グローバル人材に求められる3つのビジネススキルの身につけ方~英語、思考、経営~

「グローバル人材」が日本企業に求められています。グローバル人材とは、国内だけでなく海外とビジネスをして、成果を出せる人を指します。

一方で、日本企業にはグローバル人材が不足しています。なぜなら、これまでビジネスの中心は国内だったからです。

つまり、グローバル人材が求められているにも関わらず、マッチする人材が不足しているということです。

 

そのためグローバル人材として活躍できるようになると、社内での評価が高まり収入も増えやすくなります。

この記事では、グローバル人材に求められる3つのビジネススキルと、その身につけ方を詳しく解説します。

グローバル人材とは? いまグローバル人材が求められる理由

グローバル人材とは、国内だけでなく海外でも仕事で成果をあげられる人材を指します。たとえば、海外企業との協働プロジェクト、海外企業の買収交渉、海外支社でのマネジメントで結果を出せる人です。

 

日本企業はグローバル人材を求めている

日本企業にはグローバル人材が求められています。なぜなら、日本の企業の海外進出が進んでいるからです。

その理由は、日本の人口が減少傾向にあるため、企業が成長し続けるには海外進出が避けて通れないからです。

 

実際、国際協力銀行の調査によると、日本企業(製造業)の海外売上比率は、過去17年で11%増えています(27.9%:2002年⇒38.8%:2019年)。

出典:わが国製造業企業の海外事業展開に関する調査報告(国際協力銀行)

 

しかし、実態はグローバル人材が不足

一方で、経団連へのアンケート調査によると、企業にグローバル人材が不足しているとの回答が多数です。

 

出典:グローバル人材の育成・活用に向けて求められる取り組みに関するアンケート結果(経団連)

 

つまり、日本企業ではグローバル人材が求められているにも関わらず、マッチする人材が不足しています。

そのため、あなたがグローバル人材になれば、社内での評価が高まり収入を上げられる可能性が高いということです。

グローバル人材に求められる3つのビジネススキル

 

グローバル人材には、次の3つのビジネススキルが求められます。

  1. ビジネス英語力
  2. 論理的思考力
  3. 経営の基礎知識

以下で詳細に説明します。

ビジネス英語力

ビジネス英語力はグローバルでのコミュニケーションの基礎となるもので特に重要です。

英語力(語学力)

ビジネスの世界の公用語は英語です。つまり英語が使えないと、そもそもコミュニケーションが成立しません。

 

重要なのは「英語ができること」ではなく、「英語で仕事ができること」です。もちろん、高い英語力を持っているにこしたことはありませんが、ビジネスで必要なのは「ビジネスで結果を出せる英語力」です。

 

少し想像してみればわかると思いますが、単に英語ができるだけの「英語屋」はグローバルなビジネスで成果を出せません。求められるのは、英語を使って外国人と交渉や議論をして、プロジェクトを推進する力です。

グローバル人材には「仕事で結果を出せる英語力」が求められます。

 

異文化理解力

外国人とコミュニケーションを取るには、英語力だけでは不十分です。なぜなら、相手の文化の価値観を知らないとトラブルが起きてしまうからです。

 

  • 英語はある程度わかるが、相手とコミュニケーションが取れない。相手を怒らせてしまうことがある。
  • 外国人の「ありえない」行動や発言にイライラしてしまう。

 

このようなケースに当てはまる人は、「異文化理解力」を身につけるとよいかもしれません。

 

異文化理解力とは、異文化の価値観、習慣、考え方などを理解できる力です。グローバルにコミュニケーションをする機会が増えたため、「異文化理解力」はIQ(知能指数)、EQ(こころの知能指数)に続く「第三の知能指数」として注目を集めています。

 

たとえば、日本人は空気を読む「あうんの呼吸」のコミュニケーションが好まれます。これは日本が「ハイコンテクスト文化」だからです。ハイコンテクスト文化とは言葉によらず文脈でコミュニケーションを取るのが好まれる文化です。日本は世界でもっともハイコンテクストな文化とも言われています。

