リスニング力を伸ばすためには、たくさん英語を聞く必要があります。
そこで迷うのが教材選び。
「なるべくお金をかけず、効率よくリスニング力をアップさせたい!」という人のために、この記事では、社会人におすすめのリスニング教材を4つ厳選して紹介します。
教材の選び方のポイントや、効果的な使い方も詳しく解説しているので、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
なぜ英語を聞き取れないのか?
そもそも、なぜ英語を聞き取れないのでしょうか?
まず原因を確認しておきましょう。
原因1. 基礎知識が足りない
初心者によくあるのは、単純な知識不足です。
「スクリプトや字幕を読んでも意味がわからない」という場合、単語・熟語や文法の知識が足りないと考えられます。
日本語でも同じですが、知らない単語を聞いても理解できません。
もちろん、上級者でも時々知らない単語に出くわすことはありますが、前後の単語を知っていれば、文脈から推測することができます。
知識が多ければ多いほどリスニングに有利になるので、基礎をしっかり固めておきましょう。
原因2. 英語の発音ルールを知らない
「リーディングはできるけど、リスニングは苦手」という人は、英語の発音ルールが身についていないのかもしれません。
英語では、get upが「ゲラッ」になるように、文章の中で前後の音がくっついたり落ちたりして発音が変化します。
なので1語1語の発音を覚えるだけでは聞き取れないのです。
とはいえ、主な発音ルールは以下の5つしかないので、覚えてしまえば難しくありません。
②同化:音が混ざる(例:did you「ディヂュー」)
③ら行化:tやdが「ら行」の音になる(例:Let it go「レリゴー」)
④脱落:発音されない(例:What’s up?「ワツ アッ」)
⑤弱形:弱く読まれる(例:from here「フ(ルム)ヒア」)
これらを意識しながら英語を聞いて、耳を慣らしていってください。
⇨ご参考:「英語の5つの音声変化」のルールと教材を徹底解説【著者インタビュー】
原因3. スピードが速すぎる
単語や文法の知識をつけて、発音ルールも理解した人が、最後にぶつかる壁は「スピード」です。
「ゆっくり繰り返してもらえば聞き取れる」という場合は、単に音声のスピードが速すぎると考えていいでしょう。
最初からネイティブが話すスピードの英語を聞いても、理解が追いつきません。
普段は日本語ばかり聞いているので、耳や脳が対応しきれないのです。
ゆっくりめのスピードで練習を始め、9割方聞き取れるようになったら、少しスピードを上げて挑戦してみてください。
根気強くトレーニングを積めば、自然とネイティブのスピードについてけるようになりますよ。
リスニング教材の選び方のポイント
リスニング教材を選ぶ時は、次のポイントを押さえておくと失敗しません。
目的に合った教材を選ぶ
あなたがリスニング力を伸ばしたいのは、何のためですか?
目的によって覚えるべき単語なども変わってくるので、目的を明確にしておかないと、遠回りな学習をしてしまう可能性があります。
- TOEICの点数を上げたいなら、TOEICのリスニング用教材。
- 英会話ができるようになりたいなら、会話表現に特化した教材。
当たり前に思えるかもしれませんが、意外と見落としてしまうことがあるので、目的に合わせて教材を選びましょう。
レベルに合った教材を選ぶ
初心者がいきなり上級者向けの教材を使うと、全く歯が立たずに挫折してしまいます。
逆に、簡単すぎる教材を使っても、リスニング力は伸びません。
自分のレベルに合った教材とは、今のレベルよりやや上の教材のことです。
具体的には、次の2つのポイントを意識して選んでください。
- 音声を半分程度聞き取れる
- スクリプトを見れば7割程度理解できる
音声だけで9割以上理解できるようになったら、次のレベルの教材にステップアップしましょう。
興味が持てる教材を選ぶ
リスニングに限った話ではありませんが、上達には「続けること」が必要です。
内容に興味が持てる教材を選ぶことで、リスニング学習を無理なく続けることができます。
英語圏の文化を扱った教材、映画やドラマのワンシーンを切り取った教材、時事ネタを取り入れた教材など、さまざまな教材があります。
せっかくなら「もっと知りたいな」と思えるものを選んで、学習を楽しみましょう。
おすすめのリスニング本と教材
数あるリスニング教材の中から、特におすすめできるものを4つ厳選しました。
順番にポイントを紹介します。
『英語耳 発音ができるとリスニングができる』
『英語耳』は、正しい英語の発音を身につけるための必読書です。
46種類の発音について、発音記号、図、テキストで詳しく解説されているので、今まで漠然と聞いていた「英語の音のしくみ」を理解できます。
まず図を見ながら全体を読み、そのあとスキマ時間にCDを繰り返し聞けば、1ヶ月程度で全種類の発音をマスターできるでしょう。
すると、呪文のように聞こえていた英語音声がクリアに聞き取れるようになり、リスニング力が格段に上がります。
『究極の英語リスニング Vol.1 1000語レベルで1万語』
アルクの『究極の英語リスニング』シリーズは、「語彙を増やしながらリスニングのレベルを上げていきたい」という初心者におすすめ。
