英語学習における化石化とは?初心者がネイティブから習うべきでない理由

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「英会話を習うならネイティブから……。」

このように感じる人も多いかもしれません。

 

たしかに、ネイティブ講師から習うと、英語らしい表現を学べたり、ネイティブの発音に慣れたりというメリットがあります。

しかし、特に初心者がネイティブから英会話を習うのはオススメしません。なぜなら、インプットが不足した状態で英会話練習をすると、変なクセがついて抜けなくなるからです。専門用語で「化石化」と呼ばれる現象です。

 

この記事では、第二言語習得のメカニズムを踏まえて、なぜ初心者にネイティブから英会話を習うのをオススメしないかを解説します。

ネイティブから英会話を習うメリット

最初にネイティブから英会話を習うメリットをまとめておきます。

ネイティブらしい表現に慣れる

まず、ネイティブらしい複雑な英語表現に慣れることができます。

 

たとえば、相手の声が聞こえないとき。あなたなら、どう伝えますか?

“I can’t hear you.”
(聞こえません。)

このようにシンプルに伝える人もいるかもしれません。

 

一方、ネイティブであれば以下のように伝えます。

“Sorry, I’m having trouble hearing you.”
(すみません、ちょっと聞こえにくいです。)

 

このようにネイティブらしい表現に慣れることができます。ネイティブらしい表現を身につけると、微妙なニュアンスを伝えられるようになります。

ネイティブらしい発音に慣れる

また、ネイティブらしい発音にも慣れます。フィリピン人や日本人の講師は非ネイティブなので、どうしても発音に訛りがあります。

アメリカ人やイギリス人などネイティブから習うと、ネイティブらしい発音に慣れることができます。

 

ただし、ネイティブにもアメリカ英語、イギリス英語、オーストラリア英語など訛りがあるので、自分が身につけたい英語に慣れる必要があります。

 

このように、言い回しや発音をレベルアップさせるには、ネイティブから習う意味があります。

ネイティブから英会話を習うデメリット

反対に、ネイティブから英会話を習うデメリットをお伝えします。

コミュニケーション中心で、基礎がおろそかになりがち

ネイティブ講師と英会話をすると、どうしてもコミュニケーション中心になりがちです。つまり、基礎的な英文法や単語を習うのではなく、話したい内容を伝えるアウトプット練習です。

たしかに、アウトプット練習も重要です。しかし基礎的なインプット学習をしておかないと、アウトプットはあまり効果が出ません。

 

効果的な英語学習は、大量のインプット・少量のアウトプット

第二言語習得論と呼ばれる学問分野では、第二言語を習得するプロセスが研究されてきました。この第二言語習得論の60年以上にわたる研究から、第二言語を習得する効果的な学習法は「大量のインプットと少量のアウトプット」とわかってきています。

 

インプットとは、文法、単語、リーディング、リスニングなどの学習で、アウトプットはスピーキング、ライティングなどを指します。

 

なぜなら、

  • 知らないことは話せない
  • 知らないことは書けない

からです。

 

ケース・ウェスタン・リザーブ大学の白井恭弘教授によると、インプット:アウトプット=7:3~8:2が最適な比率です。

ですので、英語もインプット中心で学習した方が効果的です。

 

間違った英語が定着する恐れも~英語学習における化石化~

さらに、インプットが不足した状態でスピーキングの練習ばかりしていると、間違った英語が定着してしまう恐れがあります。

これを、第二言語習得論では「化石化(Fossilization)」と呼びます。

 

いったん、間違った表現が定着すると、なかなか誤りを修正できなくなってしまいます。

 

たとえば、「孫正義さん(ソフトバンクグループ会長兼社長)を知っていますか?」と聞くとき、次のように話す人もいます。

“Do you know Mr. Masayoshi-Son?”

これだと、「孫正義さんを個人的に知っていて、親しいですか?」というニュアンスを含みます。

 

「孫正義さんのことを、聞いたことがありますか?」というニュアンスの場合、次のように表現します。

“Have you heard of Mr. Masayoshi-Son?”