 

反対にアメリカでは、すべてを言葉で表現しないと相手に伝わりません。なぜなら、アメリカは「ローコンテクスト文化」だからです。

このような文化の違いを知らないと、英語がペラペラでもトラブルが生じてしまいます。

 

言い換えると、「英語力(語学力)」と「異文化理解力」がセットになり、はじめて外国人とコミュニケーションができるようになります。そのため、「ビジネス英語力」には「英語力(語学力)」と「異文化理解力」が含まれます。

 

論理的思考力

論理的思考力とは思い込みや、個人的な好き嫌いを排して合理的に考える力です。

グローバルにビジネスをするときには、論理的思考力が重要です。なぜなら、言葉を使ったやりとりでは論理が必須になるからです。

 

日本人同士のコミュニケーションの場合、言葉にしなくても「以心伝心」で通じることがあります。しかし、外国人とのコミュニケーションでは考えや気持ちを言葉に表すことが重要です。

Financial Times紙のグローバルMBAランキング2016年、2017年に2年連続で世界第1位にランクインされたINSEAD(インシアード)のエリン・メイヤー教授は以下のように述べています。

 

  • ハイコンテクスト文化の人(日本人)が、ローコンテクスト文化の人(アメリカ人)とコミュニケーションするとき、
  • ハイコンテクスト文化の人(日本人)が、他のハイコンテクスト文化の人(中国人、サウジアラビア人)とコミュニケーションするとき、

いずれのケースでも、「ローコンテクストなコミュニケーション」を取ることが必要です。

(出典:異文化理解力)

 

つまり、日本人が外国人とコミュニケーションをするときには、すべてを言葉で表すコミュニケーションが重要になります。

 

そして、「論理」は世界共通の言語です。そのため、ローコンテクストなコミュニケーションを成功させるために、論理力が求められます。反対に論理力がないと、英語がペラペラでも外国人と議論や交渉はできません。

 

「論理的思考力」は、「ロジカルシンキング」「クリティカルシンキング」の2つから成り立ちます。

どちらも「論理」を重視する点では似ていますが、次のような違いがあります。

 

ロジカルシンキング

ロジカルシンキングは、帰納法や演繹法などのように、「ものごとの繋がり・関係性は合理的か」」をチェックする思考法です。

 

たとえば、演繹法は「A=C、B=C、ゆえにA=C」のように、論理をつなげて結論を導き出す思考法です。

有名な演繹法の事例に以下のものがあります。

演繹法の事例

前提1:すべての人間は死すべきもの

前提2:ソクラテスは人間である

結論:ゆえにソクラテスは死すべきもの

このように、ものごとの繋がり・関係性に着目するのがロジカルシンキングです。

 

クリティカルシンキング

クリティカルシンキングは「批判思考」とも呼ばれます。もう少し分かりやすく言うと、ものごとの前提を疑う思考法です。

 

  • そもそも、なぜそうなのか?
  • 本当に、その前提は正しいか?
  • 本当の問題は何か?

 

などを考えます。

 

たとえば、先ほどのソクラテスの例の場合、以下のように考えます。

 

  • 本当に、すべての人間は死すべきものか?

⇒テクノロジーが発展し、人間がサイボーグ化したらどうなのか?

⇒その場合、「人間」の定義はどうなるのか?

 

このように、ものごとの土台や前提を疑うのがクリティカルシンキングの思考法です。

「論理というレンガを積み上げるのがロジカルシンキング、レンガの土台をチェックするのがクリティカルシンキング」といったイメージです。

 

いくらレンガを正しく積み上げても、土台がボロボロだったらレンガは崩れてしまいます。

同様に、いくらロジカルシンキングを究めても、前提が間違っていると意志決定を誤ってしまいます。そのため、ロジカルシンキングとクリティカルシンキングの両輪を兼ね備えた論理思考力を身につけることが重要です。

 

