ホフステードの6次元モデルでわかる|日本のビジネス文化の特徴をアメリカと比較

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アメリカと日本の間には、さまざまな文化的な違いがあるのは、ご存知かと思います。

 

では、

  • 具体的にどのような違いがあるのか?
  • アメリカ人とビジネスをするとき、どんなことに気を付ければよいか?

わかりますか。

 

私がビジネス英語コーチとしてサポートする中、「アメリカ人はポジティブなんですよね? 他にどんな違いがあるのですか」と言う方に多く出会いました。

 

この記事では、「ホフステードの文化の6次元モデル」「ハイコンテクスト・ローコンテクスト文化」の指標を使ってアメリカと日本文化を比較します。

その上で、アメリカ人とビジネスをする上で知っておくべきことをまとめました。

 

アメリカ人とビジネスをしたり、コミュニケーションをする方は参考にしてみて下さい。

 

アメリカ文化と日本文化を比較する方法

文化を比べるときに、「指標(数字)」を使うと便利です。なぜなら、文化という形のないものを数字で比べられるようになるからです。

数字で比べると、アメリカと日本文化の違いが明確にわかるようになります。

 

具体的には、以下の指標を紹介します。

  1. ホフステードの文化の6次元モデル
  2. ハイコンテクスト・ローコンテクスト

 

ホフステードの6次元モデルとは?

まず、オランダの学者ヘールト・ホフステードが提唱した文化の6次元モデルについて説明します。

ホフステードは1960~70年代に1、1万6千人のIBM社員を対象に72か国20言語で調査を行い、国別の特徴を指標化しました。

やや古い研究ですが、現在でも有効です。

 

実際、私が受講したMBAの「異文化コミュニケーション」のクラスでもヘールト・ホフステードの調査結果が紹介されていました。

 

ヘールト・ホフステード博士は以下6つの指標で国の文化を評価しています。

 

ホフステードの6次元モデル
  1. 上下関係の強さ(権力格差)
  2. 個人主義傾向の強さと、集団主義傾向の強さ
  3. 不確実性回避の強さ
  4. 「男性性(男らしさ)」の強さ
  5. 長期主義的傾向の強さと、短期主義的傾向の強さ
  6. 人生の楽しみ方:快楽的か抑圧的か

    以下で、それぞれの指標について解説します。

    上下関係の強さ(権力格差)

    権力格差とは、「国の制度や組織において、権力の弱い人が不平等な状態をどれだけ受け入れるか?」を表します。

     

    たとえば、権力格差の大きな文化ではピラミッド型組織、中央集権型の組織が好まれます。

    また、上司や年長者の言うことを聞き、敬意を表します。

    代表的な国は、東南アジア諸国、中国、インド、ロシア、フランス、中南米諸国などです。

     

    一方で権力格差が小さい文化では、権限移譲が進んだフラットな組織が好まれます。

    上司の役割は“コーチ”のような存在です。

    代表的な国は北欧諸国、イギリス、アメリカ、ドイツなどです。

     

    個人主義傾向の強さと、集団主義傾向の強さ

    個人主義とは、個人の利益が所属する集団や国の利害よりも優先される社会です。

    代表的なのはアメリカ、オーストラリア、イギリスなどアングロサクソン系の国です。

     

    一方、集団主義とは、集団や国の意見、ニーズが優先される社会を指します。

    中国、東南アジア、中東、中南米の国が当てはまります。

     

    「男性性(男らしさ)」の強さ

    男性性が強い社会では、社会的に成功する人が賞賛されます。

    目標を定め、邁進することが評価されます。「道を極める」こともほめたたえられます。

    パワハラ、セクハラの問題が起きるのも男性性が強い社会の特徴です。

    日本は世界でも突出して男性性が強く(95点/100点)、アメリカ(65点)、ドイツ(66点)など欧米を圧倒的に上回っています。

     

    一方、女性性が強い社会は弱者に対して寛容な文化です。

    成功は努力だけでなく運も影響するため、成功に執着するより大切な人と過ごす、社会として弱者を救済すべきとの価値観が共有されています。

    北欧諸国、タイ、韓国、ベトナムなどが代表例です。

     

