TOEICといえば、一般的にL&R(TOEIC® Listening & Reading Test、リーディングとリスニングの英語力測定)を指しますが、最近はスピーキングテストへの注目も高まっています。
ビジネスの現場では、英語を読んだり聞き取ったりするだけでなく「話す」能力が求められます。
スピーキングテストで高いスコアを取れば、英語を話す能力を客観的にアピールできるというわけです。
スピーキングはL&Rに比べて対策しづらいイメージがありますが、コツを押さえて対策すれば短期間でもスコアアップできますよ。
この記事では問題形式や出題傾向、スコアの目安といった基本情報だけでなく、短期間でスコアを伸ばす攻略法やおすすめの教材まで徹底的に解説します。
TOEICのスピーキングテストで少しでも高い点を取りたい人は、ぜひ参考にしてくださいね。
タップできる目次
TOEICスピーキングテストはどんな感じ? 問題形式と出題傾向
まず、TOEICのスピーキングテストがどんなテストなのか確認しておきましょう。
テスト概要と特徴
「TOEIC® Speaking Test」は、英語のスピーキング力を正確に測定するためのテストです。
ライティングの試験がついているS&W(TOEIC® Speaking & Writing Tests)もあり、スピーキング部分の内容は変わりません。
マークシート形式のL&Rと違い、解答の自由度が高いのがスピーキングテストの特徴。
テスト会場で一人ひとりパソコンの前に座り、ヘッドセットをつけてマイクに向かって解答します。
録音した音声データをもとに、TOEIC開発団体ETSの認定を受けた採点者が採点する仕組みです。
問題形式と構成
約20分間で11問出題されます。構成は次のとおりです。
問題構成と形式を把握しておくと、対策が取りやすくなるのでしっかり確認しておきましょう。
内容 | 問題数 | 解答時間 | 課題概要 |
Read a text aloud (音読問題) | 2 | 各問45秒 (準備時間 各45秒) | アナウンスや広告などの内容の、短い英文を音読する |
Describe a picture (写真描写問題) | 2 | 各問30秒 (準備時間 各45秒) | 写真を見て内容を説明する |
Respond to questions (応答問題) | 3 | 15秒または30秒 (準備時間 0秒 ※各質問とビープ音の間に3秒) | 身近な問題についてのインタビューに答えるなどの設定で、設問に答える または、 電話での会話で、設問に答える |
Respond to questions using information provided (提示された情報に基づく応答問題) | 3 | 15秒または30秒 (準備時間 45秒 ※各質問とビープ音の間に3秒) | 提示された資料や文書(スケジュール等)に基づいて、設問に答える |
Express an opinion (意見を述べる問題) | 1 | 60秒 (準備時間 45秒) | あるテーマについて、自分の意見とその理由を述べる |
出題傾向
TOEICのスピーキングテストで出題されるテーマは、L&Rと同様、日常生活や仕事の場面における実践的なものです。
ビジネス関連であっても専門性が求められることはなく、表を見ながらセミナーのスケジュールを答えるなど、一般的な会話が想定されています。
音読問題以外に決まった答えはありませんが、
- 発音
- イントネーション
- アクセント
- 文法、語彙
- 一貫性
- 内容の妥当性・完成度
などを基準に評価されます。
TOEICスピーキングテストで目指すべきスコアの目安
TOEICスピーキングテストは200点満点で、2022年度の平均スコアは130.3点でした。
したがって、スピーキング力をアピールするなら最低でも130点、できれば160点以上を目標にしましょう。
目標を決めるための参考として、各スコアを取ると具体的に何ができるのか紹介します。
130~150点でできること
平均〜平均より少し上にあたるスコアです。日常会話なら問題なく対応できますが、ビジネスで英語を使うにはやや不十分です。
たとえば「週末何をしていたか」などの雑談はできても、「地球温暖化を防ぐために何ができるか」など難しめの話題になると、語彙の不足や文法のミスによって正確に意見をまとめられないことがあります。
160~180点でできること
160点以上はビジネスで英語を使えるレベルです。
たまに間違えることや言いよどむことはあっても、基本的に正確な意思伝達ができます。
英語の会議に出席しても問題ないでしょう。
180〜200点でできること
180点を超えると、英語がスラスラ話せる状態になります。
難しい語彙や複雑な文法を使いこなし、英語での交渉も可能です。
このレベルに達するには英語の知識が必要なので、L&Rでも900点台が取れる実力があると考えられます。
TOEICスピーキングテストの対策|短期間でスコアを伸ばす攻略法
L&Rよりも自由度が高いとはいえ、スピーキングテストも問題の形式や傾向が決まっているため、正しく対策すれば誰でもスコアを伸ばすことができます。
最短でスコアアップを狙うなら、次の3つを実践してみてください。
問題演習で形式に慣れる
何より重要なのは、TOEICスピーキングテストの形式に慣れることです。
少なくとも、公式サイトで公開されているサンプル問題はひととおり解いておいてください。
さらに問題集を繰り返し解き、模範解答を確認しておけば、「こういう問題ではこういうふうに答えれば良い」という感覚がつかめてきます。
また、各問に設定されている準備時間と解答時間を体感しておくことも重要です。
実際に問題を解いてみると、準備時間は短く、解答時間は長く感じると思います。