経営の基礎知識

3つ目は経営の基礎知識です。具体的にはマーケティング、経営戦略、ファイナンス、組織運営などです。

なぜ経営の基礎知識が必要かというと、次の3つの理由があります。

経営視点で全体最適を考える

特に海外企業と一緒に仕事をしていると、目の前のタスクを進めることが目的になりがちです。なぜなら、相手からタスクの進捗が求められますし、タスクを進めると仕事をした気になるからです。しかし、経営の視点でどのタスクに取り組むべきかを冷静に判断する必要があります。

 

専門家が経営の知識を身につけると成果を出しやすい

別の観点としては、専門家が経営の知識を身につけると大きな成果を出しやすくなります。

たとえば、経営の基礎知識があるエンジニアならば、ビジネスにつながる技術開発を進められるようになり、成果を出しやすくなります。反対に、経営の知識がなく技術しかわからないエンジニアは、ビジネスにつなげられません。よい技術を作れるかもしれませんが、企業で成果を出しづらくなってしまいます。

 

役職が上がるにつれ、専門家でもマネジメントが求められる

さらに、一般に企業では役職が上がるにしたがって、専門職でもマネジメントが求められるようになります。部下を持ったり、チームを率いたりするようになります。なんの準備もできていないと、いざ役職にあがるときに戸惑ってしまいます。

そのため、マネジメント、リーダーシップをはじめとする組織運営を学んでおくことをおすすめします。

 

このように、経営の知識はグローバル人材の基礎体力のようなものです。

 

次に、ビジネス英語力、論理思考力、経営の基礎知識の身につけ方を説明します。

ビジネス英語力の身につけ方

先ほど説明したようにビジネス英語力には、「英語力(語学力)」「異文化理解力」が含まれます。

ビジネスで結果を出せる英語力(語学力)の身につけ方

先ほども述べましたが、グローバルビジネスで求められるのは「美しい英語力」ではなく、「仕事で成果を出せる英語力」です。

 

なぜなら、世界で英語を話す人の4人に3人は英語ノンネイティブだからです。

世界で英語を話す人口は15億人程度と言われています。そして、そのうち75%がノンネイティブです。つまりアメリカ、イギリス、オーストラリアなど英語ネイティブの人口は3.75億人で、残りの11.25億人はノンネイティブです。中国、インドなどアジア圏も英語でビジネスをする人が多いです。

 

筆者の仕事相手のアメリカ企業では、アメリカ人だけでなく中国人、台湾人、ヨーロッパ人など多国籍の方が仕事をしています。皆さん英語でコミュニケーションをしていますが、当然訛りがあります。

 

このような英語は「グロービッシュ」と呼ばれます。Global Englishの略で、世界中どこでも使えるノンネイティブの英語のことです。具体的には、難しい単語や構文を使わずに、簡単な文章でコミュニケーションを取る英語を指します。グローバルに仕事をしている人たちは、この「グロービッシュ」を使いこなしています。

 

たとえ流暢でなくても、多国籍の仕事相手と議論、交渉をして結果を出せる英語力があれば問題ありません。

反対にTOEICのスコアが高かったり、英語がペラペラだったりしても、仕事で結果を出せなければグローバル人材にはなれません。

 

そのため、「仕事で結果を出せる英語力」を身につけることをオススメします。

 

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異文化理解力の身につけ方

異文化理解力を身につけるには以下の2つが重要です。

  1. 異文化に対する知識を得る
  2. 高い視点で物事を見る(メタ認知力を身につける)

 

異文化に対する知識を得る

そもそも文化により、どのような違いがあるかを知らないと異文化理解はできません。

先ほど挙げた事例のように、日本はハイコンテクスト文化、アメリカはローコンテクスト文化と知っていれば、相手の文化について理解できるようになります。

 

ハイコンテクスト、ローコンテクスト以外にも多くの文化の違いがあります。文化により、どのような違いがあるかを知っておくことは重要です。

 

次の記事では、異文化理解で著名なヘールト・ホフステードの文化の6次元モデルを用いて、海外と日本の文化を比較しました。興味がある方は参考にしてみてください。

⇒異文化理解の必要性 ~海外とコミュニケーションする人必見~

 

