TOCクラウドを具体例で解説!対立解消図でジレンマ解決

世の中には、多くの対立やジレンマが存在しています。

  • 新製品を開発するか? 既存品を伸ばすのか?
  • 大企業がよいか? ベンチャー企業がよいか?
  • 目先の利益を追いかけるか? 長期的な視点でマネジメントするか?

などです。

 

しかし、これらは本当に対立しているのでしょうか?

 

一見対立する行動についてよく考えると、対立の原因は実は思い込みだったというケースはよくあります。そして、思い込みを排除して考えると両立が可能になります。

 

このような対立やジレンマを解消する思考ツールがTOCクラウドです。

TOCクラウドを使うことで、対立している2つの関係性を「見える化」でき、両立する解決策が浮かんできます。非常にパワフルで実践的なツールです。

 

この記事ではTOCクラウドの使い方を、具体例を交えて解説します。

TOCクラウドとは、対立を解消する思考法

最初にTOCクラウドとは何か? を解説します。

TOCクラウドとは?
  1. 「あちらを立てれば、こちらが立たず」を解消する思考ツール
  2. 対立にひそむ思い込みを見える化
  3. そもそもTOCクラウド?物理学者が開発したツール

 

「あちらを立てれば、こちらが立たず」を解消する思考ツール

先ほど説明したように、TOCクラウドとは対立を解消するための思考法です。

ビジネス、教育、家庭など様々な場面でジレンマが生じることがあります。

 

たとえば、

  • ビジネスであれば「海外に進出する・しない」
  • 家庭であれば「食事中にテレビを見る・見ない」

などです。

 

これらのジレンマを解消するための思考ツールがTOCクラウドです。

対立にひそむ思い込みを見える化

TOCクラウドのベースには、「一見、対立しているジレンマは、実は思い込みによるものである」との考え方があります。

 

たとえば、先ほど例に挙げた「海外に進出する・しない」を例に挙げて考えてみましょう。

海外に進出すべき、と考える理由

「海外に進出すべき」との意見の人は、以下のような考えをもっているはずです。

  • 国内市場は縮小傾向。
  • だから、ビジネスを伸ばすには海外に進出すべき。

 

海外に進出すべきでない、と考える理由

反対に「海外に進出すべきでない」と考える人は、以下のように思っているはずです。

  • 海外にビジネスを展開するのはリスクが大きい。
  • だから、海外進出せず国内市場に注力すべき。

 

思い込みが分かると、解決策が見えてくる

「海外進出する・しない」という次元では、折り合いはつきそうにありません。

 

しかし「なぜ、そう思うのか?」と、一歩踏み込んで考えると、解決策が見えてきます。

 

たとえば、以下のようなアイディアです。

対立を解消するアイディア
  • 縮小する国内市場の中でも、シェアを拡大する方法はないか?
  • リスクを抑えて海外に展開するには、どうしたらよいか?
  • 場所や地域を選んで、海外に進出する方法はないか?
  • 時間を区切って、海外進出のテストをする方法はないか?

     

    このような切り口で考えることで、ジレンマで身動きが取れなくなっている状態から解放され、解決策が見えてきます。

    このような思い込みを「見える化」して、解決アイディアを出すのがTOCクラウドです。

     

    そもそもTOCとは? 物理学者が開発したツール

    そもそもTOCクラウドとは何なのでしょうか?

    TOCは”Theory of Constraints(制約条件の理論)”の略で、イスラエルの物理学者エリヤフ・ゴールドラット博士が開発したビジネスのツールです。

     

    詳細は、「ザ・ゴール」に書かれていますが、TOCには企業の生産性を向上するための多くのツールが含まれています。

     

    その中の一つで、応用範囲が広いのが「クラウド(Cloud)」です。

    正確には”Evaporating cloud(蒸発する雲)“と呼びます。これから紹介するように、クラウドでは雲のようなテキストボックスを使い、対立を解消するアイディアを出していきます。

     

    そのため、対立した「雲」が「消えてなくなる」様子を表し”Evaporating cloud”と名付けられました。

    通常は略してクラウドと呼びます。

    TOCクラウドの書き方の具体例|3ステップで作成

    それでは、次にTOCクラウドの書き方と使い方を、具体例を用いて解説します。

     

    TOCクラウドの書き方
    1. TOCクラウド5つの要素
    2. ステップ1|対立するジレンマを書き出す
    3. ステップ2|対立にひそむ動機を探る
    4. ステップ3|共通の目的を考える

     

    TOCクラウド5つの要素

    TOCクラウド5つの要素

    TOCクラウドは以下5つの要素から成ります。

    TOCクラウド5つの要素
    • 対立する行動(D、D’)
    • 要望B(B’):なぜ、D(D’)が必要だと思うのか?
    • 共通目的A:本当はどうしたいのか?

