブの感覚、価値観をロジカルに解説してくれます。認知言語学と呼ばれる専門分野の知恵を使い、初心者にもわかりやすく解説。そのため、本書を読めば誰でも「英語脳」を学べます。
イラスト満載で、読みやすい
「英語脳」をロジカルに解説、と聞くと難しそうに感じるかもしれません。
しかし、『英文法の鬼100則』はイラスト満載で読み進めやすい。
解説の内容をイメージで捉えることができます。
本のタイトルは怖そうなイメージですが、実際にはとっつきやすいです。
話したり、書いたりするための実践的な文法書
英語を話したり、書いたりするとき、「この表現でよかったのかな?」「ちゃんと伝わったかな?」を不安になったことがある人は多いかと思います。
本書の特徴は、実際に英語を話したり、書いたりするときに、ネイティブにとって自然な表現を使えるようになることです。
たとえば英語で資料を作るとき。
“will”と”be going to”を意識して使い分けていますか?
学校教育では、”will”も”be going to”は「●●するつもり」で、同じ意味だと習いました。
しかし、英語ネイティブにとって”will”と”be going to”はまったく別の感覚です。そのため、両者を使い分けないと、正しくコミュニケーションができなくなってしまいます。
本書を読み、ネイティブの感覚が身につけば、正しいときに適切な表現が使えるようになります。つまり、英語を話したり、書いたりするときに、使える表現が身につきます。
『英文法の鬼100則』の内容を紹介
実際に、本書の内容を少し紹介します。
日本語はカメラの視点、英語は外からもう一人の自分が見る視点
そもそも日本語の世界と英語の世界は大きく違います。
たとえば、「ここはどこ?」を英語でどのように表現するのでしょうか?
日本人の感覚だと、
“Where is here?”
と訳したくなります。
しかし、これは日本語の感覚であり自然な英語ではありません。
英語ネイティブは、
“Where am I?”
と言うのが普通。
このような違いが生まれるのは、日本語と英語の世界観に違いがあるからです。
具体的には以下の通り。
英語:外から、もう1人の自分が自分を眺める言語
カメラの世界の日本語
日本語は、話し手がカメラになって外の世界を言葉で映し出す感覚。カメラは風景の中には映らないため、話し手自身の存在が消え、言語化されないことがよくあります。
日本語では「私は」という主語が省略されるのは、この影響かもしれません。
先ほどの例の場合、「ここはどこ?」という表現には「ここ」と「どこ」という「カメラに映る風景」だけが言語化されています。
もう1人の自分が、外から自分を眺める英語
一方、英語はもう1人の自分が、外から自分を眺める感覚です。幽体離脱した魂が、自分を見ている感覚に近いかもしれません。
英語の地図で、「現在地」を表すとき”You are here.”と表示するのもこの感覚が影響しています。
このように、英語と日本語ではそもそもの世界観が異なります。この違いを理解することが、「英語脳」を身につける第一歩です。
”will”と”be going to”は同じ? 感覚が違います
学校教育では”will”と”be going to”は同じ意味で、置き換えが可能と習った人も多いかと思います。私もそう習いました。
しかし、実際には”will”と”be going to”は別ものです。
will:心が揺れてパタンと傾いて、「よし、やろう。やるよ。」という感覚。
相手が言ったことに反応して「今やると決めた感」
be going to:未来に向かって事態が進んでいる感。
客観的に粛々と事態が未来に向かって進んでいる感じ。
以下で例を挙げて説明します。
たとえば次の質問を受けたとき。
What is your plan for the summer?
(この夏の予定は?)
“I’m going to move to another apartment.”
(違うアパートに引っ越すんです)
“be going to”を使うと、引っ越すことは決まっていて、それに向かって進んでいる感じが出ます。
一方で、willを使うと以下のようになります。
“Well, I think I will move to another apartment.”
(そうだねえ。違うアパートに引っ越しするかなあ。)
相手から「今言われて、今引っ越そうと決めた」という感じが出ます。
このように、”will”と”be going to”ではニュアンスが違います。
”must”と”have to”は? もちろん別物です
学校では“must”と”have to”も同じ意味と習った人も多いかと思います。しかし、英語ネイティブにとって"must"と"have to"はニュアンスが異なります。
Have to:やらないとしょうがないでしょ、という感覚。
例を挙げて説明します。
“You must do it right now.”
(今すぐそれをやらないとダメだよ)
親が子供に命令するような強い感じです。「あなたはそうしなきゃいけない、絶対やらなきゃ」という感覚。
“You have to do it right now.”
