アメリカの祝日は少ない? 国と州で休日が別々の理由とは?

「PR」

アメリカ人と仕事をしていると、「日本は祝日が多すぎ!」と言われることがあります。

実際、アメリカ連邦が定める祝日は年に10日しかありません。日本の国民の祝日は年に16日なので、日本の方が祝日が多いです。

 

しかし、実はアメリカは州ごとに祝日が異なっています。

どういうことかというと、連邦が定める祝日であっても、休日ではないことがあります。反対に、州独自の祝日を設定していることもあります。

 

なぜ、国と州で祝日が異なるのでしょうか?

その理由は、アメリカ建国の歴史を振り返るとわかります。

 

アメリカの祝日

2種類の祝日|連邦政府が定める祝日と、州が定める祝日

アメリカには2種類の祝日があります。

合衆国の連邦政府が定める祝日(Federal Holiday)と、各州が定める祝日(State Holiday)です。

アメリカ連邦政府が定める祝日一覧|年間10日

英語名日本語名
1月1日New Years Day新年
1月第3月曜日Martin Luther King Jr. Dayキング牧師生誕日
2月第3月曜日President's Day大統領の日(ワシントン誕生日)
5月最終月曜日Memorial Day戦没者追悼記念日/メモリアル・デー
7月4日Independence Day 独立記念日/インディペンデンス・デー
9月第1月曜日Labor Day 勤労感謝の日/レイバー・デー
10月第2月曜日Columbus Dayコロンブス記念日
11月11日Veteran’s Day退役軍人の日
11月第4木曜日Thanks Giving Day感謝祭/サンクス・ギビング・デー
12月25日Christmas Dayクリスマス

以下で、簡単に祝日の中身を説明します。

 

New Years Day

新年を祝う日、元旦です。

日本とは異なり、2日から平常モードになります。

 

キング牧師生誕日

1960年代、公民権運動を通じ、黒人の人権確立のために大きな貢献をしたマーチン・ルーサー・キングJr.牧師をたたえる日です。”I have a dream.”のスピーチが有名です。

 

人権問題をはらむため、州によっては祝日として認められるまでに時間がかかりました。

1983年に連邦政府が定める祝日の法案が決議されました。最終的には2000年にユタ州が最後に導入し、ようやく全米の祝日となりました。

 

メモリアル・デー/戦没者記念日

戦争で亡くなった方をしのぶ日です。

最初は、南北戦争で戦死した北軍兵士を追悼するためにはじめられました。今では、あらゆる戦争や、軍事行動でなくなったアメリカ軍兵士を含むように拡大されています。

 

独立記念日/インディペンデンス・デー

1776年にアメリカ独立宣言が公布されたことを祝う日です。アメリカで7月4日(Fourth of July)といえば、独立記念日を指します。都市部では、花火や屋外コンサートなどが行われ、盛大に祝われます。

 

勤労感謝の日/レイバー・デー

いわゆる勤労感謝の日で、パレードを行うことで、労働者とその家族を祝う日です。

 

コロンブス記念日

1492年10月12日に、コロンブスがアメリカ大陸を「発見」し、到着したことを祝う日です。

州によっては、コロンブス記念日を祝日と認めていません。

 

退役軍人の日

第一次世界大戦を終結させた、休戦条約の締結の日です。ドイツと連合国は1918年11月11日に休戦協定を結びました。

最初は、休戦記念日として祝われ、次第に退役軍人の日として祝われるようになりました。

 

感謝祭/サンクスギビング・デー

イギリスから最初に入植したのは1620年のことでした。この年の冬は厳しく、入植者たちは多くの餓死者を出しました。このとき、ネイティブ・アメリカンが助けてくれたことに対し、次の年の秋に感謝の祭りを開いたのが由来です。

いまでは家族が集まって祝う日となっています。

 

サンクスギビング・デーの前日に、アメリカ大統領がホワイトハウスで、七面鳥に恩赦(おんしゃ)を与えるのが恒例行事となっています。この行事の由来を知りたい方は以下の記事を読んでみて下さい。

 

⇒ご参考:海外の英語ニュースサイトを使った勉強をオススメしない理由【七面鳥の恩赦!?】

 

クリスマス

アメリカはキリスト教国家なので、クリスマスを祝います。クリスマスは、連邦政府が定める祝日の中で、唯一宗教に基づく祝日です。

 

