「文法の知識がなくても、英会話はできるのではないか」
こんなふうに考えたことはありませんか?
たしかに、英語ネイティブはいちいち文法を意識せずに話しているように見えます。
しかし、日本人の大人が英会話を身につける場合、やはり文法の知識はとても大切です。
この記事では、英会話に文法が必要な理由や、最低限覚えるべき文法について解説します。
おすすめの参考書や英文法マスターのためのテクニックも紹介しているので、効率的に英会話ができるようになりたい人は、ぜひ最後まで読んで参考にしてくださいね。
タップできる目次
英会話に英文法が必要な3つの理由
数日間の旅行会話程度であれば、文法を学ばなくても対応できるかもしれません。
ですが、将来的に英語で会議をしたり、外国人と雑談を楽しんだりしたいのであれば、文法は必須です。
なぜ英会話に文法が必要なのでしょうか?
効率よく英語を身につけるため
英文法は「英語のルール」です。
ルールをしっかり頭に入れておくことによって、学習を効率よく進めることができます。
スポーツでもゲームでも、ルールを知らないまま試合に出たら、役に立ちませんよね。
適当に動いてみることはできますが、ミスや無駄な動きが多くなり、非常に効率が悪いです。
英語も同じで、ルールがわからないまま勉強していると、理解に時間がかかってしまいます。
反対に、一度ルールを完璧に覚えてしまえば、あとはそれに従うだけなので、成長のスピードがグンと速くなります。
言いたいことを正しく伝えるため
「文法がわからなくても英語が通じればいい」と思うかもしれません。
しかし文法の知識がないと、言いたいことが正しく伝わらない可能性が高まります。
たとえば、次の2つの文の違いはわかりますか?
- Call me a doctor.
- Call me doctor.
前者は「医者を呼んで」ですが、後者は「私を医者と呼んで」となります。
冠詞(a)があるかないかだけで、意味が大きく変わってしまいますね。
誤解を防ぐためにも、文法はとても大切なのです。
相手の信頼を得るため
ネイティブであっても、学校で英語の授業(日本でいう「国語」の授業)がありますから、教養の高い人ほどしっかりした文法で話します。
文法がぐちゃぐちゃだと「教養のない人」と見なされ、特にビジネスの場で信頼を得ることが難しくなります。
文法の間違いは誤解につながるため、「文法がぐちゃぐちゃな人=相手に正しく情報を伝える努力ができない人」と思われても仕方ありません。
日本の会社で、敬語ができないと評価が落ちてしまうのと似たようなものです。
外国人からもきちんとした社会人として見られたいのであれば、英語の文法もしっかり学んでおきましょう。
初心者が覚えるべき基礎英文法
いくら英文法が大切だといっても、初心者がゼロから全てを学び直すとなると、大変ですよね。
そこで、まず押さえておきたい3つの基礎をピックアップしました。
細かい説明は省いて、初心者向けの基本だけを解説します。
基本の語順
英文法で最も重要なのは「語順」で、語順を間違えると文の意味が変わってしまいます。
たとえば Children like cats. は「子どもたちは猫が好き」ですが、語順を入れ替えて Cats like children. とすると「猫は子どもたちが好き」になります。
英語の基本の語順は「主語+述語+目的語」。
わかりやすく言い換えると、「誰が+どうする+何を」という順番です。
- I play soccer. 「私は+する+サッカーを」
- I study English.「私は+勉強する+英語を」
- I eat rice.「私は+食べる+ごはんを」
日本語と違って、「どうする」が「何を」よりも先に来ることに注意しましょう。
疑問文の作り方
会話では、相手に質問したりされたりする機会が多いです。
そこで押さえておきたいのが「疑問文」。
疑問文の作り方はとても簡単です。
普通の文の最初に「Do」を置くだけ。
先ほど挙げた3つの例文は、次のようになります。
- Do you play soccer?「あなたはサッカーをしますか」
- Do you study English?「あなたは英語を勉強しますか」
- Do you eat rice?「あなたはごはんを食べますか」
「何を」の部分を尋ねたい場合は、「何を」の部分をWhatに変えて、Doの前に持ってくればOKです。
- What do you play?「あなたは何をプレイしますか」
- What do you study?「あなたは何を勉強しますか」
- What do you eat?「あなたはごはんを食べますか」
3つの時制(現在・過去・未来)
現在・過去・未来という「3つの時制」を使いこなせるようになると、会話の幅が大きく広がります。
1つ目の例文をそれぞれの時制で見てみましょう。
(過去)I played soccer.「私はサッカーをします」
(未来)I will play soccer.「私はサッカーをするでしょう」
このように「どうする(動詞)」の形を変えると、過去や未来を表現できます。
まず、基本的に過去形は「もとの形+ed」、未来形は「will+もとの形」と覚えてください。
ただし過去形には例外がたくさんありますから、少しずつ学んでいきましょう。
英文法学習におすすめの教材や参考書
文法は独学で学ぶことができますが、わかりやすい教材が必要です。
基礎から文法を復習したい初心者のための教材を3つ紹介します。
『中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。』
「参考書を1冊手元に置いておきたい」という人には、こちらの書籍がおすすめです。