    不確実性回避の強さ

    不確実性の回避度が高い文化では、不確実性を取り除くためにルール、規則を設けるのがよしとされます。

    また失敗しないためにリスクを回避したり、正解を求めたりします。

    代表例は中東諸国、ロシア、ドイツ、韓国、台湾、日本などです。

     

    一方、不確実性の回避度が低い文化では、規則はなるべく少ないことが好まれます。

    成功するためにリスクを取り、新しい手法が奨励されます。

    代表例はデンマーク、中国、イギリス、アメリカなどです。

     

    長期主義傾向の強さと、短期主義傾向の強さ

    長期志向の文化では、将来の成功のために教育に投資し学ぶことに余念がありません。たとえ時間がかかっても粘り強く努力します。

    また、長期視点でものごとを考えるため、何が正しく何が悪いかは状況によって異なるとの捉え方をします。

    長期志向が高い国の代表例は韓国、台湾、日本、中国、ドイツなどです。

     

    一方で短期志向の文化では、努力はすぐに結果に結びつくべきだと考えられています。

    短期的な利益を求めるため、四半期決算を重視しがちになります。また、絶対的な正しさを求めます。

    短期志向の国の代表例は中東諸国、アフリカ諸国、アメリカ、ニュージーランド、デンマークなどです。

     

    人生の楽しみ方|快楽的か抑圧的か

    最後の指標は人生の楽しみ方で、一言でいえばポジティブな社会か? ネガティブな社会か? です。

    快楽的な文化の国の代表例はメキシコ、コロンビア、スウェーデン、イギリス、アメリカなどです。

    抑圧的な国の代表例はエジプト、ロシア、東欧、中国、インドなどです。

     

    ここまでホフステードの6次元モデルについて解説してきました。

    次に「ハイコンテクスト・ローコンテクスト文化」について説明します。

     

    ハイコンテクスト、ローコンテクストとは?

    アメリカの文化人類学者エドワード・T・ホールが提唱した文化の指標で、コミュニケーションのスタイルの違いを表します。

     

    コンテクストとは文脈や背景のことです。

    具体的には、話されている言葉や書かれている文字そのものには含まれない、ボディランゲージや声のトーン、話し手の地位や立場も含まれます。

     

    ハイコンテクスト文化|空気を読む文化

    言い換えると、ハイコンテクストは「空気を読む」文化です。

    言葉で語られなくても、「阿吽(あうん)の呼吸」で意味を理解します。

     

    日本は、世界でも特にハイコンテクストな文化と言われています。

     

    ビジネスの場面でも、すべてを話さずに「察してくれ」という態度でいたり、聞き手に対して「一を聞いて十を知る」ことを求めたりします。

     

    たとえば、京都人のコミュニケーションスタイルを表す以下の小話があります。

    京都の家庭にお邪魔したとき。しばらく話をした後で、「ぶぶ漬け(お茶漬け)はいかがですか?」と聞かることがあります。

    間違っても、「はい、お願いします。」と答えてはいけません。

     

    なぜなら、「ぶぶ漬けはいかがどすか?」は、「そろそろ帰ってくれ」という意味だからです。

    このことを知らずに、「はい、お願いします。」と答えると、「作法が分かっていない、空気の読めない人」とのレッテルを貼られ、二度と招いてくれなくなります。

     

    究極のハイコンテクスト文化と言えるでしょう。

     

    ローコンテクスト文化|言葉にしないと伝わらない

    反対に、ローコンテクスト文化では、きちんと言語化しないと伝わりません。

    空気を読む度合いが極端に低い。

    アメリカ、ドイツなどアングロサクソン系の国はローコンテクスト文化です。

     

     

    アメリカ文化の特徴といえば? 日本文化との違い

    ホフステードの6次元モデル

    まず、ホフステードの6次元モデルでアメリカ文化と日本文化を比較します。

    6つの指標をレーダーチャートに表したのが、上の図です。

     