Have to には「やらないとしょうがないでしょ」という感覚があります。
「あなたがそういう状況を抱えてしまっているのだから、やらなきゃしょうがないでしょう。」という感じになります。
どちらも「やらなきゃ」という意味ですが、ニュアンスが違うのが分かるかと思います。
通常のビジネスの場合、よっぽどのことがなければ”must”は使いません。命令として強すぎるからです。
その代わり、”have to”は「やらないとしょうがないよね・・・」という感じで、比較的使いやすい。
このように、感覚の違いを知ることで、表現を使い分けられるようになります。
”I like dog.” →ネイティブに怪訝な顔をされる理由
自己紹介で「私は犬が好きです」と伝えたいとき、”I like dog.”というと怪訝な顔をされるでしょう。
その理由は「冠詞」にあります。
a dog:一匹の犬
dogs:何匹かの犬
ですが、
dog:犬という材質を盛った肉の塊
と解釈されます。つまり、「ああ、この人、犬を食べる人で、犬が好物なのね。」となります。
たかが冠詞と思っていると、思わぬ誤解を生むことがあります。
このように、読んだり聞いたりするときは大雑把でもなんとかなるけれど、話したり書いたりするときは正確に表現しないと、意図が伝わりません。
『英文法の鬼100則』には、ここで紹介したような「えっ、そうなの!?」という100個の話が収録されています。
『英文法の鬼100則』の高レビュー
次に、本書のレビューを紹介します(Amazonレビュー)。まずは高レビュー。
これまであいまいだった文法がスッキリした
文法用語は苦手で、各用語の意味を正確に理解できているのか未だに自信ありません。
例えば、この本で取り上げられている項目でいえば・・・。
「自動詞と他動詞(p.34)」の違いって目的語の有無で見分けろってどの参考書もサラリと簡単にいってのけてくれるけどさ、私みたいに文法が苦手な人間はどうすりゃエエねん?
そもそも何故「自・他(動詞)」って言葉になるん?
「willとbe going toの違い(P.250)」って、中学の時に「『will』も『be going to』も同じだからな!」って先生は自信たっぷりにドヤ顔で教えとったけど、あれってハッタリだったんか〜!
「可算・不可算(P.276)」の基準ってなんなん?(パン1個、チョーク1本、って数えられるのに不可算とはこれ如何に?(古典的な例ですが(笑))
「形容詞の限定用法(P.318)」の「限定」ってどういう意味なん?
「関係代名詞の非制限用法(P.322)」の「非制限」って仰々しい言葉使っとるけど肝心の意味がなんのことかサッパリ分からんし・・・。
等々、数々の疑問がこの本を読めばかなり氷解すると思います。
まだ読了したワケではありませんが、少なくともこれまでに読んできた範囲において、私がかねがね文法用語等で釈然としなかった点がかなり解消されましたのでスッキリしました。
「鬼100則」ってコワそうなネーミングですが、全くそんなことはなくて気軽に読み進めることができる良書であるといえます
先ほど紹介したように、本書は英文法の感覚をわかりやすく解説しています。そのため、学生時代に疑問に感じた内容が一気にわかるようになります。
英語の参考書に苦手意識がある人にこそおすすめ
参考書を開くことに苦手意識がある人にお勧めしたいです。
主観ですが他の英文法参考書では、
・辞書的な使い方をする(情報量が膨大で、章を細分化。)
・よくわからんので、覚えるしかない。(理解力がないもので、、、)
・覚えるしかないので、読み進められない(前のことを覚えてないので、何度もいろんなページを行ったり来たり)
という印象です。
対してこの本は、
・ゴール設定があるので辞書的ではない。(人を説得させるための英文法の型を身につけようというものです。)
・腑に落ちる内容で理解しやすい。
(この英文法はこういうものだよとイメージを伝えてくれます。あと文体がコラム調で読みやすいです。)
・理解できるので、読み進められる。(次のステップに進む感覚があります。)
と違いがあります。
私のように参考書を開くのは億劫で、しかも開いた瞬間睡魔が襲うような人には一読の価値があるのではないかと思います。
余談ですが、目次を見て「ああこの章興味があるな。読みたいな」と思った初めての参考書でもあります。
「良くできた目次はその本の構成を端的にあらわす最良の資料となる。いわば筆者の主張を展開するためのロードマップとなるからだ。」
(抜粋:本を読む本 J・モーティマー・アドラー , V・チャールズ・ドーレ(著))良い目次かつ、良い本です。
たしかに、目次を見て興味がひかれる参考書は少ないと思います。
英語コンプレッスが解消される
とても英語が苦手で、コンプレックスなまま生きてきました。
似た意味の単語をどう使うのか、まったくわかっていませんでしたし、丸覚えするしかなく苦痛だった学生時代でしたが、話すときのイメージがしっかりとわかりやすく書いてあります。
この本をきっかけに英語への苦手意識がうすれ、面白い、英語って楽しいかも、に変化してきています。
毎日少しずつ読み進めては目からうろこで面白く、同じところも何度も読み返しています。
英語苦手な社会人の方におすすめです。
英語に苦手意識がある日本人が多いのは、学生時代の英語教育法の影響があるのかもしれませんね。私の学生時代に、本書のようなわかりやすい参考書があれば・・・と思いました。
