- 英語を聞き流すだけで、“英語脳”になり話せる
- 子供は聞くだけで英語を話せるようになっているから、大人も同じ方法で話せる
- 英語の“シャワー”を浴びれば、英語を聞き取れる
「怪しいな......」と思いつつ「聞き流すだけで、簡単に英語が話せるようになったらいいな」と考えたことがあるのではないでしょうか。
実際、私がビジネス英語コーチとしてサポートする中、「本当に聞き流すだけで英語力が上がるのですか?」と聞かれることがあります。
結論を言うと「聞き流しにも効果はある。でも、もっと効果的な学習法がある」という感じです。
筆者の体験も踏まえて、記事の前半では聞き流し学習の3つの効果を解説します、記事の後半では、逆に「聞き流しが効果ない」と言われる理由を詳しく説明します。
タップできる目次
英語聞き流し勉強の定義
最初に「英語の聞き流し」の意味を明確にしておきます。
英語の聞き流しには次の2種類があります。
聞き取れない英語を聞き流す
1つ目は、ほとんど聞き取れないニュースやドラマをひたすら聞き流す方法です。
実は私も英語初心者の頃にやったことがあります。「何となくカッコ良さそうだな」と思ってアメリカのCNNやイギリスのBBCニュースを聞き流していたことがあります。
しかし、残念ながら聞き取れない英語をシャワーのように浴びても一向にリスニング力は伸びません。
「わからないものは、いくら聞いてもわからない」からです。
ちょっと想像してみてください。
鳥のさえずりの音声をひたすら聞いている姿を
これで鳥のさえずりの意味がわかるようになるでしょうか?
意味がわからない音をいくら聞いても聞き取れるようになりませんよね。
英語も同じで、聞き取れない英語をシャワーのように浴びてもリスニングができるようにならないのです。
ながら聞きをする
2つ目は、他の作業をしながら「ながら聞き」をする方法。
歩きながらイヤホンで聞き流したり、家事をしながら英語を聞いたりするやり方です。
忙しい大人にとって、隙間時間を使うこの方法は有効です。
私も通勤の徒歩時間に英語ニュースを聞いたり、シャドーイング(*)をしたりしました。
(*)英語音声の後に続いて発声するトレーニング。
時間を有効に使えるので「ながら聞き」はおすすめの勉強法です。
英語聞き流し勉強の3つの効果【体験談】
英語を聞くだけの勉強法、実際のところどの程度効果があるのでしょうか?
実際に試した体験談を紹介します。
私がやったことは、以下の通りです。
- スマホアプリで英語ニュースやスピーチを聞き流す
- 毎日15分~30分くらい
- 半年くらい続けた
通勤中やスキマ時間を使って英語を聞き流しをした感じです。家事の最中に英語を聞く「ながら聞き」もしていました。
それで、英語の聞き流しで得られた効果は以下の3つです。
学習を継続しやすい
英語学習は継続するのが重要です。なぜなら言葉を身につけるには、どうしても時間がかかるから。s
その点、英語の聞き流しは学習を継続しやすいメリットがあります。
その理由はスキマ時間を使って「ながら聞き」ができるからです。
最初から必死に英語を勉強する計画を立てて挫折しがちです。
英語を聞くだけならば、挫折しづらく学習を継続しやすいと感じました。
英語の音やリズムに慣れる
英語はリズムが大事です。
日本語は抑揚が少なく平坦に発音されますが、英語は音の強弱や高低などリズムが豊かです。
もちろん個々の発音も大事ですが、リズムはそれ以上に大事。
なぜなら"l"と“r"など個々の発音の違いは文脈から想像できるからです。一方でリズムがめちゃくちゃだと、そもそも何を言っているのか伝わらない。
たとえば、”banana”というとき、「バナーナ」とアクセントをつけるのがポイントです。アクセントさえ押さえれば「ベナーナ」、「ボナーナ」と発音しても通じます。しかし「バナナ」のようにアクセントの位置を待ちがえると相手に通じません。
⇨ご参考:英語のリズムが身に付く5つのコツ|ネイティブに伝わるルール
それで、毎日継続して英語を聞いていると、音やリズムに慣れてきます。毎日英語に触れているからですね。「なんとか聞き取れていた音声を聞くのが楽になった」と感じました。
一方で、もともと聞き取れなかった英語は聞き取れるようにはなりませんでした。
たとえば、英語特有の音のつながりは聞き流しだけでは聞けるようになりませんでした。また、スピードが速く聞き取れない音声も、聞きとれるようにはならなかったですね。
リスニング力を維持できる
長期間、英語に触れていないと次第にリスニング力が落ちてきます。
脳の回路が英語モードにならないからです。
たとえば、1年くらい英語に触れずにいた後、急に外国人と話をすると英語を聞き取るのに苦労します。かなり集中していないと聞き取れない感じです。リスニング力が落ちているのです。