言いたいことをパッとまとめ、できるだけ長く話せるよう、トレーニングを積んでおきましょう。
毎日音読をする
初心者でも高得点を狙いやすいのは、最初の音読問題です。
初見のテキストをスラスラ読めるよう、日頃から音読を習慣にすることをオススメします。
音読を上達させるためには、お手本となる音源を用意し、ひたすら真似をするのがポイントです。
個々の発音だけでなく、文全体のアクセントやイントネーションにも注意しましょう。
できればオンラインレッスンなどを活用し、自分の発音のフィードバックをもらうと、上達が早くなります。
聞いてもらえる人がいない場合、スマホなどで音読を録音し、自分の英語を客観的に聞くと、発音の改善につながります。
使い回せる型とフレーズを覚える
音読問題以外は自由回答ですが、試験中にゼロから英作文をするのは大変です。
特に最後の「意見を述べる問題」は、1分間自分の意見を話し続けなければなりません。
公式サイトのサンプル問題は「賃金は低いが休暇が多い仕事についてどう思うか」というテーマでした。
準備時間45秒で、自分の立場(良いと思うか悪いと思うか)を決め、理由を考え、英語で整理する必要があります。
本番中の時間を節約するために、あらかじめ使い回せる型とフレーズを暗記しておきましょう。
具体例を挙げてみます。
まず、次のように全体の型をつくっておきます。
理由:I think so because you can… 「そう思うのは、…できるからです」
結論:That’s why I agree that… 「だから…に賛成です」
それぞれの「…」の部分には、問題文で使われている語句を入れたり、事前に覚えておいたフレーズを当てはめればOKです。
また、「live a better ilfe(より良い生活を送る)」や「is meaningful for society(社会的意義がある)」など、幅広いテーマで使える語句をいくつか用意しておくと便利です。
TOEICスピーキング対策におすすめの教材
TOEICは独特な試験なので、自己流の学習はおすすめしません。
スピーキングテスト対策に役立つ教材を3つ紹介します。
『公式TOEIC® Speaking & Writing ワークブック』
公式問題集を使えば、最も本番に近いクオリティの問題にトライできます。
さらに、最高点を取れる解答例や解答のポイントなど、スコアアップに直結する情報が満載です。
実践テストも2回分収録されているので、本番のつもりで取り組んでみましょう。
なお、「問題をガンガン解くよりも採点基準などについて詳しく知りたい」という方には『公式TOEIC® Speaking & Writing ガイドブック』が参考になります。
⇨公式TOEIC® Speaking & Writing ワークブック
『英語を話す力が飛躍的にアップする新メソッド 10秒スピーキング』
あるテーマについての意見を10秒話すことで、実践的なスピーキング力を養える書籍です。
アニメから政治まで幅広いテーマの短文を読みながら、「英語ではどういった発想で意見を練ったらいいのか」を学ぶことができます。
時代に沿ったテーマが多いので、スピーキングテストで役立つだけでなく、普段の会話で使える知識も増えるのが嬉しいところ。
さらに発音のポイントも解説されており、音声データを聞きながら音読すれば、正しい発音も身につけられますよ。
⇨『英語を話す力が飛躍的にアップする新メソッド 10秒スピーキング』
ネイティブキャンプ「AIスピーキングテスト対策」
オンライン英会話ネイティブキャンプのオリジナル教材で、私も気に入って利用しています。
TOEIC対策という説明はありませんが、音読問題、イラストを描写する問題、意見を言う問題など、TOEICスピーキングテストに似た問題を練習できます。
スピーキングは自分の実力を測りにくいですが、アプリを使えばAIが音声を自動判定してくれ、どの単語の発音が間違っているかなどがわかります。
オンラインレッスンで講師と一緒に練習することもできるので、短期間でスコアを上げたい人は利用を検討してみてください。
よくある質問
最後によくある質問をまとめました。
「TOEIC S&Wは意味ない」と聞きますが、どうなのでしょうか?
多くの人が「TOEIC=L&R」と認識しており、スピーキングテスト(もしくはS&W)の知名度はまだ高いとは言えません。
そのため、「TOEICスピーキングテスト180点です!」と伝えても、どの程度すごいのか理解できない採用担当者もいます。
履歴書で英語力をアピールしたい場合は、まずL&Rで高得点を取り、その後プラスアルファとしてスピーキングテストを受験するのがオススメです。
ただし、実践的な英会話では、むしろスピーキングテストの内容のほうが役立つかもしれません。
あくまで「就職・転職などで活用することを考えると、L&Rより優先度が低い」ということです。
TOEIC S&W 300点はどのくらいのレベルですか?
S&Wは400満点で、2022年の平均点はスピーキング130.3点、ライティング144.4点で、合計274.7点。
つまり300点は平均よりやや上のスコアで、日常的なコミュニケーションには不自由しませんが、ビジネスにはもう一歩といったレベルです。
ビジネスレベルはスピーキング160点以上、ライティング170点以上が目安となるので、合計330点以上を目指しましょう。
まとめ
グローバル化が進むこれからの時代、英語を話す能力はますます重要になってくると考えられます。
TOEICスピーキングテストに向けて対策をすることで、実践的な会話力も伸ばすことができるため、「英語ができるようになりたい!」と考えている人は受験してみてはいかがでしょうか。
この記事で紹介した攻略法を実践すれば、忙しい社会人でも効率的にスコアアップできるので、積極的にチャレンジしてみてくださいね。