「英語で文章を書かなくてはいけない。でも、どうやって書いたらいいか分からない...」
「英語ライティングを上達させるには、どうしたらよいのだろうか...」
実は、英語ライティングは書く前の設計段階で8割決まります。
なぜなら、文章設計がしっかりしていないと、何度も書き直すはめになるからです。
この記事では、以下の内容を説明していきます。
- 英語ライティングは書き始める前の設計が8割
- 主題を一つに絞る
- ストーリーを先に作る
- ストーリーのパターンを覚える
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英語ライティングのコツ|書く前の設計が8割
英語文書を書くときに、いきなり英文を書こうとしてはいけません。
なぜなら英語ライティングにおいて、設計が8割の重要性を占めるからです。
設計とは、これから書く文書の主題を決め、どのような構成で書くかを決めることです。言い換えるとストーリーの骨組み。
設計がしっかりしていないと、書き始めてから「あの内容も書かなきゃ、この話も盛り込みたい」となり、言いたいことがわからなくなってしまいます。
その結果、読み手は「で、結局何が言いたいの?」となり、せっかく頑張って書いた文書が相手に伝わりません。
実際、私も英語論文を書くときに、全体の設計をあいまいにしたまま書き始めてしまったことがあります。
このときは、論文を書きながら五月雨式にデータを追加しようとして、ストーリーがぐちゃぐちゃになってしまいまいました。
その結果、途中まで書いた文章をいったん全部捨て去り、最初から内容を組み立てなおすことになりました。
多くの作業時間を無駄にしてしまいました。
「8割」という数字は目安ですが、私の実体験からも、英語ライティングにおいて最初の設計は非常に重要なことがわかります。
以下で、英語文書設計のポイントを解説します。
- 1文書1つの主題に絞る
- ストーリーを先に作る。文章や図表は後で作成する。
- ストーリーのパターンを覚える
ビジネス英語ライティングのコツ1|1文書1つの主題に絞る
英語ライティングの際、主題を明確にすることが大事です。
なぜなら小説や詩と違い、ビジネス文書や論文には必ず主題となる目的があるからです。学生のレポートも同様です。
私は英語文書を書く際に、最初に主題を日本語で書き出します。
学生のレポート課題であれば「結論」、ビジネス文書であれば「結論」や「提案内容」、論文や技術報告書であれば「本研究の新しさ」が主題になります。
たとえば、ビジネス文書の場合、「わが社は●●社と提携すべき」などが主題となります。
主題を書き出すときに注意すべきことがあります。それは、1文書の主題は1つ絞ることです。
なぜなら、複数の主題を盛り込むと文章がわかりづらくなるからです。
たとえば、「英語上達のため多くの時間を自習に費やすべき」との主題と、「英語上達にはフィリピン留学がおすすめ」との主題が一つの文書に交じっていると、主張がわかりづらくなります。
この場合、一つの文書の主題はどちらか一方に絞り、もう一つの主題は別の文書で書いた方がよいでしょう。
実際、私が論文を最初から書き直すはめになったとき、二つの主題を盛り込もうとしていました。そのため、ストーリーがぶれてしまい分かりづらくなってしまっていたのでした。
このように、主題を一つに絞ることが大切です。
ビジネス英語ライティングのコツ2|ストーリーを先に作る
主題が決まったら、次にストーリーを作ります。
ストーリーは箇条書き形式の日本語で書き出します。
いきなり、英文を書き始めたり、図表を作成したりしてはいけません。
なぜなら、ストーリーに関係のない英文や図表を作っても、あとで捨てることになり無駄な作業となってしまうからです。
たとえば、「当社のビジネス拡大のため、アジアの売り上げ比率を上げるべき」との主題のビジネス文書を作成するとき。
自社の製品ごとの売り上げや利益率のデータ、あるいは国内の地域別の売り上げデータを分析しても無駄になる可能性があります。
なぜなら、主題と直接関係ないデータだからです。
人は手元にデータや情報があると、それをもとに分析や思考をしてしまいがちです。