 

しかし、英会話スクールのネイティブレッスンの場合、このような表現を修正してくれないことがあります。なぜなら、”Do you know Mr. Masayoshi-Son?”と日本人が聞くと、ネイティブ講師が空気を読んでくれるからです。「ああ、この生徒が言いたいのは”Have you heard of Mr. Masayoshi-Son?”ということだな」と。

 

いちいち会話を遮るとキリがないので、ネイティブ講師は生徒の意図を読んで話を続けるのです。

そうすると、生徒は誤りに気付かないため、誤った表現が定着してしまいます。

 

特に初心者はネイティブから習うより、基礎学習の方が効果的

ここまでの話を簡単にまとめます。

  • ネイティブ講師に習うと、ネイティブらしい表現や発音に慣れる。
  • 一方、基礎が不十分なまま、ネイティブ講師のレッスンを受けると、「化石化」が起きるリスクが高まる。

 

つまり、初心者~中級者の場合はネイティブから習うより、基礎的なインプット学習をした方が効果的です。上級者の場合は、ネイティブから習うと、英語表現の幅を広げたり、発音を改善したりするメリットが得られます。

 

 

目安としては、「英語で仕事ができるレベル」「TOEICでいうと、800~900点」になるまでは、ネイティブに習うメリットよりデメリットの方が大きいと言えます。

 

英語学習における化石化とは?

先ほど説明した、英語学習における「化石化」について詳しく説明します。

第二言語学習時に、間違った表現が定着

先ほど説明したように、「化石化」とは第二言語学習時に、間違った表現が定着する現象をさします。

ミシガン大学のLarry Selinker(ラリー・セリンカー)が提唱した概念です。

⇒Selinkerの発表内容:Interlanguage, Larry Selinker (1972)

 

第二言語(英語)を学ぶプロセスは、母語(日本語)を身につけるプロセスとは違います。なぜなら、英語を学習するときには、母語である日本語の影響を受けるからです。

 

たとえば、日本人は”L”と”R”を聞き取ったり、発音したりするのが苦手です。日本語は”L”と”R”を区別しないからですね。ですので”Light(明かり、信号機)”と”Right(右)”はどちらも「ライト」と発声します。

 

第二言語を学習する際に母語の影響を受ける現象は、「言語転移」と呼ばれています(詳しくは次の記事を参考にしてください)。

 

 

このように、言語転移の影響があるため、第二言語を学ぶときに間違った表現が定着する「化石化」が起きるのです。

 

化石化が起こる原因

では、どのようなときに化石化が起こりやすいのでしょうか?

これまでの研究で、いくつかの要因がわかっています。

 

具体的には、

  1. インプット不足
  2. 不適切な指導(誤りを訂正しない)
  3. 文法、表現への注意力不足
  4. 英語学習、文化適応への意欲の不足

などです。

 

特にインプット不足は大きな要因です。なぜなら、正しい表現を知らなければ、正しい表現を使うことはできないからです。

 

そのため化石化を避けるには、英会話などのアウトプットの前にインプット学習をすることをオススメします。

まとめ|化石化を防ぐには、大量のインプットが大切  

この記事では第二言語習得論の「化石化」について解説し、初心者がネイティブから英語を習うデメリットをお伝えしてきました。

 

結論をまとめておきます。

 

この記事の結論
  • 初心者がコミュニケーション中心のレッスンをネイティブ講師から受けると、変なクセが定着する可能性がある。
  • 効果的に英語力を伸ばすには、大量のインプット・少量のアウトプットが重要。
  • ネイティブから習うのは、①英語で仕事ができるレベル、②TOIEC800~900点レベルになってからでOK。

    以下の記事も参考にしてみてください。

     

    ↓第二言語習得論の知見を含め、科学的な英語学習法をまとめました。あなたの英語学習の効率を高めるヒントが書かれています。気になる方は読んでみてください。

     

    英語勉強法の効率が変わる5つのポイント|科学的な英語上達法

     

    ↓英語を使ってビジネスをするのにネイティブレベルの英語力は不要です。1500語と中学文法でコミュニケーションをとる「グロービッシュ」について詳しく解説しました。最短で仕事

    ⇒グロービッシュ

    ➡グロービッシュとは? 「仕事の結果を出す」1500語のシンプルな英語力

     

    参考文献

     

    第二言語習得と英語科教育法

    外国語学習の科学-第二言語習得論とは何か

    英語教師のための第二言語習得論入門

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