近年、海外出張をせずに英語のオンライン会議をする機会が増えました。わざわざ飛行機に乗って現地に行かなくても、海外と会議ができるので便利ですよね。
しかし、WEB会議はリアルの会議よりも難しい。
なぜなら、オンラインだとお互いのしぐさや表情がハッキリ見えないからです。ジェスチャーや表情で考えを伝えられないので、ごまかしがきかず英語でしっかりコミュニケーションを取る必要があります。
実際、私がビジネス英語コーチとしてサポートしていると、英語のWEB会議、オンライン会議に苦手意識を持つ人が多いと感じます。ですが、コツを押さえれば英語のWEB会議はそれほど難しくありません。
この記事では、年間50回以の英語でオンライン会議を実践している筆者が、英語のWEB会議の5のコツと11の使えるフレーズ集を解説します。
※雑誌『週間東洋経済』にて、「オンラインで失敗しない 英語会議をこなす6つの心得」の記事を執筆しました。こちらも参考にしてみてください。
タップできる目次
英語のWeb会議を成功させる5つのコツ
相手が「読んで分かる」資料を準備する
本番に使えるフレーズを覚えるのも大事ですが、実は英語のオンライン会議では事前の資料準備が重要です。具体的には、相手が資料を「読んで分かる」レベルのものを準備することが大切。
その理由は3つあります。
- ジェスチャーや白板を使えない
- スピーキング力のみで乗り切るには、ネイティブ並みの英語力が必要
- ネットの接続が悪く音声が途切れがちになることがある
ジェスチャーや白板を使えない
対面の会議なら、英語が伝わらなかったり表現が難しいときにジェスチャーを使ったり、白板や紙に絵を描いたりしてイメージを共有しやすいです。しかしWEB会議の場合、ジェスチャーや白板を使って説明するのは簡単ではありません。
つまり、WEB会議では複雑な内容を相手に伝えるのが難しいということ。
一方で、パワーポイントなどの資料は事前に準備することができます。わからない表現があっても辞書やGoogle翻訳などで調べることができます。自分が伝えたいことを、資料にしっかり書いておけば、英語に詰まってしまったときにも何とかなります。
スピーキング力のみで乗り切るには、ネイティブ並みの英語力が必要
ある程度、英語を話せる場合、「会議当日に説明すれば何とかなるだろう」と思うかもしれません。しかし、WEB会議をスピーキング力のみで乗り切るには、ネイティブ並みの英語力が必要になります。
ビジネスの会議は、複雑な話が多いので、考えが整理されていないと相手に伝わらないことがあります。
あるとき、筆者は資料の準備をせずに英語のWEB会議に臨んだことがあります。ある程度は英語を話せるようになったので、「最悪、その場で説明すれば何とかなるだろう」という驕り(おごり)がありました。
会議の当日、資料なしで英語で説明をしました。すべてを聞き終わった後で、相手から「そもそも、何の話をしてるの?」と聞き返されてしまった恥ずかしい体験があります。
さまざまなビジネス上の課題がある中で、どの話をしているのかが、うまく伝わっていなかったのです。このような複雑な話は、日本語でも言葉だけで伝えるのは難しい。
だからこそ、「相手が読めばわかる資料」を準備しておくことが重要なんです。
ネットの接続が悪く音声が途切れがちになることがある
また、WEB会議では接続の問題で音声が途切れがちになるケースがあります。ただでさえ英語のコミュニケーションは難しい上、音が途切れがちになると意志疎通が困難になります。
以前、WEB会議に向けた資料準備が間に合わず、中途半端なまま会議に臨んだことがあります。運悪く会議当日の回線の調子が悪く、先方の英語が早口で、ほとんど何を議論しているのか分からなくなってしまいました。
「しっかり、資料を準備しておけばよかった......」と後悔しましたが、後の祭りです。
結果的に、こちらから伝えたかったことが伝わらず、会議が無駄になってしまいました。
以上のように、WEB会議は事前の資料準備がとても大事です。当日にコミュニケーションがうまく取れないケースを想定して、「相手が読んでわかる資料」を準備しておくことをオススメします。
具体的なプレゼン資料作成のやり方を知りたい場合は、以下の記事を参考にしてみてください。
⇒ご参考:ビジネス英語プレゼンのスライド構成と作り方の例|パワポ作成のコツも紹介
WEB会議の接続状況を確認する
会議のスタート時に、音声の接続状況を確認します。
音が小さかったり、ノイズが入ったり、ハウリングしたりするとWEB会議中の議論を聞き取れなくなるからです。
基本的なことですが、うっかり接続状況の確認を忘れたまま会議を始めると、途中で音声が聞き取れなくなり会議を中断せざるをえなくなります。