1冊目は入門レベルの1,000語のみで構成されており、他の教材が難しくて挫折してしまった人でも、比較的取り組みやすくなっています。
ひとつのリスニングごとに重要な語句がまとまってるので、知らないものがあったらチェックしておきましょう。
本シリーズはVol.4の6,000語レベルまであります。
Vol.1から順番に進んでいくことで、達成感を味わいモチベーションをキープできますよ。
イングリッシュセントラル
「イングリッシュセントラル」は動画を使った英語学習サイトです。
オンライン英会話付きの有料プランもありますが、動画教材のみであれば無料で使えます。
1分程度の動画が2万本もあり、ビジネスからスポーツ、ゲームやゴシップまで、興味に合わせて動画を選べるのがポイント。
英語字幕のON/OFFやスピード調整、単語クイズなどもあり、機能面でもクオリティ面でもYouTubeより使い勝手が良いです。
レシピー
手軽に使えるアプリの中では「レシピー」がおすすめです。
英文ニュースはAIではなくネイティブスピーカーが読み上げているので、自然な音声を聞くことができますし、細かいスピード調整も可能です。
リスニングの音声再生には有料プランの契約が必要ですが、月額480円のEntryプランでも聴き放題。
私も実際に使ってみて、お金を払う価値は充分あると感じました。
音声なしでテキストを読むだけなら無料なので、どんな教材があるかのぞいてみてください。
リスニング教材の効果的な使い方
ここでは、教材を最大限に学習に活用する方法を解説します。
私が実践してきて、効果を感じた使い方を紹介するので、ぜひチェックしてみてくださいね。
ながら聞き
リスニング力を高めるために最も重要なのは、たくさん聞くこと。
とはいえ、社会人がまとまった時間を取るのは大変なので、「ながら聞き」をしましょう。
歩きながら、電車に乗りながら、家事をしながら、歯を磨きながら......など、とにかく常に英語を聞くようにします。
私は朝身支度をしている時や、就寝前ベッドにいる時間などにも、英語音声を流していました。
通勤中に英語のニュースを聞くと、情報収集にもなっておすすめです。
ディクテーション
ながら聞きは英語に慣れるために有効ですが、「英語に慣れすぎて聞き流してしまう」というデメリットもあります。
意味を考えずに聞き流してしまっては、雑音やBGMと変わらないので、トレーニングになりません。
このデメリットを補うために行ってほしいのが「ディクテーション」です。
ディクテーションでは、聞き取った英語を書き取らなければならないので、意識が音声に集中します。
書き取った英語をスクリプトや字幕と比べ、間違いを正していけば、英語を正確に聞き取れるようになります。
シャドーイング
リスニングに慣れてきたら、聞いた音声を追いかけるように発声する「シャドーイング」にも挑戦してみましょう。
自分で発音することで、英語のリズムやイントネーション、音声変化を身につけることができます。
私の場合、家でながら聞きをする時は、聞き流しを防ぐためにシャドーイングを行っていました。
負荷の高いトレーニングなので、慣れないうちは疲れますが、リスニング力は確実にアップします。
スピーキングにも効果があるので、「英会話がうまくなりたい」という人は、ぜひ取り入れてみてくださいね。
⇨シャドーイングの4つの効果と正しいやり方〜最強の英語トレーニングと言われる理由〜
よくある質問
最後に、リスニング教材についてよくある質問をまとめました。
初心者におすすめのリスニング教材を教えてください
英語学習の習慣ができていない場合は、まず海外ドラマや洋画を見るなどして、「英語ができるようになりたい!」「英語って楽しそう!」とモチベーションを上げていきましょう。
本格的にやる気が出てきたら、この記事で紹介した『英語耳』で正しい発音を学びつつ、『究極の英語リスニング』で語彙を増やしながらリスニングに取り組むのがおすすめです。
ネイティブ発音のリスニングが学べる教材はありますか?
TOEICでは5カ国(アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド)のネイティブスピーカーが読み上げを行っているので、公式のリスニング教材を使えば多様な英語に対応できるようになります。
教科書のような「整った英語」ではなく、ネイティブ同士の自然な会話を聞きたいのであれば、YouTubeを活用しましょう。
「Speak English With Vanessa」のようにネイティブ講師が英語を解説しているチャンネルもあれば、「Ask Japanese」のようにバラエティ番組風のチャンネルもあります。
ただしYouTubeの動画の中には、スラングが多いものや字幕が間違っているものも混じっているので、信用しすぎないように注意してください。
まとめ
リスニング教材はたくさんありますが、1〜2つ用意すれば充分です。
「リスニング教材の選び方のポイント」を参考に自分に合ったものを選び、繰り返し取り組みましょう。
英語が聞き取れるようになると、洋画や海外旅行などの趣味をより楽しめるようになりますし、ビジネスの場でも役立つのでキャリアアップにつながります。
最初は聞き取れなかった音声も、何度も聞いて慣れれば、クリアに聞き取れる日が必ず訪れるので、諦めずに頑張ってみてくださいね。