しかし、毎日英語を聞き流しているだけでリスニング力を維持できます。
突然、英語を使う場面になっても、以前と同様に英語を聞き取れると感じました。
英語聞き流し教材の選び方とおすすめアプリ3選
次に聞き流し教材の選び方とおすすめのアプリを紹介します。
90%理解できる音声を使う
英語の聞き流しをする際には、ほとんど意味を理解できる教材を選ぶのがポイントです。
目安としては90%程度を理解できるもの。
第二言語習得論の大家であるみなみカリフォルニア大学のスティーヴン・クラッシェン名誉教授が「インプット仮説」を提唱しました。クラッシェンによると「理解可能なインプット」が重要。
なぜなら「分からないものを、いくら聞いても分からない」からです。
さらに、クラッシェンは”i+1(アイ・プラス・ワン)”という概念を提唱しています。現在の言語レベルを「i」としたとき、必要な学習教材のレベルは「i+1」が最適ということです。
つまり、現状よりもちょっとだけ上のレベルの教材をインプットすることが大切ということ。90%くらいは理解できる音声を聞くのがおすすめです。
初心者にもおすすめの無料アプリ3選
次に、私が英語を聞き流すだけの勉強に使った、おすすめの無料アプリを紹介します。
BBC Learning English(初心者におすすめ)
BBCが提供する、英語学習者向けのコンテンツです。
最近のニュースにまつわる議論や、ビジネスに使える表現などを英語コンテンツとして聞くことができます。
これらのコンテンツは毎日更新されます。
通常のBBCニュースは、かなり英語のスピードが速く難易度が高いです。
しかしBBC Learning Englishは英語学習者向けのコンテンツなので、かなり聞き取りやすい英語で話されています。
また、コンテンツの原稿をスマホで確認できるので、内容を確認したいときはアプリで簡単に見ることができます。
NHK world from Japan(初〜中級者におすすめ)
NHK worldは日本に住む外国人向けのラジオ番組です。このラジオをアプリで聞くことができます。
NHK worldがおすすめな理由は2つあります。
1つ目は、ニュースの話題が日本人になじみ深いものだからです。
日本に住む外国人向けのラジオ番組のため、日本で報道されるものと似たニュースが多いです。
BBC(イギリス)やABC(アメリカ)など外国のメディアのラジオ音声も、スマホで聞くことができますが理解するのが難しいです。なぜなら、日本と海外では報道されるニュースが異なるからです。
背景を知らないニュースを聞いても理解するのは難しいです。おそらく日本語で聞いても理解しづらいでしょう。英語ならなおさらです。
英語を聞きながすトレーニングをするなら、内容になじみ深い音声を選ぶのがポイントです。
2つ目の理由は、聞き取りやすい英語だからです。
なまりの無い英語ですし、スピードもそれほど速くありません。
そのため、ある程度、英語リスニングに慣れている人なら意味を理解しやすいです。
TED(中〜上級者におすすめ)
2つ目のおすすめはTEDです。TEDとは、学問、ビジネス、芸術など一流の専門家のスピーチです。
TEDがおすすめな理由は、スピーチの内容がおもしろいからです。
それぞれの分野の一流のスピーカーが10分~20分のスピーチを無料で聞くことができます。
聞き流すだけでは、全てを理解できないこともありますが、内容が面白いので飽きません。
アプリに自分の好みの分野を入力しておくと、おすすめのスピーチが紹介されます。
私は、アプリのおすすめに従ってスピーチを聞いていきました。
「英語聞き流し勉強は効果なし」と言われる5つの理由
ここまで筆者が実際に体験した、英語聞き流しの効果を紹介しました。
一方で「英語聞き流しなんて意味ない!」と言われることも多い。ここでは、その理由を考察します。
練習しないと上達しない
英語を聞くだけの学習について考えるとき、スポーツや音楽におきかえてイメージしてみると分かりやすいです。
たとえば野球。
初級者がなんとなくプロのバッティングを見ても、「力強いなあ」くらいの感想しか持ちません。
上級者であれば、野球選手の動きをみて、何か気づくことがあるかもしれません。
あるいはバットの持ち方、スイングのしかたなど「自分にも取り入れてみよう」と思うことがあるかもしれません。
しかし、いくらプロの野球選手のバッティングを見ていても、劇的に野球がうまくなることはないでしょう。
なぜなら、スポーツは自分でからだを動かして練習しないと上達しないからです。
つぎにピアノ。
初級者がなんとなく聞くだけで気づきは少ないでしょう。「上手だなあ」と思う程度です。