     

    以下で具体例を使って詳細に解説します。

    ここでは、会社でよく議論が起こる「現状を変える・変えない」という対立を題材にします。

     

    あなたが「現状を変えたい」と思っていて、相手が「現状を変えたくない」と考えている場面を想像しながら読んでみてください。

    ステップ1|対立するジレンマをかき出す

     

    まず、対立しているジレンマを書き出します。

    「現状を変える」「変えない」が対立していますね。これらをDとD’の欄に埋めます。

     

    TOCクラウドでは、対立している事象を「行動」と呼びます。

     

    DとD’の区別はありませんが、ここでは「全体最適の問題解決入門」の著者である岸良裕司さんの書き方を採用しています。つまり、Dに相手の立場を書き、D’に自分の立場を書きます。これは、相手を尊重するというスタンスです。

    ステップ2|対立にひそむ動機を探る

     

    次に、DとD’に潜む仮定、思い込みを探ります。「なぜ?」と質問する形で考えると、思いつきやすくなります。

     

    Dの背後に潜む仮定

    相手はなぜ「変えない」のがよいと思っているのでしょうか?

    次のような理由があるかもしれません。

     

    • いままで何とかやってこれている
    • 変えるのはリスクが大きい
    • 過去に変えようとして痛い目にあった

     

    そうすると、「変えない」と考えている裏には、実は「安全を確保する」という要望がひそんでいるのではないか? と分かります。

     

    TOCクラウドでは、「行動」の裏にある目的や願望のことを「要望」呼びます。

     

    D'の背後に潜む仮定

    反対に、自分はなぜ「変える」のがよいと考えているのでしょうか?

     

    • 環境が変わっているから、自分達も変化し続けないといけない
    • 変化しない方が、リスクが高い

     

    などの仮定があるかもしれません。

     

    この場合、変えたいと思っている真の目的は「チャレンジする」ことかもしれません。

     

    このプロセスを踏むことで、一見対立している事柄の背景が具体化されます。

    ステップ3|共通の目的を考える

     

    多くの場合、一見対立していることでも共通の目的があります。

    先ほど洗い出した「要望」に対して、「なぜ?」を考えると共通目的を見つけやすくなります。

     

    今回の場合、「安全を確保したい」のはなぜか? と考えてみます。

     

    すると、

    • 安全の確保は、そもそも人としての本質的な欲求だから

    ということがわかります。マズローの5段階欲求の一つですね。

     

    次に、「チャレンジしたい」のはなぜか? を考えます。

    • チャレンジがうまくいけば、大きな成功と達成感が得られる
    • チャレンジそのものが、楽しい
    • 自己実現のために、チャレンジが必要

    などが考えられます。

     

    すると、共通目的は「(将来にわたり)幸せでいる」ということだと考えられます。

     

    TOCクラウドの完成形

    TOCクラウドの完成形

     

    これまでのステップで完成したTOCクラウドが上の図です。

    クラウドのミソは「変える」「変えない」という行動で対立が起きている状況でも、要望や共通目的では両立可能になる点です。

     

    ここまではTOCクラウドを使って、ジレンマを「見える化」する方法を解説してきました。次はTOCクラウドを使って、このジレンマを解消する方法について説明します。

    TOCクラウドを使った対立解消方法|具体例で解説

     

    TOCクラウドを使った対立解消法
    1. 4つの対立軸で考察する
    2. 対立①の解消案
    3. 対立②の解消案
    4. 対立③の解消案
    5. 対立④の解消案

       

      4つの対立軸で考察する

      4つの対立軸

       

      先ほど書いたクラウド図を見ると、4つの軸で対立が起きていることがわかります。それぞれの対立軸に対し、解消するアイディアを出していきます。

       

      このときのポイントは、それぞれの対立軸について考えるとき、「他の3つの対立軸については考えない」ことです。

      なぜなら、一つの対立軸に集中して考えた方が、よいアイディアが出やすいからです。

      そのため、以下では1つ1つの対立軸を取り出して考えを深めていきます。

       

      対立①の解消案

       

      最初に、相手の要望である「安全を確保する」と「変える」の対立軸について考えてみます。

      くり返しになりますが、このときは対立②~④については考えないことがポイントです。

       

      思い込みを見つける質問

      最初に、対立の背後にひそむ思い込みを見つける質問をしてみます。

      今回の例では次の質問です。

      「変える」と、なぜ「安全を確保できない」と感じるのか?

      改まって、このように聞かれると、「あれ? なんでだっけ?」と答えに詰まってしまいます。思い込みがあるからですね。

       

      対立を解消する質問

      次に、対立を解消する質問です。

      「変える」ことで、「安全を確保する」方法は本当にないのか?