しかし、これから書く英語文書と直接関係ないデータや情報を分析しても、主張につながらないため使われることはありません。
実際、私もストーリーを作る前に大量のデータを整理、分析してキレイな図表を作成してしまったことがあります。
結果的に8~9割の図表を捨てることになってしまいました。
後から振り返り、「最初にストーリーの骨格をしっかりつくっておけば、こんな無駄なことをしなくてすんだのに…」と悔やみました。
なぜ箇条書きにするかというと、文章で書くより言いたいことが端的にまとまるからです。
なるべく短い言葉にまとめることがポイントです。
箇条書きに限らず、マインドマップなどのツールを使ってもよいでしょう。
ご参考:マインドマップ
ビジネス英語ライティングのコツ3|ストーリーのパターンを覚える
ストーリーを作るといっても、どうやって作ればよいのだろう? と不安になるかもしれません。
安心してください。
ビジネス文書や論文、技術報告書、レポートのストーリーにはパターンがあります。
このパターンを身に着ければ、英語文書のストーリーは簡単に作れます。
ビジネス文書 ~空・雨・傘~
「空・雨・傘」型と呼ばれるフレームワークがあります。
問題解決やプレゼンの際に使うフレームワークですが、ビジネス文書を英語で書くときにも使えます。
以下で具体的に説明します。
空は一見晴れているが、遠くに雨雲が見える
2. 雨(解釈)
午後には雨になりそうだ
3. 傘(行動、提案)
傘を持って行った方がよさそうだ
このように、事実認識→解釈→行動・提案の流れで説明する流れを、「空・雨・傘」と呼びます。
たとえば、下の図のようにストーリーを組み立てます。
もちろん肉付けは必要です。「なぜ、競合の新商品に負けると考えるのか?」「なぜ、自社の商品戦略を見直すべきなのか?」などの分析や考察が必要となります。
いったんストーリーの骨格を作ってしまえば、どこに肉付けをすればよいかがクリアになります。
「空・雨・傘」のフレームワークは、特に事実やデータが少なく、仮説ベースで報告書やレポートをまとめるときに役に立ちます。
論文型
論文や技術報告書は以下の構成から成り立っています。
1. 背景と課題
過去の研究結果、以前の検討結果などをまとめる
これまでの検討でも解決できていない課題を示す
今回の検討の位置づけと価値を示す
2. 手段とアプローチ
課題解決のために、どのような手段・アプローチをとったか。
過去の検討との違いも示す
3. 結論と考察
検討の結果、どのような結果が得られた。
結果をどのように解釈するか
4. 結論と今後の展望
今回新たにわかったことは何か
まだわかっていないこと、今後検討することはなにか
論文や技術報告書を、いくつか読むとパターンがわかると思います。
以下に図解しました。
論文型のストーリーで一番のポイントは、最初の「背景・課題」をクリアにすることです。
なぜなら、自分が書こうとしているものの、ポジショニング、オリジナリティをクリアにすることになるから。ポジショニング、オリジナリティが明確になれば、以降のストーリーは比較的簡単に組み立てられます。
実は、ポジショニング、オリジナリティを明確にする作業は、文書の「主題」を定義するプロセスと同じです。
ここまで、「空・雨・傘」型と、「論文」型のストーリーの作り方を説明してきました。
英文ライティングを始める前に、必ずストーリーを明確にしましょう。
まとめ|ビジネス英語ライティングは、書き始める前が大事
ここまで、英語ライティングの心得やコツを解説してきました。どれも、実践に役立つノウハウです。
しかし、記事を読むだけで実践しないと英語ライティングは上達しません。
スポーツと同じで、いくら教科書でバットの振り方を読んでも、野球は上達しません。この記事を参考に、英語ライティングにトライしてみてください。
実はビジネス英語ライティングの本質は、分かりやすい日本語のビジネス文書作成スキルと共通項が多いです。
以下の記事では、分かりやすいビジネス文書を書くための本質的な考え方を紹介しています。併せて読むと効果的です。
ご参考:分かりやすいビジネス文章の書き方【テンプレートあり】