今まで見たことがない学習書|座右に置いておきたい
今まで見たことがないような学習書でした。
英文が表す「気持ち」を捉えるというキャッチコピーの通り、自分の気持ちを英語にするにはこう言えばいいのかがわかる一冊だと思います。
しゃべれる事というのは、気持ちがまずあるという当たり前の事に気づかせてくれました。
どうも英語だと文法のことが先にいってしまいますが、それよりも大事なこと、フィーリングを身につけられる本です。
繰り返し読みたく、座右に置いておきたいので星5つです。
『英文法の鬼100則』の低レビュー
次に低レビューを紹介します。
認知言語学の専門家にとっては、当たり前の内容
認知言語学を学んだ人なら驚くに値しないものであろう。
規範文法や記述文法しか知らない人には新鮮に思えたかもしれないが、認知文法を勉強したことがある人には、大抵の認知文法の入門書に書いてある本当に基本的な内容ばかりだった。
言語学の専門家にとっては、当たり前の内容のようです。タイトルからわかるように、本書は認知言語学の専門書ではなく、英文法の解説書です。言語学の専門的な内容について知りたい方は、専門書か論文を調べることをおすすめします。
英語学習に意欲がないと、理解しづらい
正直、英語学習にかなり意欲がないと、理解しづらいと思います。理由は以下の三つ
①434ページもある。
最終的な分量は普通の文法書並みに多く、苦手な人にとってはかなり苦痛②説明が抽象的かつ長い。
例えば、不定詞は「→+時間から解放された動詞の概念」と書いてある。しかし、これだけ読んでも理解できないはず。もちろん、その前から読めば言いたいことは理解できるが、わざわざ数ページにかけて具体性に欠ける解説を読むのが正直だるい。③問題は解けるようにならない。
大学入試は、いわゆる本書のようなイメージ戦略では結局解けないことが多い。例えば似たような意味のrefuseとresistは前者が不定詞、後者はingを取るなど、細かいところは暗記が不可欠である。
本書は、英文法の書籍としては、かなり読みやすい本です。しかし、そもそも本を読むのが苦手だったり、英語学習の初心者だったりすると、読み進めるのが大変だと感じるかもしれません。
このような方は、著者が監修するスクールを検討してみるのもアリだと思います。スクールでは、動画を使って「英語脳」がわかる文法解説をしているようです。後ほど、著者のスクールも紹介します。
『英文法の鬼100則』はどんな人におすすめ?
実際に本書を読んだ筆者の感想と、口コミをもとにすると、本書は以下の人におすすめです。
- 英語を学びなおしたい社会人
- 「英語脳」を目指したい人
- 実践的なビジネス英語を身につけたい人
特に、英語に苦手意識がある社会人は本書を見てみるとよいかな、と思います。
まとめ|ビジネスで英語を使う人は読むべき一冊
英語ネイティブと日本人では、ものの見方が根本的に違います。そのため、英語がペラペラでもコミュニケーションミスが生じてしまう。
しかし、いわゆる英語ネイティブと日本人のものの見方と、文法の使い方について書かれた本はほとんどありません。
本書は、ネイティブが物事をどのように捉え、文法を使い分けているのか? を言葉にして解説してくれる貴重な一冊。
外国人とコミュニケーションをする機会がある人、ビジネスで英語を使いたい人は読むべき一冊です。これまで疑問に感じていたことが、スッキリするでしょう。
本を読むだけでは「英語脳」は身につかない
ただし、注意点があります。それは、本を読むだけでは「英語脳」は身につかないということ。なぜなら、インプットしたことをアウトプットしないと知識は定着しないからです。
英語学習だけでなく、スポーツや仕事でも同じですよね。
本書を読んで学んだことを、実際に使ってみるうちに「英語脳」が身についていきます。
独学では難しそうだな・・・という人は著者のスクールを検討するのもアリ
口コミにもありましたが、本書の唯一の問題点をあげるとすると、ボリュームが多いこと。
タイトルの通り、100個のトピックが438ページにわたって解説されています。
たしかに「英語脳」をわかりやすく解説するために、どうしてもボリュームが必要です。
しかし、本を読みなれていない人、英語学習の初心者には、ややハードルが高く感じられるかもいれません。
また100項目の中には、あなたにとって重要なものと、それほど重要でないものが混ざっています。
独学の場合は自分で重要な箇所を判断しないといけません。ですが、自分ひとりで「何が重要か?」を判断するのは簡単ではありません。自分にとって何が必要かを判断するのは、困難だからです。
もし、このように不安を感じられる方は、著者の時吉秀也先生がコンテンツを作られているスクールを検討するものアリです。
株式会社スタディーハッカーが運営するスクール、「イングリッシュカンパニー」と「STRAIL(ストレイル)」です。筆者の時吉先生が開発されたコンテンツがあるので、スクールで学ぶうちに、英文法をイメージで捉えられるようになります。
STRAILは「英語コンサルティング+自習」型のスクール。
イングリッシュカンパニーは、「レッスン+自習」型の英語コーチングスクール。
どちらも無料体験ができるので、ピンときた方は無料体験に申し込んでみてください。
↓↓↓筆者の体験談
↓↓↓筆者の体験談