第二言語習得の「自然習得順序仮説」|英文法が身につく順番

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  • 英語をやり直したいが、どんな順番で英語学習を進めればよいかわからない。
  • どうしても冠詞を覚えられなくて困っている。

 

 

 

こんな疑問を持つ人に役立つのが、第二言語習得論の「自然習得順序仮説」です。

特に文法に関し、どのような順番で英語習得が進むのか、研究で明らかになっています。

 

「自然習得順序仮説」は、母語によらず普遍的な習得順序があるとの主張です。現在では、さらなる研究により仮説がアップデートされています。つまり、習得順序は母語の影響を受けることがわかっています。

また、日本人母語話者を対象とした研究結果もあるので、どのような順で英語習得が進むのかを知ることができます。

 

第二言語習得の自然習得順序仮説とは?

最初に、自然習得順序仮説の概要を解説します。

  1. 英文法を習得する順序がある
  2. スティーブン・クラッシェンが1970年代にとなえた仮説

 

 

英文法を習得する順序がある

習得順序仮説とは、第二言語を習得するのに、決まった順序があると主張する理論です。

要は「どんな教え方をしても、難しいものは難しいし、易しいものは易しい」ということです。

 

たとえば、be動詞は覚えやすく、不規則動詞の過去形は覚えづらい、などです。

学校教育で習う文法の順番や、多くの教材は、この習得順序仮説を参考に作られています。

 

スティーブン・クラッシェンが1970年代にとなえた仮説

「自然習得順序仮説」は南カリフォルニア大学のスティーブン・クラッシェンが1970年代にとなえた仮説です。

クラッシェンは、人が第二言語を習得する「自然な順序」があり、すべての学習者が指導方法によらず、同じルートをたどって第二言語を身につけると主張しました。かなり大胆な主張ですね。

 

この理論は、主に英語の文法項目の習得順序を調べた研究がもとになっています。たとえば、冠詞、複数形、過去形を身につける順番です。

 

クラッシェンによれば、進行形や複数形を最初に習得し、規則動詞の過去形や、三人称単数現在(いわゆる三単現)の-sは最後に習得すると言われています。下の図が、クラッシェンが提案した習得順序です。これを普遍的な習得順序の一部だとして、「自然な順序」と主張しました。

 

自然習得順序仮説に対する批判

しかし、自然習得順序仮説には多くの批判があります。なぜなら、習得順序に対する母語の影響が無視されているからです。

 

  1. 日本人には当てはまらない
  2. 習得順序は母語の影響を受ける
  3. 習得順序がわかっても、教え方に結び付けづらい

 

日本人には当てはまらない

私たち日本人がクラッシェンの「自然習得順序」の図を見ると、違和感を覚えます。

 

たとえば、多くの日本人は「所有格の’s」を早くに覚え、その後に「複数形の-s」を身につけます。

なぜなら、所有格の’sは日本語直訳でよいからです。

たとえば太郎のペン=Taro’s penという感じです。一方、日本語には複数形がないため、複数の-sを身につけるのは簡単ではありません。

 

また、冠詞も日本人にとって難しい項目です。

すべての名詞について”a”を使うのか、”the”を使うのか判断しなければなりません。さらに、「数えられる名詞」か「数えられない名詞」かの違いで冠詞が変わってきます。この「数えられる名詞」「数えられない名詞」の概念も日本語にありません。ですので、冠詞は日本人にとって難しいのです。

 

つまり、日本人にとっては、クラッシェンの自然習得順序仮説は成り立たないと想像できます。

 

習得順序は母語の影響を受ける

実際、これまでの研究から「自然習得順序仮説」は否定されています。

下の表は、英語ネイティブ、スペイン語話者、日本語話者により、英文法の習得順序が異なる様子を表しています。母語により、習得順序が違っています。つまり、普遍的な習得順序は存在せず、母語の影響を受けるということです。

 

 

このように、第二言語を習得するときに母語の受ける現象は、「言語転移」と呼ばれています。私たちは文法だけでなく、単語、音声、文化など多くの影響を母語から受けています。

言語転移については、以下の記事で詳しく解説したので、参考にしてみてください。

 

→第二言語習得における言語転移とは?日本人が”l”と”r”を聞き取れない理由

 

習得順序がわかっても教え方に結び付けづらい

もう一つの問題点は、習得順序がわかっても、教え方と結び付けづらいということです。

 

どういうことかというと、

  • 習得しやすい易しい文法を初期に教えて、習得しづらい難しい文法を学習後期に教えるのがよいのか
  • 難しいからこそ、習得しづらい文法を学習初期に教えた方がよいのか

について、まだ明確になっていません。

 

また、「冠詞」が日本人にとって難しいからといって、ずっと冠詞を教えずに英語学習を進めるのは現実的ではありません。

さまざまな工夫はあるものの、現時点では習得順序仮説を英語教授法に完全に落とし込めているわけではないようです。

 

日本人英語学習者に、習得順序仮説は役立つのか?

それでは、日本人の英語学習者にとって、習得順序仮説はどのような意味があるのでしょうか?

それは「完璧主義」のメンタルブロックを外せることです。

 

なぜなら、「日本人は冠詞が苦手」と知ることで、「自分だけではないんだ」と知ることができるからです。

多くの日本人が英語学習で悩む要因の一つに「完璧主義」があります。自分がアウトプットする英語の中に、一つでも文法の間違いがあると、「間違えてしまった!」と恥ずかしく思い、英語のアウトプットをやめてしまったりします。

 

これは非常にもったいないことです。なぜなら、アウトプットをやめてしまうと、英語力を伸ばしにくくなってしまうからです。

→ご参考:第二言語習得におけるアウトプット仮説とは? スウェインの理論

 

しかし、「私だけでなく、日本人は冠詞が苦手なのだ」と知ることで、このような恥を感じにくくなります。そうすることで、英語をアウトプットし続けられるようになります。

 

日本人が「英語を話せない」という場合、完璧主義を含めたメンタルブロックが邪魔しているケースがあります。以下の記事ではメンタルブロックの種類と外し方について解説しました。興味がある方は参考にしてみてください。

→ご参考:英語のメンタルブロックを取り除く4つの方法~緊張して外国人と話せない人へ~

 

まとめ|習得順序仮説を実践に活かすには?

この記事では、習得順序仮説について説明してきました。

この記事のまとめ
  • 1970年代に、母語や指導法によらず第二言語を身につける共通のルートがあるとの説が提唱された。これを「自然習得順序仮説」と呼ぶ。
  • しかし、その後の研究で自然習得言語仮説は否定されている。なぜなら、英文法の習得順序は母語の影響を受けることが明らかになったから。
  • 日本人の英語学習者にとって、習得順序仮説が役に立つのは、「完璧主義」を手放しやすくなるから。完璧主義を手放すことで、英語をアウトプットしやすくなる。

    習得順序仮説を、ぜひ実践に役立ててくださいね。

     

    第二言語習得論には、他にも英語学習に役立つ知見が含まれています。

    参考文献

    はじめての第二言語習得論講義: 英語学習への複眼的アプローチ

    第二言語習得と英語科教育法

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