もともとピアノが上手な人は、「あ、この箇所は、このように弾くのか」と気づくことがあるかもしれません。
しかし、プロの演奏を聞くだけではピアノは上達しません。なぜなら、音楽も実際に練習しないとうまくならないからです。
英語もスポーツや音楽と同じ
だれしもスポーツや音楽は見るだけ、聞くだけでは上達しないことは感覚的に理解しています。
ところが、なぜか英語学習になると、聞き流すだけで英語が上達するのでは? という思いを持ってしまいます。
しかしながら、英語もスポーツや音楽と同じです。
もともと上級者の人は、英語を聞き流すだけでも、表現の仕方や発音の仕方など気づくことがあるかもしれません。
しかし、注意深く英語を聞くトレーニングや実際に英語を話す練習をしないと、英語の上達は難しいです。
知らない英語を聞いてもわからない
2つ目のポイントは、「わからないことは、いくら聞いてもわからない」ということ。
たとえば、あなたがアラビア語のラジオを聞いている場面を想像してみて下さい。
仮に1年間、ラジオを聞き続けたとしても、アラビア語を理解できるようにはならないでしょう。
なぜなら、わからないアラビア語をいくら聞いても、ただの音としか認識できないからです。
英語も同様です。
ある程度リスニングができる上級者であれば、聞き流すだけでも意味を理解できます。そのため、聞き流すうちにネイティブが使う表現や発音の仕方に気づくことができます。
しかし、もともとリスニングが得意でなく、聞いても意味がわからない状態の場合。英語を聞き流しても一向にわかるようにはなりません。
インプットの必要性
先ほど説明したように、知らない英語を聞いてもわかるようになりません。
なので単語や文法など英語の知識をストックすることが必要です。
「第二言語習得論」と呼ばれる学問分野があります。人が外国語を習得するプロセスを研究する学問。
この第二言語習得論の研究結果で「大量のインプットと少量のアウトプット」のバランスが効率的に外国語力を伸ばすコツだと言われています。
⇨ご参考:【重要!】英語の科学的な学習法5つのポイント|効率的な勉強法の秘訣
リスニング力を伸ばすには、聞き流しと並行してインプット学習をして「知っている英語」を増やすことが必要です。
じっくり聞くことの重要性
さらに、英単語や文法の知識を増やすだけでは英語を聞き取れるようになりません。
なぜなら、ネイティブは教科書通りに発音してくれないからです。
「え? どういうこと?」と思いますよね。具体例をあげて説明します。
たとえば単語と単語の音がつながって発音されることがあります。
“join us"は「ジョイン・アス」ではなく「ジョイナス」というように。
同様に、映画『アナと雪の女王』の主題歌“Let it go"は「レット・イット・ゴー」ではなく「レリゴー」と発音します。
このような英語の音の変化を知らないと、ネイティブの英語を聞き取れるようになりません。そして英語の音の変化を身につけるには、聞き流すだけではなくじっくりリスニングすることが必要となるのです。
⇨ご参考:「英語の5つの音声変化」のルールをまとめて徹底解説【著者インタビュー】
子供も「聞くだけ」では英語を覚えられない
「ネイティブの子供は聞くだけで英語を話せるようになるから、大人も聞き流すだけで英語を話せるようになるはずだ」と主張する人もいます。
しかし、実際にはネイティブの子供は、英語を聞くだけで話せるようになっているわけではありません。
子供がことばを覚える姿を想像してみてください。
両親が話す表情を見たり声色を聞いたりして、ことばの意味合いを理解しています。
あるいは身振り手振りをつかってコミュニケーションをとりながら、言葉の意味を覚えます。
さらに、少しずつ言葉をおぼえ、自分で使いながら英語を身に着けているのです。
このように子供がことばを覚える過程は「聞き流すだけ」と大きく異なることがわかります。
本当に英語のリスニング力が伸びる勉強法
ここからはガチでリスニング力を伸ばす方法を紹介します。聞き流しと併せて試してみてくださいね。
英語の音声変化を学ぶ
英語の音声変化には以下の5つのルールがあります。これらの音声変化を身につけると英語を聞き取りやすくなります。
連結
単語同士がつながって発音されるケースです。
より具体的に言うと、「単語の最後が子音で終わっていて、次の単語の最初の音が母音であるときに、つながって発音される」というルールです。
たとえば、”an umbrella(傘)”の場合。anのnとumbrellaのuが連結して、「アナンブレラ」のように聞こえます。
同化
隣り合う音に影響を受けて、違う音に変化するケース。
たとえば、”Nice to meet you.”の場合。Meetの/t/が、youの最初の音である/j/に影響を受けて音が変化して、「ナイストゥミーチュー」と聞こえます。