    以下で、アメリカと日本文化の特徴的な違いについて解説します。

    アメリカは個人のニーズを重視、日本は組織の論理を重視

    権力格差と個人主義傾向

    アメリカは権力格差が小さく個人主義傾向です。

    つまり、フラットな組織で個人のニーズが重要視されます。

     

    反対に、日本は権力格差が大きく集団主義。

    言い換えると、上下関係がはっきりしていて、個人よりも組織の論理が優先されます。

     

     

    この文化ギャップを体感した経験を紹介します。

    アメリカ企業とミーティングをした後、相手からプレゼン資料を提出してほしいとリクエストを受けたことがあります。

     

    日本企業では、社外に機密情報を出す際には上司の許可が必要です。

    上司の許可が得られなかったり、出張中でつかまらなかったりすると、1週間や2週間たってしまうことがあります。

     

    相手から毎日のように催促がきます。

    「社内の承認に時間がかかっている」と説明するのですが、なかなか理解してもらえません。

     

    これは、アメリカと比べて日本は権力格差大きく、集団主義傾向が強いことが原因です。

     

    日本文化では、個人の意志よりも組織のルールが重視されるため、ルールに従った承認プロセスを経る必要があります。また、権力格差が大きいので、基本的に上司の都合が優先されます。

     

    反対にアメリカ文化は、権力格差が小さく個人主義傾向なので、この価値観が理解できません。

     

    そのため、「たかがプレゼン資料に、なぜこんなに時間がかかるのだ!」とイライラされてしまうのです。

    このような事態を避けるため、事前に日本とアメリカの文化ギャップを理解し、相手にも説明しておくことをオススメします。

     

    アメリカは人生の楽しみ方が快楽的、日本は抑圧的

    人生の楽しみ方

    アメリカは人生の楽しみ方が快楽的、日本は抑圧的です。このギャップを感じたエピソードを紹介します。

     

    スケジュール的にタイトなプロジェクトを、アメリカ企業と進めていたとき。

    ビジネスパートナーと電話会議で「ゴールに向けて一緒に頑張ろう!」と意気投合しました。

     

    その後、メールで問い合わせをしたのですが、返ってきたメールに驚きました。

    「私はこれから2週間バケーションだから、連絡は●●さんにして下さい」

    クリスマスでも夏休みの時期でもなかったので、このようなプロジェクトが佳境の時期に2週間もバケーションをとるのか、と唖然としました。

     

    相手は、単に休暇を取得しただけだったのでしょうが、私としては「このような時期にバケーションをとるべきではない」と感じたのでした。

     

    このギャップは「人生の楽しみ方」の指標の差に表れています。

    アメリカ人の方が快楽的で、日本人は抑圧的です。

     

    そのため、アメリカ人はたとえプロジェクトが佳境でもしっかりとバケーションをとるのが当然と感じるのでしょう。

    実際、引継ぎはしっかりなされており、実質的に問題は生じませんでした。

    アメリカ人とビジネスをすると、仕事はきっちりとこなす一方で、休暇もしっかりとることがわかります。

     

    アメリカは短期志向、日本は長期志向

    日本には、「すぐに結果が出なくても努力をするべき」という文化があります。

    しかしアメリカでは事情が異なり、「すぐに結果に繋がる努力を優先すべき」との文化があります。

     

    私はエンジニアとして、日本のメーカー、アメリカのメーカーと協働開発した経験があります。

     

    日本のメーカーの多くは、「すぐに結果が出なくても、将来の新商品につながる可能性があるなら、検討を続けよう」と考えます。

    一方、アメリカのメーカーは、「この協働開発は、来年の新製品に繋がるのか?」という見方をされ、面食らったこと経験があります。

     

    もちろん企業や部門により考え方は違いますが、短期志向・長期志向の違いもビジネスの取り組み方に影響があります。

     

    アメリカはローコンテクスト、日本はハイコンテクスト

    ハイコンテクスト、ローコンテクスト

    アメリカはローコンテクスト文化の代表、日本はハイコンテクスト文化の代表です。

     