「主語って何?」というような、本当に基礎的なところから解説しているので、中1で英語につまずいた人でも安心して使えます。
イラストが多く雑誌感覚で読める一方、練習問題も豊富なので実力もしっかりつけられますよ。
また、本書対応の無料アプリを使えば、スピーキング練習用の音声が利用可能。
「文法の基礎を身につけながら、英会話ができるようになりたい」という人にぴったりの1冊です。
「スタディサプリENGLISH」新日常会話コース
忙しい社会人には、いつでもどこでも使えるスマホアプリが便利です。
「スタディサプリENGLISH」の新日常会話コースでは、リアルな場面設定のレッスンで会話に役立つ表現が学べます。
文法をしっかり学びたい人は、ドラマ仕立てのレッスンを進めるだけでなく、プロ講師の動画教材も活用してみてください。
文法を含めた会話表現のポイントについて、2分程度でサクッと解説してくれます。
中学英語 学習サイト
こちらのサイトには、中学文法が項目ごとにまとめられており、練習問題も全て無料で使えます。
シンプルなつくりですが、各項目の要点解説もありますし、その場での答え合わせなどもできて、なかなか使い勝手が良いです。
ただしガッツリ文法用語が出てくるので、最初からこのサイトのみで勉強しようとすると、挫折しやすいかもしれません。
『中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。』のような書籍でひととおり勉強したあと、復習用としてサイトを利用するのがおすすめです。
英会話に必要な英文法を最速でマスターするテクニック
文法をゼロからコツコツ学習するとなると、中学英語だけでも結構時間がかかります。
そこで、英会話に必要な英文法を最速でマスターするために押さえておきたいコツをお伝えします。
例文の丸暗記
即効性があるのは「例文の丸暗記」です。
この記事で「基本の語順は『主語+述語+目的語』」と解説しましたが、文法用語で「主語+述語+目的語」と覚えようとしても、呪文のようで記憶に残りません。
「I play soccer. (私はサッカーをする)」という例文を丸ごと覚えてしまったほうが効率的です。
「I play soccer. 」を覚えてしまえば、「Iが主語で、playが述語で......」などといちいち考える必要はありません。
soccer の部分を baseball 「野球」、video games「ゲーム」、the piano「ピアノ」などに変えれば、いろいろな文が作れます。
文法用語は無視して構わないので、それぞれの文法事項を使った例文を丸暗記するのがおすすめです。
練習問題を繰り返し解く
「英語はスポーツだ」と言われることがありますが、本当にそのとおり。
何度も同じことを繰り返せば、体が勝手に覚えてくれます。
たとえば疑問文の作り方を覚えたければ、「ふつうの文を疑問文に書き換える」という練習問題を100問くらい解きましょう。
解き終える頃には、手が自動的に動くくらいになっているはずです。
ただし、覚えたつもりでも、時間が経つと忘れてしまいます。
1週間後にもう一度解く、1ヶ月後にもう一度解く......というように、少しずつ期間を空けながら繰り返し解くことを半年程度続ければ、知識として完全に定着します。
品詞を意識する
文法用語は覚えなくてもいいと書きましたが、ひとつだけ意識してほしいものがあります。
それは「品詞」。
代表的なものに、名詞(apple, cup)、動詞(play, study)、形容詞(big, red)などがあります。
なぜ品詞が重要なのでしょうか?
それは、語順が品詞で決まっているからです。
たとえば「誰が(主語)」になれるのは、名詞・代名詞だけ。動詞や形容詞は、この位置に置けません。
品詞を知っていると、「playは動詞だから、主語にはなれないな」ということがわかり、文の組み立てがとても楽になるのです。
「形容詞」といった用語は覚えなくてもOKですが、どの単語とどの単語が同じ品詞なのか、見分けられるように頑張ってみてください。
よくある質問
最後に、英語の文法についてよくある質問をまとめました。
文法がめちゃくちゃでも英会話はできるのでしょうか?
日本語での会話と同じで、多少文法を間違えても、“なんとなく”英会話をすることはできます。
ただし誤解されるリスクが高まるので、なるべく正確な文法を心がけることをおすすめします。
ネイティブは文法を意識しないから「英文法はいらない」と聞いたことがあります
英語圏で育ったネイティブは、意識しなくても自然と文法が身についたから、改めて学ぶ必要がないだけです。
日本人で「助詞とかよくわからない」と言っている人でも、それなりに文法に従って話していたりしますよね。日本語ネイティブだから文法を意識せずに話せるわけです。
外国人にはネイティブのような自然な蓄積はありませんから、文法がわからないとなかなか話せるようになりません。
英語は英語で学んだほうが良いのでしょうか?
初心者のうちは日本語で学ぶことをおすすめします。
特に文法のような複雑なことは、英語だと理解度が落ちて時間がかかってしまうので、日本人に日本語で習うのが最も効率的です。
まとめ
英会話が目的の場合、英文法の学習は遠回りに思えるかもしれません。
しかし、単語を並べるカタコト会話レベルを脱して、中級以上の英会話レベルを目指すのであれば、絶対に文法は必要です。
複雑な会話は、文法を理解してこそ可能だからです。
文法の知識によって英語学習の効率が上がるので、文法学習は結果的に英会話上達の近道とも言えますよ。
この記事を参考に、基礎的なところから少しずつ学んでみてくださいね。