ら行化
/t/や/d/が日本語の「ら行」のような音で発音されるケース。
ディズニー映画「アナと雪の女王」の主題歌の英語版のタイトルは”Let it go.”ですが、「レリゴー」と聞こえますよね。これは、Letの/t/が「ら行化」を起こしているからです。
脱落
あるべき音が発音されなかったり、聞こえにくくなったりするケースです。
代表的なのは、語尾の破裂音が脱落するパターンです。破裂音とは、/p/, /t/, /k/, /b/, /d/, /g/の音を指します。
たとえば”What’s up? (調子はどう?)“。語尾の/p/は破裂音ですので脱落を起こし、「ワツ アッ」のように聞こえることがあります。
弱形
ネイティブが話す英語にはリズムがあって、重要な意味がある単語は強く長く発音し、意味内容が軽い単語は弱く短く発音します。
学校教育ではふつう「強形」の発音しか習いません。たとえば”him”は「ヒム」と習いますが、これは「強形」の発音です。
一方、”call him”の場合、”him”は「弱形」で発音されます。”him”の「弱形」は「ィム」のように発音されます。さらにcallの/l/と連結し、「コーリム」のように発音します。
音声変化の練習をする
ここまでの解説を読んで、「ふむふむ。5つの音声変化を覚えればよいのね」と思う人もいるかもしれませんが、音声変化を知るだけでは不十分です。なぜなら、実際に練習して身につけないとネイティブの英語を聞けるようにならないからです。
英語の5つの音声変化を身につける方法を、以下の記事にまとめたので参考にしてみてください。
⇒ご参考:「英語の5つの音声変化」を知るだけでは意味がない理由とは?【著者インタビュー】
単語や文法を学ぶ
「英語の基礎がアヤシイかも......」という場合は、中学英語の文法と単語を復習するのがおすすめ。
「今さら中学英語?」と思うかもしれませんが、英語の基礎が詰まっています。中学英語をマスターすれば、ビジネス英語の8割くらいをカバーできます。
文法
文法の学びなおしにおすすめなのは、「中学 英語を もう一度ひとつひとつわかりやすく。」
タイトルの通り分かりやすく英文法が解説されています。
この本を一通り読むと、中学文法をマスターできます。
単語
単語の学びなおしにはDUO 3.0がおすすめです。
英単語は例文とセットで覚えるのが効果的で、通常の単語帳は1つの単語と1つの例文がセットになっています。
DUO3.0は1つの例文の中に、3~4個の単語が詰まっています。つまり、少ない例文で多くの単語をカバーできます。
シャドーイングに取り組む
シャドーイングとは英語音声の後に続いて発声するトレーニング法です。さまざまな研究結果により、シャドーイングはリスニング力向上に効果が高いことが示されています。
なぜなら、英語ネイティブの発音をモノマネすることにより、英語の音声変化やリズムが身につくからです。
シャドーイングは「最強の英語学習法」と言われることもある効果の高いトレーニングです。特に日本人が苦手とするリスニング力、スピーキング力を伸ばすことができます。
反対にシャドーイングに取り組まずにリスニング力を伸ばそうとするのは遠回りです。
以下の記事ではシャドーイングで得られる4つの効果について詳しく解説したので、参考にしてみてください。
⇒ご参考:シャドーイングの4つの効果と正しいやり方〜最強の英語トレーニング〜
まとめ|ポイントを押さえて英語の聞き流し学習をしよう
この記事では、英語を聞き流すだけの勉強の効果と限界を説明してきました。
ポイントをまとめておきます。
- 英語を聞き流す学習は、継続しやすいメリットがありリスニング力の維持にはなる。
- 一方で、英語力の大幅な向上は見込めない。意味がわからない言葉をいくら聞いてもわかるようにならないから。
- ガチでリスニング力を伸ばすには、インプット学習やシャドーイングも重要。
数ヶ月の短期間で英語力を伸ばす方法
「聞き流しだけだと、そんなに英語力は伸びないのか......」とガッカリした人もいるかもしれません。
そんな方のために短期間で英語力を爆上げする方法をお伝えします。
基本的には「本気で英語リスニング力を伸ばす方法」を実践すれば、リスニング力は伸びます。とはいえ、一人でこの学習を継続するのが難しい......。
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生徒一人ひとりに専属のコーチがついて、学習を徹底的にサポートしてくれます。なので英語コーチングの卒業生は短期間で飛躍的に英語力を伸ばしています。
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