    日本では、ハッキリと口に出して主張するのは、「はしたない」と捉えられます。

    そのため明確な言葉にはせずに、「空気を読んで」「察する」ことでコミュニケーションを取ろうとします。

    まさにハイコンテクスト文化の特徴です。

     

    反対に、アメリカ人は「言葉にしないと伝わらない」コミュニケーションスタイルです。

    言いたいことは主張しますし、嫌なときに”No!”と言わないと伝わりません。

     

    以前、私が仕事でアメリカ人とのコミュニケーションギャップを感じた事例を紹介します。

    会議でディスカッションをしていた相手のアメリカ人エンジニアから、「この技術を、あなた達に検討してもらえないか?」と言われました。

     

    この話を聞いて、私はこう思いました。

     

    「これは、あまりスジが良い技術ではないな。検討してもうまくいかない可能性が高い。ただ、面と向かって断るのは悪いから、お茶を濁しつつ断ろう。」

     

    そこで、以下のように返答しました。

    「興味深い提案ありがとうございます。ただ、いまは他の案件で手一杯で検討できません。そのうち検討します。」

     

    すると、アメリカ人エンジニアは次のように言いました。

    「それは素晴らしい! 興味を持ってくれてうれしいよ。で、いつから検討できる?」

     

    私としては、「興味がないオーラを出してるのだから察して!」と思っていました。

    しかし、相手はローコンテクスト文化のアメリカ人。文字通りに受け取り、かえって対応が大変になってしまいました。

     

    アメリカ人、アメリカ企業とビジネスをする上で気を付けるべきこと

    このように、アメリカ文化と日本文化には大きな違いがあります。

    実際にアメリカ人やアメリカ企業とビジネスをする上で、どのような点に気を付けたらよいのでしょうか。以下で解説します。

    言葉にしないと伝わらない

    先ほど説明したように、アメリカはローコンテクスト文化の代表です。そのため、ハッキリと言葉にしないと考えが伝わりません。

    特に”Yes”, “No”のスタンスをはっきり伝えた方が、後々トラブルになりにくいです。

     

    日本人にとって”No”と言うのは勇気がいりますが、あいまいな対応をすると、かえって面倒な事態になってしまいます。

    アメリカ人と仕事をする場合は、考えをキチンと言葉にすることを心がけましょう。

     

    ポジティブな表現を使う

    アメリカ人は、日本人とくらべてポジティブな表現を使います。

    特に”can’t (できない)”の多用は避けた方がよいでしょう。なぜなら、相手からやる気がないと勘違いされてしまうからです。

    その代わりに、「〇〇をすればできる」「△△の条件ならできる」などの表現を使うことをオススメします。

     

    最初に文化的な違いを説明しておく

    アメリカ人と仕事をするとき、最初に文化的な違いを説明しておくのも有効です。

    なぜなら、お互いに文化的な違いを知っていれば、コミュニケーションにギャップが生じたときに相手のことを理解しやすくなるからです。

     

    近年、IQ(知能指数)、EQ(心の知能指数)に続く第三の知能指数としてCQ(異文化理解力)が注目を集めています。異文化理解力の基本は、お互いの文化を知ること。

    ホフステードの6次元モデルや、ハイコンテクスト・ローコンテクスト文化を用いて、アメリカと日本の文化の違いを説明しておけば、文化の違いによる誤解を避けることができます。

    まとめ|アメリカ文化と日本文化の違いを知り、ビジネスに活かそう

    この記事では、ホフステードの6次元モデルと、ハイコンテクスト・ローコンテクストの指標を使って、アメリカ文化と日本文化の違いを解説してきました。

    これらの違いを頭に入れておくと、アメリカ人とビジネスをするときにコミュニケーションがスムーズになります。

    ぜひ、実践に活かしてみて下さいね。

     

    異文化理解力は21世紀の重要スキルと言われています。さらに「異文化理解」について知りたい方は、以下の記事を参考にしてみて下さい。

     

    ⇒ご参考:異文化理解の必要性 ~海外とコミュニケーションする人必見~

     

     

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