このように、アメリカ連邦政府が定める祝日は、年間10日です。日本の国民の祝日は16日ですので、アメリカの方が少ないです。

 

大統領の日とコロンブス記念日は、祝日にならない州もある

アメリカ連邦政府が定める祝日であっても、州によっては祝日にならないケースもあります。

コロンブス記念日

下の地図で色がついている州は、コロンブス記念日が祝日になる州です。一方、色がついていない州は、祝日にはなりません。

コロンブス記念日

 

コロンブスは、アメリカ大陸を「発見」した人ですが、ネイティブ・アメリカンにとっては侵略者です。州によっては、コロンブスをアメリカ大陸の「発見者」と認めることができないと考えています。

そのため、州によっては祝日とはならないケースがあります。

 

大統領記念日(ワシントンの日)

ワシントンの日も、州により祝日とならないケースがあります。

下の地図の白色の州は、ワシントンの日は祝日となりません。

大統領記念日

 

アメリカ各州の祝日(カリフォルニア州の例)

さらに、アメリカは各州が独自に祝日を設定します。これをState Holidayと呼びます。

たとえばカリフォルニア州の場合は、以下が祝日と決められています。

⇒カリフォルニア州の祝日

 

英語名日本語名
1月1日New Year’s Day新年
1月第3月曜日Martin Luther King Jr. Dayキング牧師記念日
2月第3月曜日President's Day大統領の日
3月31日Cesar Chavez Dayセジャールチャベスの日
5月最終月曜日Memorial Day戦没者追悼記念日/メモリアル・デー
7月4日Independence Day独立記念日/インディペンデンス・デー
9月第1月曜日Labor Day勤労感謝の日/レイバー・デー
11月11日Veterans Day退役軍人の日
11月第4木曜日Thanksgiving Day感謝祭/サンクス・ギビング・デー
11月第4金曜日Day after Thanksgiving感謝祭翌日/ブラック・フライデー
12月25日Christmas Dayクリスマス

 

コロンブス記念日と大統領記念日は、カリフォルニア州は祝日に定めていません。

 

以下の2日は、連邦政府の祝日にはありませんが、カリフォルニア州の祝日に定められています。

 

セザール・チャベスの日

セザール・チャベスは、メキシコ系アメリカ人の人権運動家で、農業従事者がよりよい環境で仕事をできるように尽力しました。カリフォルニア州では1995年から、セザール・チャベスの生誕日である3月31日を祝日に制定しています。

 

カリフォルニアを含め、10州で祝日となっています。

 

感謝祭の翌日(ブラックフライデー)

感謝祭翌日の金曜日もカリフォルニア州の祝日です。カリフォルニア含め、22の州が祝日に定めています。

この日はブラックフライデーとも呼ばれます。

 

感謝祭プレゼントの売れ残りの一掃セールが行われるため、街は買い物客であふれかえります。人が溢れて仕事が増えるため、フィラデルフィアの警察が「真っ黒な金曜日」と名付けたのが始まりと言われています。

その後、フィラデルフィアの新聞が「小売業者が儲かり黒字になる」という解釈を発表してから、ポジティブなイメージで使われるようになりました。

 

なぜ、アメリカには連邦政府の祝日と、州の祝日があるのか?

アメリカの州

そもそも、なぜアメリカには連邦政府が定める祝日と、州の祝日が別々なのでしょうか?

この疑問に答えるには、アメリカ建国の歴史を振り返る必要があります。

 

アメリカの「州」は国家、日本の「県」とは別物

日本では、都道府県の役所のことを「地方公共団体」と呼びます。しかし、アメリカでは州は「政府」です。

 

話はアメリカ建国にさかのぼります。

もともと、イギリスからの植民者たちがアメリカの東海岸に到着し、植民地を作り上げます。1770年代には13の植民地があり、これらの植民地は別々に発展します。

アメリカの13植民地

 

ところが、本国のイギリスから課される税金に反発し、対抗するために13の植民地が団結します。1774年に、緩やかな連合組織である「大陸会議」を発足させました。

そして1775年にイギリスからの独立を求めて独立戦争を始め、翌年1776年7月4日に、「独立宣言」を発表します。

 

独立当初のアメリカは、13の「国家」の連合体でした。これらの国家がひとつの独立国家になるのは1789年4月30日、ジョージ・ワシントンが初代大統領に就任してからのことでした。