      これらの質問を通じて、対立を解消するアイディアを出していきます。

      対立を解消するアイディア

      今回のケースでは、以下の解決の方向性が考えられます。

      • リスクを減らして、変える方法を考える
      • 変えないと、むしろ安全を確保できないことを示す

       

      対立②の解消案

      CとDの対立解消

       

      対立②の「チャレンジする」と「変えない」についても、同様に考えてみます。

       

      すると、次のような解決策が考えられます。

      • 変えなくてもチャレンジできる方法を考える
      • 過去のチャレンジ体験から学び、変えずに済ませる方法を考える

       

      対立③の解消案

      対立③については、「時と場合によって」、「条件によって」対立を解消できないかを探ります。

      思い込みを見つける質問

      思い込みを見つける質問は、次の通り。

      「変える」と「変えない」はどのような時に対立しますか?

      対立を解消する質問

      対立を解消する質問は以下のようになります。

      ある条件では「変える」、ある条件では「変えない」というルールで両立できませんか?

       

      対立を解消するアイディア

      これらを元にして、解決策を探ります。

      • 変えるべきものと、変えないものを明確にする
      • 変えるべきものと、変えないものをリストアップする。
      • どういう時に変えるか、どんな時に変えないかを明確にする

      などの方向性が考えられます。

      対立④の解消案

       

      最後に対立④の解消を考えます。

      実は、この対立④の解消法から、TOCクラウドで最もパワフルな解決策が出てくることが多いです。なぜなら、表面的な対立から一歩踏み込んだ「要望」レベルで対立を解消できるからです。そのため、より本質的な解決策が出てくることが多いのです。

      思い込みを見つける質問

      「安全を確保」することと、「チャレンジ」することが両立できないと思っているのはなぜですか?

      対立を解消する質問

      「安全を確保」することと、「チャレンジ」することを両立する方法は本当にありませんか?

       

      解決策

      • 安全を確保した上で、大きなチャレンジができる方法を考える
      • 安定の確保に必要なことをリストアップし、それを満たしながらチャレンジすることを検討する。

      このように考えると、「変える」「変えない」の次元ではなく、より深い欲求のレベルで両立を図ることができます。

      TOCクラウドを使った、対立解消アイディア

      TOCクラウドのまとめ

      これまでの検討内容を一つの絵にまとめました。

      改めて眺めると、対立を解消する様々な解決策があることがわかります。

      多くの対立の背後には、思い込みが潜んでいます。これらの思い込みを、一つ一つ丁寧に解きほぐしていくと、思いもよらぬよい解決策が見つかることがあります。

      まとめ|TOCクラウドを使いこなして、ジレンマを解消しよう

      日々、暮らしていると「あちらを立てれば、こちらが立たない」というジレンマに陥ることがあると思います。

       

      そんなときは、この記事で紹介したTOCクラウドを活用してみてください。

      きっと、最初は見つからなかったよいアイディアが出てくるはずです。

       

      非常にパワフルなツールなので、仕事や家庭などで使ってみてくださいね。

       

      TOCクラウドを使いこなすと、自然と「メタ認知力」が身につきます。21世紀の重要スキルですので、ぜひ身につけておきたいです。メタ認知については、以下の記事に詳しく解説したので参考にしてみてください。

      参考文献

      TOCクラウドについて、さらに詳しく知りたい方のために、参考文献を載せておきます。

       

      最初の二冊は、日本にTOCを伝え、多くの企業にコンサルティングをしている岸良裕司氏の著書です。

      非常に読みやすく分かりやすいです。


      全体最適の問題解決入門


      考える力をつける3つの道具

       

      以下の2冊は、TOCの生みの親であるエリヤフ・ゴールドラット博士の著書です。


      ザ・ゴール


      ザ・チョイス―複雑さに惑わされるな!

      カテゴリー
      ビジネスで成果を出せる英語力とは?

      あなたは、こんな悩みを抱えていませんか?

      TOEICの勉強をしたり、英会話スクールに通ったりしても、一向に英語で仕事ができるようにならない。

       

      あなたも薄々気づいているのではないでしょうか。いくら英語ができても、仕事で成果を出したり収入をあげたりできない真実に。

       

      いくらTOEICでハイスコアを取ったり英語が流暢になっても、”ビジネスで成果を出せる”英語力を身につけなければ、あなたの仕事での評価は下がってしまいますし、収入も上がりません

      反対にTOEICの点数が低かったり、英語が流暢でなくても”ビジネスで結果を出せる”英語力があれば、あなたの評価は高りますし、収入も上がります。

       

      もし、あなたが”ビジネスで結果を出せる”英語力を身につけたいと少しでも思うのであれば、「実践で使える英語」に絞って学習するのが近道です。この方法で学ぶと以下のようなメリットが得られます。

      メリット
      • 無駄な学習をしないので、最短で”ビジネスで結果を出せる”英語力が身につく。
      • 仕事相手の外国人の考えがわかり、コミュニケーションがスムーズになってストレスが減る。
      • 英語力アップが仕事の成果につながる。

         

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