WEB会議の場合、複数の場所から接続するケースも多くあります。会議の最初に、参加者の確認、音声が聞こえているかのチェックをするのがおすすめです。
よく使うフレーズを覚えておく
WEB会議でよく使われるフレーズは、ある程度決まっています。
そのため、よく使うフレーズを覚えておくと、とっさの時に沈黙せずにすみます。
反対にフレーズを覚えていないと沈黙してしまい、相手の言っていることを理解できなかったり、自分が言いたいことを言えなくなってしまいます。
WEB会議でよく使う11のフレーズは、後ほど詳しく紹介します。
相手の発言をさえぎらない
対面の会議の場合、議論がヒートアップすると相手の発言をさえぎってしまうことがあります。
WEB会議の場合は、できるかぎり相手の発言をさえぎらず最後まで聞くことを意識した方がよいでしょう。
なぜならWEB会議の場合、複数の人が同時に話すと内容を理解できなくなるからです。
心理者アルバート・メラビアンが提唱した「メラビアンの法則」をご存知でしょうか。
話し手が聞き手に与える影響を、「言語情報」「聴覚情報」「視覚情報」に分け、それぞれの寄与率を示したものです。
・言語情報(Verbal)・・・7%
言葉そのものと話の内容
・聴覚情報(Vocal)・・・38%
声のトーンや大きさ、テンポなど
・視覚情報(Visual)・・・55%
話し手の表情や目線、態度やしぐさ。または見た目
このように聞き手は、言語情報をたった7%しか使っておらず、残りの93%は声のトーンやジェスチャーなど非言語情報(言葉以外の情報)を元に判断しています。
オンライン会議では言葉で伝えるしかない
リアルの会議の場合、複数人が同時に話しても「誰が」「どんな風に話しているのか」は見ているとわかります。「あ、この人は、この意見に反対なんだな」みたいな感じです。
一方WEB会議では非言語的な情報の多くが失われてしまいます。
複数人が同時に話すと、そもそも誰が話しているのかよく分からなくなってしまいますしどんなニュアンスで話しているのかも伝わりません。
その結果、言語の情報量が多くなりすぎ、理解が追い付かなくなりがちです。
そのため、WEB会議では相手の発言をさえぎらず区切りまで話を聞くことをおすすめします。
議事録を作成して相手と共有する
通常の会議でも議事録を作成する機会は多いと思います。英語のWEB会議の場合は、議事録を作成し相手と共有することをおすすめします。
なぜなら英語のWEB会議の場合、相手と誤解が生じているケースがあるからです。
相手の発言内容を誤解していたり、こちらの発言の意図が伝わっていなかったりするケースです。
議事録を書かなかったためにアメリカ企業と揉めた
以前、筆者は議事録を書かなかったために相手と揉めた苦い経験があります。
アメリカ企業と新製品の共同開発をしていたとき。オンライン会議で課題について議論をして、今後の進め方を議論しました。会議が終わったときは、「これで、進め方とやることが明確になってスッキリした!」と思っていました。
しかし、その次のミーティングで相手と揉めることになったのです。
前回のミーティングで、相手(アメリカ企業)が進めることになったタスクがありました。そのタスクについて、相手から「なんで、あなたたちはこのタスクを進めていないのか?」と責められたのです。
私たちはビックリしてしまいました。
なぜなら、そのタスクは相手がやるものだと思っていたからです。なので「それは私たちのタスクではなく、そちら(アメリカ企業)のタスクのはずです」と伝えました。
すると相手は猛烈(もうれつ)に怒り始めました。
「前回のミーティングで分担を決めたはずだ」と。
どうやら、お互いにタスク分担について誤解をしていたようです。
相手は私たちがタスクをやると思っており、私たちは相手がそのタスクをやるものだと思っていたわけです。
このようなすれ違いは、議事録を書いておけば防げたはずです。
議事録は簡単なメモ書きでOK
議事録(Meeting Minutes)の内容は、以下の内容を箇条書きで共有するとよいでしょう。
- 会議で決まったこと
- 次のアクションの担当と納期
メモ書きのメールで十分なので、簡単な議事録を作成して相手と共有することをおすすめします。
英語のWEB会議で使える11の必須フレーズ集
次に英語のWEB会議で使える11の必須フレーズを紹介します。
会議で使えるフレーズはたくさんありますが、すべてを覚えるのは現実的ではありません。
これから紹介する11の必須フレーズを覚えておけば、オンライン会議をこなせるはずです。
オンライン会議の始めに使う4つのフレーズ
最初に、WEB会議をはじめるときに使えるフレーズを紹介します。
フレーズ1|接続の確認
“Hello, this is ●● speaking. Can you hear me?”