合衆国憲法発効されたのは1788年のこと。ところが、合衆国憲法ができる前に、すでに13の国家にはそれぞれの憲法がありました。

連邦より州が優先される

合衆国憲法は、13の国家が持つ権限の一部を連邦政府に委任する形で成立しました。

 

実際、合衆国憲法第10条に以下のように書かれています。

本憲法によって合衆国に委任されず、また州に対して禁止されなかった権限は、それぞれの州または人民に留保される。

言い換えると、合衆国憲法に明記されているもの以外は各州の権限である、ということです。

つまり、「連邦より州が優先する」と憲法に書かれています。

 

もちろん、合衆国憲法は州の憲法に優先します。しかし、連邦の憲法に決められていないことは、州独自の判断に任されます。

国家があって州が生まれたのではなく、まず州という国家があり、その上に連邦国家が作られたことが原因です。

 

根底には連邦国家への警戒心がある

アメリカ国家の成り立ちは、州と連邦の関係に影響しています。

独立当時の13の「国家」指導者たちは、自分たちより上位の連邦政府が強い権限を持ち、自分たちの意思を無視して勝手なふるまいをすることを恐れました。

 

「連邦政府は勝手なことをするのではないか」という警戒心が、折に触れて州の人々から出てくるのです。

この雰囲気は、現代でも残っています。

 

祝日以外も連邦と州で異なる

アメリカでは州が優先されるため、祝日以外も連邦と州が独立しています。

法律も州と連邦で異なります。たとえば、死刑がある州とない州があります。

 

また、警察組織も州と連邦にわかれています。より正確には、連邦の警察と、州警察、郡警察、市警察などの地方の警察にわかれます。連邦警察はFBI(連邦捜査局)で、複数の州にまたがる事件などを操作します。

アメリカの映画やドラマでFBIと地元警察が対立し、FBIが悪者として描かれるケースが多くみられます。これは、アメリカ人の連邦組織に対する警戒心を表しています。

 

さらに、州によって教育制度も異なります。義務教育の年数や、小学校に入学する年齢も違います。

 

このように祝日だけでなく、アメリカは州ごとに別々の組織運営やルールが設けられています。

まとめ|祝日からアメリカの成り立ちを知ろう

この記事では、アメリカの祝日について解説をしました。アメリカでは国(連邦政府)が定める祝日でも、州により祝日と認めないケースがあったり、州が独自に祝日を制定していたりします。

 

これは、アメリカの州が独立した「国家」に近い存在だからです。もともと、独立していた国家をまとめ、連邦政府を作った歴史が影響しています。

 

このように、アメリカと日本は国の成り立ちが異なるため、ルールや文化が大きく違います。

他にも多くの違いがあり、知らないとビジネスなどでトラブルが起きたり、恥ずかしい思いをしたりしてしまいます。

 

日本とアメリカの文化の違いを、詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてみて下さい。

⇒ご参考:アメリカ文化の特徴といえば? ビジネスで知っておきたい日本文化との違い

カテゴリー
異文化理解の本質がわかる!無料メール講座

これからの時代、「異文化理解力」は「英語力」以上に重要になっていきます。

なぜなら、自動翻訳ツールなどテクノロジーの進化のおかげで外国人とコミュニケーションをする機会が増えるからです。

 

これまでは、言語が壁になっていましたが、今後は言語の壁がどんどん薄くなっていきます。

そのときに重要になるのが「異文化理解力」です。

 

なまじ外国人とコミュニケーションが取れてしまうので、異文化のギャップが浮き彫りになります。

 

 

異文化理解力が身に付いていないと、

  • 知らぬうちに相手に失礼なことをして、信頼を失ってしまう
  • 相手の対応にイライラしてしまう

    といったことになりかねません。

     

     海外で暮らしても異文化理解力は身につかない

    とはいえ、異文化理解力を身につけるのは簡単ではありません。

     

    • 海外で暮らす
    • 「異文化理解」に関する書籍や記事を読む
    • ビジネススクールで「異文化理解」の講義を受ける
    • 「アメリカ人は●●、日本人は▲▲」といった豆知識を調べる

    残念ながら、こういったやり方では異文化理解力の本質はわかりません。

     

     

    今回、『たった3通で異文化理解の本質がわかる無料メール講座』をお届けします。

     ぜひ、このメール講座で異文化理解の本質を学んでくださいね。

     

     

     

    「異文化理解力」が身に付く3通のメール講座
    メールアドレス 

     

    おすすめの記事