高い視点で物事を見る(メタ認知を身につける)

たとえ異文化に関する知識を得ても、相手の文化を受け容れる姿勢や柔軟な思考がなければ、コミュニケーションは成立しません。なぜなら、お互いに主張のぶつけあいになってしまうからです。

 

日本の文化と海外の文化が違うことを認識しつつ、「正解」を探すのではなく、どちらの文化も尊重する態度が求められます。

 

このように、自分の”メガネ(固定された見方)”を外し、一段高い視点で物事を見るスキルを「メタ認知」と呼びます。メタ認知自身も21世紀の重要スキルです。詳しくは次の記事を参考にしてください。メタ認知とは何か、どのようにメタ認知を身につけるかを解説しました。

 

論理的思考力の鍛え方

論理的思考力は、「ロジカルシンキング」「クリティカルシンキング」があります。

ロジカルシンキング

ロジカルシンキングに関しては、多くの書籍で解説されています。

特にマッキンゼーをはじめとする外資系コンサルティング企業が、ロジカルシンキングを体系化し実践に使いやすいフレームワークを構築しています。

たとえば、ロジックツリー、ピラミッドストラクチャー、MECE(ミーシー)などです。

 

詳しくは以下の書籍を参考にしてみてください。

 

⇒ロジカル・シンキング(著:照屋華子) 

タイトルの通り、ロジカルシンキングについてまとめた著作です。著者は世界的に有名な外資系コンサルティング会社のマッキンゼー出身。ロジカルシンキングの基礎を学べます。

 

⇒考える技術 (著:大前研一)

世界を代表するコンサルタントである大前研一さんの著書です。大企業のコンサルティングを務めただけでなく、マレーシアなど国のアドバイザーも務めた方です。

この本では大前さんが実践するロジカルシンキングの基礎を学べます。

 

⇒勝間和代のビジネス頭を創る7つのフレームワーク力 ビジネス思考法の基本と実践(著:勝間和代)

勝間和代さんがまとめた思考法に関する著書です。少し古い本ですが、かなりしっかり書かれており多くのビジネスパーソンに役立つ内容です。

 

これらの本を参考にしつつ、日常生活や仕事で実践を繰り返すことでロジカルシンキングが身につきます。反対に、本を読むだけで実践しなければロジカルシンキングは身につきません。

いったん身につけてしまうと、様々な分野で応用できる武器となります。

クリティカルシンキング

こちらも著書で基礎を学び、実践を繰り返して身につけるのが近道です。

 

⇒グロービスMBAクリティカル・シンキング(著:グロービス経営大学院)

国内MBA大手グロービズの教科書です。少し硬い本ですが、クリティカルシンキングだけでなくロジカルシンキングも含めて学べます。

 

⇒イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」(著:安宅和人)

 

仕事で成果が出ない多くの場合、そもそもの課題(イシュー)の設定を誤っているケースが非常に多い。この本を読むと、そもそものイシューを、いかに正しく設定するかの重要性がよくわかります。

 

くり返しになりますが、論理思考力は本を読んだだけでは身につきません。何度も実践をしてみてください。

経営の基礎知識の身につけ方

 

経営の基礎知識を一通り身につけるには、MBAプログラムが王道です。講義に加えグループワーク、演習をこなすことで、ビジネスに必要な知識が得られます。

 

MBAは海外、国内、オンラインから選べます。それぞれのメリット、デメリットを以下の記事に詳しくまとめたので参考にしてみてください。

 

ただし、MBAに通うには時間とお金がかかります。最もリーズナブルなオンラインMBAでも200~300万円の学費が必要になります。また、卒業までに2年以上かかります。

「さすがに、そんなお金と時間をかけられな……」という人のために、MBAで学べることの全体像とオススメ本を以下の記事にまとめました。興味がある方は読んでみてください。

 

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まとめ|3つのスキルを身につけ、グローバルに活躍しよう

この記事ではグローバル人材に求められる3つのスキルについて解説してきました。

  1. ビジネス英語力
  2. 論理思考力
  3. 経営の基礎知識

 

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