(私は●●です。聞こえますか?)
フレーズ2|参加者の確認
“We have ●● from marketing team, and ◆◆ from R & D participating in the meeting.”
(マーケティングチームから●●、R & D(研究開発)チームから◆◆が参加しています。)
フレーズ3「皆さんお揃いですか?」
“Is everyone there? Can we start the meeting?”
(みなさんお揃いですか? 会議を始めましょうか?)
フレーズ4「会議を始めましょう」
“Let’s get started.”
(それでは始めましょう。)
オンライン会議が始まるときは大体同じ流れなのでよくフレーズを覚えておくとスムーズに会議を始められます。
オンライン会議の進行中に使う5つのフレーズ
次にWEB会議の進行中によく使うフレーズを紹介します。
フレーズ5|議題について話しはじめるとき
“I’d like to talk about ~.”
(~について話をしたいのですが)
フレーズ6、7|相手の発言がわからなかったとき
“Could you repeat again?”
(もう一度、言ってもらえませんか?)“Sorry, I couldn’t understand. Could you speak more slowly?”
(すみません、わかりませんでした。もう少しゆっくり話してもらえますか?)
WEB会議では、相手の発言が聞き取れないことがよくあります。沈黙してしまうと、こちらが何に困っているのか相手に伝わりません。聞き取れないのは恥ずかしいことではないので、はっきり相手に伝えた方が良いです。
フレーズ8|相手の発言を理解できているか心配なとき
“Let me confirm my understanding.” あるいは、”Let me check my understanding.”
(私の理解が合っているか確認させて下さい。)
フレーズ9|時間を稼いで、考えを整理したいとき
“Could you wait a moment?”
少し待っていただけますか。
このように定型のフレーズを覚えておくだけで、会議中のとっさの事態にフリーズするのを防げます。
オンライン会議の最後に使う2つのフレーズ
フレーズ10|質問やコメントを確認するとき
“Are there any questions or concerns?”
(何か質問やコメントはありますか?)
フレーズ11|会議を終えるとき
“I think that’s all for today.”
(今日の会議はここまでです。)
まとめ|コツとフレーズを覚えて英語のWEB会議を成功させる
相手の姿がはっきり見えなかったり、ジェスチャーを使ったコミュニケーションが取りづらかったりするため、英語のWEB会議に苦手意識を持つ人が多いかと思います。
しかし慣れてしまえば英語のWEB会議は怖くありません。
この記事で紹介した5つのコツと11の必須フレーズ集を使って英語のWEB会議に臨んでみて下さい。
きっと、これまでより楽にこなせるようになるはずです。
英語のオンライン会議をリードしてビジネスで成果をあげたい人へ
この記事で解説した5つのコツと、フレーズ集を使えば英語のWEB会議をこなす苦労が少なくなるでしょう。
ただし、英語のWEB会議で積極的に発言し議論をリードして大きな成果をあげるには不十分です。
なぜなら、英語で議論をしたりミーティングをファシリテートしたりするには、本質的なビジネス英語を身につける必要があるからです。
最近になり、数ヶ月の短期間で本質的なビジネス英会話力を身につけられる次世代型のスクールが出てきました。
日本人がなぜ英語を話せないかというと、正しい英会話の学習法を学んだことがないからです。次世代型のスクールでは、科学的なトレーニングで効率的にビジネス英語力を身につけることができます。
以下の記事には、筆者が体験したおすすめのビジネス英会話スクールを紹介しています。
「ビジネス英語を身につけたいな......」という場合は読んでみてくださいね。